7話 そうだ、銃を創ろう!
「銃ってのはやっぱ雷管、発射薬、弾頭がセットになった薬莢が発明されてからだよなぁ。その前のフリントロック式やマッチロック式もいいけどやっぱ薬莢が大切だよなぁ……飛び出る薬莢。地面と当たった時の澄んだ音。やっぱ銃はロマンだよなぁ~」
気がつけば五歳児になっていた俺はダイダラさんの代わりに家で店番などの手伝いもできるようになっていた。もちろん魔力を使って訓練をしながらである。(つっても炎の玉を頭の上で浮かべさせておくだけの訓練なんだけど)
二年前にサミュエルさんの転生を祈ってからと言うもの、気が付けば銃のことばかりに思考が囚われている。
「銃? ファイは銃が欲しいのか?」
「うぇ? ダ、おかーさん?」
「うん? どうした?」
まんま独り言聞かれてた~っ!
「聞いてた?」
「ああ、聞こえた。で、ファイは銃が欲しいのか?」
うひゃー恥ずかしい……ん? 銃って単語が解るのか? てかこの世界であるのか?
「うーうん。有ったら使ってみたいかな」
「そうか、銃か。銃はマテリアルをそのまま使う割に威力も微妙だし、当てられない。マテリアルが勿体無いだけの欠陥武器だぞ? 貴族が見栄で使うお飾りだ」
銃が使えない? おっとその言葉は聞き捨てなりませんぜ? いくらダイダラさんでもなっ! 映画ではいつも主人公と共にあった剣に次ぐ武器ですぜっ!?
「おかーさん、銃の構造ってどうなってるの?」
「構造はだな、片側が塞がった筒状の棒を銃身と呼ぶらしいのだが、その筒の中にマテリアルを入れて、マテリアルを爆発させ、塞がっていない方の筒から押し出されたマテリアルが勢いよく飛び出すっていう物だな。マテリアルの強弱でかなりと言うか結構な差が出てしまうし、マテリアル自体を使用してしまう使い捨て武器だから誰も使おうとしない。こんなのを喜んで使おうとするのは貴族くらいのものだ。なぜなら―――」
あっこれ銃ちゃう。これ
ん? これ雷管、発射薬、弾頭がセットでマテリアルってことになるよな? イメージするにこれはケースレス弾ってこと? ってことはオートマチックの銃はブローバックやなんか反動を使う構造をどうしたらいいか解らんから創れないけど、リボルバーとか……そう、あのアクションの大御所監督のハイウッド進出第一作目のB級アクション映画で悪者フーシャンが使ってたコンデンタ―っ! アニメで言えば聖灰戦争で声が白皇さんだったあの主人公が使ってたコンデンタ―っ!! あの銃は単発っ! 中折れっ!! 大型口径っ!!! とロマンを追及した銃じゃないかっ! それに連射性はないが構造が簡単そうだし俺が頑張ればなんとなく創れそうだし……鍛冶はプロのダイダラさんっていうかーさんもいるし? なにより、使いたい、銃っ! でもマテリアルのこと考えるとなぁ……
「かーさん? マテリアルってどうやって入手するの?」
「―――と貴族は銃に入れる彫刻しか見ていないっ! ってファイなんだ?」
ダイダラさん、まだ語ってたのか……
「マテリアルの入手の仕方を教えて」
「マテリアル? 天然モノならば神の
そしてマテリアルが人工で創れることを今初めて知りました。うん、五年も前に焚書になってしまった『魔力の使い方』はやはり情弱であったな。こんな大切な情報が乗っていなかったなんて、万死に値する。
「マテリアルを創ってみたいっ!」
俺がそう言うとダイダラさんは工房へと行ってしまった。やはりまた早かったのだろうか? と思ったら何かを手にして戻ってきた。
「この欠片にオドを注ぐんだ。練りこむようなイメージで」
そう言って手渡されたものはなんてことはない赤鉄鉱石の大きめな欠片だった。
言われた通りにオドを注ぎ込む。鉄鉱石に練るっていうのはまず無理なんでいつも通りに纏わせるイメージでオドを注ぎ込んだ。赤鉄鉱なので錆びたような色をした石だったのがだんだん俺が普段使っている顕現のようなオレンジ色のようなモヤ、いやオーラだな。が鉱石を包みこんだ。
「うん、もうオドを注ぐのはやめていいぞ」
「ん」
ダイダラさんに言われた通りにオドを注ぎ込むのを止めたが鉱石には未だオーラを纏っていた。
「人工モノはこうやって創る。素材もオドが練り込めればなんでもいい。だけど、半端ないオドを使うので専門の職人でも日に10個ぐらいしか作れないんじゃなかな? だからファイはすごい」
「えっと、ホントにこれで完成?」
「ホントに完成」
マジか。全然疲れてないんですけど
俺、異世界でマテリアル制作職人になれるそうです。いやならないけどねっ!
とりあえず、弾兼薬莢の試作制作に入ろうかな?
俺、これから異世界初(多分ね)の銃器制作職人になります!
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