第2話 愛巣(アイス)
『恋』・・・自分以外の他人を好きになること
『恋愛』・・・もはや引き返せない場所にいること
解釈は人それぞれだけど
俺流の定義を例えるならこんなものだ
EASY2 『愛巣(アイス)』
「だーッ!暑っちいなぁ、クソっ!あー、アイスでも食いてぇなぁ!」
ワンルーム、8畳、キッチン、押入れ付。バストイレ。エアコンなし。
家賃3万5千円。共益費千円。駐車場代3千円。
これが俺の住んでいるアパートのスペック。
水道は井戸水を汲み上げているので使い放題で千円。
超薄型の壁は、隣の話し声がそのまま聞こえてかなりやかましい。
快適な暮らしとはお世辞にも言えず、家賃が安いだけの取柄の無いアパートだ。
部屋を見渡すと、年中敷きっぱなしの布団にこれまた年中出しっぱなしのコタツ。
28インチテレビとステレオコンポ。それにゲーム機多数アリ・・・・
これだけでも部屋が狭くなってしまうのに、俺はもうひとつ、もっと大きなインテリアを抱えている。
え?ソファーか家具だって?とんでもない!
そんな洒落た物など、何ひとつない。
俺の部屋にある、とっても邪魔なインテリア。
それがコイツ・・・『ケーコ』だ・・・
一応、俺の彼女。で、同棲中。
「オイ、ケーコ。ゲームばっかやってないで、冷たいアイスでも買ってきてくれよ~」
俺の住んでるボロアパートは、西日をモロに受けるので、室内の気温は春先でも暑くて仕方ない。
エアコンなどと言うハイテクマシーンは存在せず、アナログチックな原始的涼風発生器、『センプーキ』が我が家では大活躍だ。
外のモワァっとした外気を入れると暑いだけなので、冷水のシャワーを噴出し、その冷機をセンプーキの風力によって循環させるシステムを使用している。
水道は井戸水を汲み上げているので、月千円で使い放題なのはありがたい。
しかし、近所の大手メーカーの工場廃水が多量に流れているというウワサがちょっと怖いが。
まぁでもこれがなかなか心地よいのだが、玄関、台所、風呂でしか使えないのが最大の難点だった。
俺は台所の床にゴロ寝して、このアナログクーラーによって暑さを凌いでいた。
実は本当はそれほど暑くなかったのかもしれない。
けど、隣でゲーム画面にかじりつき、一世代前のゲーム機で遊ぶ女というのはどうにも鬱陶しい。
「ねぇ~アキラ。家でごろごろしてないで、どこか遊び行こうヨー」
「・・・・・・」
俺は黙ったままテレビの画面をボーッとみつめていた。
「ねェッ!アキラ!聞いてるのッ!」ケイコの声がかん高くヒートアップし始めた!
「金がねぇんだよ・・・」
間髪いれず俺の一言。この言葉にはかなりの破壊力を秘めていた。それを言ったらオシマイヨって感じだ。そしてまた数分、ふたりのいる部屋はシーンと静まりかえった。
「・・・だったらさぁ、ご飯一緒に作ろうよ。何もしてないのツマンナイもん」
ケイコは本当につまらなさそうな声でそう言った。
(俺みたいなツマンナイ男のとこに居るのだから、ツマンナクて当然だろ)
俺はそう心の中で思ったが、あえて口には出さなかった。それを言ったら自分が虚しくなる。
ケーコを退屈させるのも正直悪いなと思った俺は、頭の中で良いアイデアを考えてみた。
(う~ん・・・金がないから飲みにもカラオケにも行けない・・・ドライブも運転が面倒くさいしガス代もかかる、とするとアパートで出来て金が掛からないことと言ったら・・・・『SEXしかない』・・・・・・でもヤツの体は正直飽きたし、体動かすの面倒くさいし・・・・)
俺はこの瞬間、なんでこんな女と一緒にいるのか自分でもわからなかった。
いつでも一緒にいたいから同棲した。
いつでもSEXヤリ放題だから同棲した。
それなのに、それなのに今の俺は、ケイコが果てしなく邪魔な存在にしか思えなかった。
「ねぇアキラっ!なにかしようよ!退屈で死んじゃうよー!」
(退屈で死んだヤツなぞ、聞いたこともないわいっ!)
俺はそう思ったが、あえて言うのを止めた。話が余計にこじれるのが判り切っていたからだ。
「うるさいなぁ!俺だって何か楽しいことないか考えてるじゃないか!」
「へぇ、そお。じゃあ何するの?あ、わかった。イヤラシーこと考えてるんでしょ?!」
ケイコは意味ありげな笑みでそう言った。
俺はケイコの顔を見て、Hしたいのはオマエの方だろ、と直感した。
「やれやれ・・・」
まぁ、飯前に腹を空かせるのもいいだろうと、半分面倒臭そうな態度でコトをおっぱじめた。
ケイコは、俺のそんな態度を見て不服そうだったが、それでもこれから気持ちの良い快感に身を委ねられると思うと、どこか嬉しそうな顔をしていた。
ケイコは変態だった。
そしてスキモノであった。
夏の夕暮れ時のオレンジ色の明かりが部屋を妖しげに照らす。
空いた窓からは、近所の小学生の遊び声やセミの鳴き声が聞こえてくる。
シチェーションはまずまず良好と言ったところか。
「オナニーしたい!」
やれやれ。さっそくの変態願望第一弾か。
このケイコの突拍子もない言葉は、毎度の事で馴れていたので俺は別に驚きもしなかった。
ケイコは、立ち上がって服を脱ぎだし、少しも恥じる事なくブラジャーとパンツをポイポイと脱ぎ捨てた。
それを見た俺は、(だらしないなぁ・・・)と思ったが、ケイコを叱る気も起きなかった。
少し大きめ(いや、けっこうデカイほう?)の胸がブルルと揺れながら、俺の所に近づいてきた。
俺はそれを見ても特別に興奮する訳でもなかったが、如意棒はそれなりの反応を示したようだ。
ケイコは、ざらざらで薄汚い壁にもたれ、全裸で足を大きく開脚し、自分でピンクローターをあてがっていた。
そんな行為を見られたら、普通は赤面して裸をシーツかなにかで隠すものだが、この女にはそんな感情などまるっきりなかった。変態というかちょっと変わったその性癖を、普通に捉えてしまっている俺もひょっとして変態の仲間入りなのだろうか?
そんな行為をただ無言で見守る俺。5分ほどその行為をぼんやりと眺める。
そのうちにケーコは物足りなくなったのか、俺にいろいろと注文をつけてくる。これも毎度のことだ。
俺は奴の耳に舌を入れてゾゾゾッと舐めた。
ケイコはビクビクと反応しながら、苦しそうで切なげな表情をし、眉をハの字にゆがめていた。
次に乳房をガシリと強く掴み、思いっきりもみしだいてやった。それは優しい愛撫どころではなく、暴力的で粗野な扱いに近かった。だがそれも仕方ない。これを望んでいるのはケイコで、こうしない事には悦んでくれないのだから。
ケイコがクネクネと腰をくねらせる度に、壁と床がミシミシと音を立てる。この音が隣や下の階の住民に聞こえているのは間違いない。
そう思うとケイコはますます興奮しているようで、フローリングの床がおもらしの汁でいっぱい濡れてしまった。
拭くのが面倒臭いなぁと思いながら、ふと窓の方を見る。
そういえば窓は閉めただろうか?たぶん開いている・・・・・
「やぁん、聞こえちゃうよぉ~・・・」そう言いながらも、むしろ聞こえてしまう事に興奮していて、それでさらにケイコは濡れた。外からは小学生の遊び声が聞こえてくる。こちらの声が聞こえていてもおかしくはないだろう。俺はそんなケイコを冷静に眺めながら、ピンクローターをゆっくり出したり入れたりしてそんな遊戯を楽しんでいた。
今、目の前にいるメスは完全に俺の前に屈服している。そんな征服欲が俺の心をジワジワと満たしていった。
今の自分は王様なのだ。どんなことでも出来る!何でもやれるのだ!そんな他愛も無い自身に満ち溢れている自分が好きだった。
アンアンと絶頂を迎えそうなケイコを見て、俺はズボンを下ろして自分のものを取り出すと、ひっきりなしにそれをこすった。自分の物が潤滑油で少しベトベトしてくると、擦り易くなってイイ気持ちになってきた。
今度はケーコの口にそれを突っ込む。ケーコは声にならない声で苦しそうにもがくが、俺はおかまいなしに自分勝手に快楽をむさぼる。
そして頂上到達寸前になると、急いでそれを抜き、ケーコの顔をグイイと強引に引き寄せそれてドバッと浴びせた。ケーコの顔にべったりとしたたっている自分の体液。そのビジュアルは、お世辞にも綺麗とは言えなかった。が、醜いものが逆にがイヤらしく見えてくる。人間というものはそういう感覚があるのだろうか?。
約3秒後。俺はハッと我に返って醒めた。(何やってんだ、俺?)
賢者タイム突入。男とはそんなものである。
ケイコは顔に浴びせられたそれを拭うことなく、ハァハァと息をきらせながら、アゥアゥとまだひとり悦に入っていた。
挿入はしない。
疲れるし面倒臭いし、万が一、妊娠でもしてしまったらと思うとゾッとするので絶対にしない。犬や猫じゃあるまいし、同じ相手と何度も交わりたいとは思わなかった。それに、「俺のものをしゃぶらせてあげただけ有難いと思え!」と、そんな傲慢な気持ちを俺は持っていた。
ケイコは顔面に俺の体液をしたたらせながらも、その強烈な匂いでさらに欲情したらしく、さらに激しく下半身のピンクローターを出し入れしていた。
「おっぱいを強く揉んで!お願いッ!」
泣きそうな声でケイコが叫ぶので、俺は覚めた表情で胸を思いっきり力を強く込めて、ぐしゃぐしゃに揉んでやった。
痛さを通り越した快楽が女性にはあるのだろうか?
「踏んでッ!踏んで下さいッ!」
次にケイコの望んだ事を、俺はその通りに冷静に行動した。寝そべったケイコの顔を、足でグイグイと踏みつけてやった。
「どーよ?気持ちいいのか?」
俺は少しドスのきいた声でケイコを陵辱した。
すると、さらに興奮度を増したケイコは、遂に頂点に登り詰めたらしく、大声でのたまった。
俺は隣や下の階にそれが完全に聞こえてしまっているのを実感し、「やれやれ」と思いながらも目の前にいる女の自慰を最後まで見届ける事にした。ケイコはさらに大声で自分の絶頂を表現すると、やがて果てたようにヘナヘナと床に横たわり、体を小刻みにふるふると震わせていた。
電源の入りっぱなしのピンクローターが床でカタカタと音を出して小刻みに揺れている。
俺はさらに足で、ケイコの体を踏んだり、軽く小突く。
なんだかその様子は、海岸に打ち上げられたオットセイの死体か、食べても美味しくない魚を乱雑に扱っているような感じだった。
そんな様子が鬱陶しくなり、ティッシュでケイコに浴びせたそれを嫌々ながらもサッサと拭いてやった。拭いている最中、俺は子供をあやしている親のような気持ちになった。まぁこれも悪くない。父性本能というやつだろうか?と思った。
お互いリフレッシュしたのでもうケンカはなかった。
ケイコの作ってくれた肉じゃが(もどき)でビールを飲んでご飯を食べ、食欲を満たした。その後、仲良くお笑い番組を見て一緒に笑った。
たまにはケイコに実家に帰れといったら、「帰りたくない」というのでしかたなく泊まらせた。
(ケイコを帰らして、ゆっくりTVゲームをしたかったのに・・・)そう思ったが、またケンカになるのが怖くて言わなかった。
夜もふけ布団に入り、ケイコの寝顔を見ながら俺はふと思った。
(ひょっとしたら、こいつと結婚する日がくる・・・のかもなぁ・・・)と。
でもあまり実感が湧かないので考えるのをやめて寝ることにした。
スヤスヤ。
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