5話 魔術を練習しよう

「すごいなファイは、魔力の流れの把握はもちろんだがオドを精製出来るようになるまではそれなりの訓練期間がいるハズだ。初めは他人に魔力を流してもらい、魔力の動きを把握する訓練から始めるのだが・・・」

 

 やっぱりなんか色々ぶっ飛ばしているみたい。 別に魔力の流れやオドの精製も意識してないもんな。マンガで見た構図をそのままイメージしてるだけだし。


 「半神デミゴットはやっぱり特別なんだな」

 

「ダー…かぁちゃんは俺のことデミゴットっていうけど、それなんなの?」

 

 前から疑問に思っていたことなんだし、この際聞いちゃおう


 「半神デミゴットというのは神からの贈り物ギフトだ。つまり、ファイ? お前のことだ」


 ん? さっぱり意味がわからんぞ?


 「あたしは夫がいないからな。そしてファイが目の前に現れた。これを神からの贈り物と言わずしてなんになる?」


 ん? んん? 俺にお父様いないの? どゆこと?


 「稀にだが夫も恋人も居ない女性の前にいきなり子供が現れることがあるんだ。そういう子供たちはなにかしら秀でたモノを持っている。なので神に孕まされたのだということにして半分人間、半分神の半神デミゴットと言われている。あたしは処女だしな。」


 ダイダラさんの処女発言、いただきましたっ!

 

 何か? ダイダラさんは聖女マリアで俺はキリストかよ! まじかー俺、ファンタジーの中でもファンタジーらしい産まれ方してんじゃん


 「さて、オドは火……いや炎だな。炎だと解った。なら今度はマナを使ってみよう」

 

 超絶ファンタジーのせいで思考停止してたな。こりゃいけない。頭を切り替えないと。

 

 で、今度はマナか。マナは周囲を漂っているいる魔力だったよな? なら外にあるオドみたいなのをイメージして……うん、これかな? このマナっぽいのを使って、火よ出ろっ!


 ………


 あれ? できないな?


 「マナの流れが掴めないのか?」

 

「ううん? 多分マナの存在は掴んでると思うんだけど……」


 「ふむ、ならば律を唱えてみればいい」


 律、ねぇ? いわゆる自作呪文スペルか……なんかめっちゃハズいな。


 右手を目の前に突き出し、掌を広げる。 


 「【我が周囲に存在するマナよっ! 我の命によって掌に集まり、炎となせっ!!】」


 うっし、決まった!! これはカッコイイっ!!!


 …………

 

 掌に何の変化も無し。つまり魔力の顕現が出来ていない。

 

 あれれ? 今の俺のポーズ、死ぬほどカッコ悪くない? やだ、中二をコジラセチャッタ?

 

 「うん、マナが集まってないな」


 「そ、そうです、ね…」


 死にたいっ!!! めっさハズいっ!!!


 「【指先に火を―――ライト】」

 

 ダイダラさんが立てた人差し指にポッとライターぐらいの火が着いていた。


 「こんな感じなんだが、ファイ? もう一回やってみな」


 「はい」


 「【指先に火を―――ライト】!」


 ………………


 やっぱり顕現しない。

 

 ダイダラさんは指先についていた火を消して、そのまま唇の上に持っていく。唇、プルプルしてて柔らかそう。


 「これは、マナが使えない体質なのかもな」


 プルプル……っはっ! なにっ? つまるところ俺は炎魔法しか使えないのかっ!!?

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