6話 できることとできないこと
俺がマナを使用出来ない体質なのかもとダイダラさんに告げられてから早3年……。
そう、俺が現実を受け止めれるまで3年もかかった。この間マナを使った魔力顕現は一回も成功せず、徒にダイダラさんを心配させるだけだった。
そのかわりに解ったこともある。俺のオドは基本的に無尽蔵のようだ。正し、とてつもなくテンションに左右されるらしく、ローの時は小さな火を浮かべさせるだけで息切れを起こしたりするが、ハイの時は自分が炎になっちゃったんじゃね? ってぐらいに焔を顕現できるみたいで安定しない。
マテリアルを使った魔力顕現の実験は未だに出来ていない。やはりマテリアルの入手は三歳児には難しい。
他に解ったことと言えば俺、三歳児になったのだが普通の三歳児と比べたらちょっと身体が大きいみたいだ。ダイダラさんの工房を訪れた行商人夫婦が連れてきた六歳の腕白坊主と会って初めて気がついた。六歳児よりちょっとだけ背が低いだけだったのだ。仕方がねーよ。だってこの村、子供いねーんだもん。
この村ことタルメ村に子供がいないのは単に辺境ってことだけじゃない。近くに鉱山都市ザンウってのがあり、タルメ村には木こりや狩人が住んではいるが、ザンウとタルメ村は歩いて四時間(この世界にも普通に12等分された時計があった)の距離の為、ほとんどの家族がある人達はザンウから通ってきている。
そして村にいるのは独り身かダイダラさんの創った武具を欲している探求者ぐらいだ。
「ポケッとしてっと頭、とっちまうぞっと! ウラァ!」
声に反応して少し頭を後ろに下げたらその目の前を木剣が瞬いた。
「っ!! ちぃ!」
この俺の前にいる男のオ―ロもその探求者ってやつの一人だ。ついで絶対あり得ないことだがダイダラさん自身も狙っているらしく、俺にダイダラさんを紹介しろって言ってくる。
「どーだぁ? オ―ロお父様って言ったら優しく稽古付けてやらんこともないぞ?」
「ぜってぇ言うもんかっ! よっ!」
手に持っている木剣をオ―ロの頭目掛けて斜めに振り抜く。
「ファイの見え見えな剣が当たるかよ~。ちゃんと受け止めろよ?」
オ―ロは俺の剣を軽く頭を動かしただけで避けると、振りぬいたままの姿勢で硬直していた俺に上段から思いっきり剣を振り下ろそうとしていた。このままじゃ剣での防御は儘成らない。俺はそのまま
「ファイって言うなっ! つぅ~…」
「やるなーファイ。あれは避けられないと思ったんだなぁ? 重心移動の段階を一つ飛ばすなんぞ、どっかの武王みたいなことしやがって。誰に習ったんだ?」
誰に習ったでもない、明弘時代に嗜んでいたサバイバルゲームでの緊急回避術だ。まぁ目の前にバリケードがなかったら動けなくなっている所にしこたまBB弾の洗礼が待っているんですけどね?
「ファイ、魔力を使え。お前にゃ顕現の方が向いてる」
「言われなくったって」
俺は木剣を投げ捨て、右手に焔を纏わせる。
「お前の魔力顕現、やっぱ規格外だな」
「今はオ―ロに痛い目合わせるって決めてるからテンション高いもんねっ!」
「これぞオ―ロお父様の愛の鞭だからなッ! ってことでファイ、ダイダラさんとの間、取り持って?」
「断るっ!」
俺は焔を顕現させるとその間は何故か身体の方にも影響が出る。まず、硬くなる。焔が纏っている所ならば鋼の剣だって弾き返すことができる。次に速さが上がる。なんか上手く説明できないが瞬“発”力の発が爆発の発に置き換わってると言えば分って貰えるだろうか? とにかく機敏な動きが出来る。最期に知覚範囲が広くなる。後ろまで目が見えるようになると言えば言いすぎなのだが、とにかく解るようになるのだ。おかげで槍や剣よりもさらに近い距離での殴り合いが俺の戦闘方法になる。
まずは近づくまで炎の玉でオ―ロの牽制兼目隠ししてそのまま突っ込むっ! オ―ロの剣が炎弾を斬り裂き、その後ろを疾走していた俺まで衝撃を与えた。それに怯まず、左手を盾にそのままタックルをかました。オ―ロはそれを予測していたらしく、剣を引いてタックルに合わせて蹴りを入れてくる。俺はそのまま蹴られて後ろにひっくり返っていたら首元に剣が突き付けられていた。
「はい、おしまい。もっと考えろ」
「……だって近づかないとそもそも勝負できないんだもん」
「だからってそのままタックルとかアホか? 何歳だお前」
「三歳児ですぅーオ―ロが大人げないんですぅー」
「つっまぁ、そうか、そうなんだよなぁーファイ、三歳児なんだよなぁ……」
俺に剣先を突き付けたままなんか悩んでいるオ―ロは酷く馬鹿みたいだった。
俺は焔を纏わせた手で剣を払いのけるとそのまま背中で軽く爆発を起こしてその反動で立ち上がる。
「なんていうか、ファイの炎顕現の使い方が独特なんだよな。とても炎弾からの特攻! をしてくるバカが使える使い方じゃねーんだもんなぁー。なんかギャップがなぁ……」
そうは言われても俺はそうゆう使い方をアニメや映画で知ってた
ということで今は俺、魔法剣士じゃなくて魔法拳士目指してます。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます