第4話「友人の家」
招かれて友人の自宅へ遊びに行くと、彼はとても歓迎してくれた。彼の妻は仲の良い友だちと旅行中だそうで、邸内には彼一人しかいない様子だった。
人気のない室内は、がらんと静かで、しんみりと妙に
居間へ案内されてソファに座ると、友人は早速「飲むか?」と
彼は言う。
「娘たちが子供の頃は、皆が似たような表情をして、似たようなドレスを着て、似たようなつば広の帽子をかぶって、同じような話題で盛り上がり、そしてみんな同じように私を愛してくれたのだ」
やがて自分のグラスを手に取り、切なげな眼差しでウィスキーをガブリとあおった。
再び口を開くと、
「それがどう言うわけか、大人になった途端、それぞれ全く異なる男を愛して、それぞれ全く別の遠い世界へ行ってしまった。あっと言う間にな。今では滅多に電話も寄越さない」と
私は暗い
「娘たちが遠ざかってしまったなんて、実はただの錯覚で、案外、まだまだ君の
すると彼は酔った目で、しばらくじっと自分の掌を見つめていた。
そして「そうなんだろうか?」と
その時の彼は、妙に力の抜けた表情だった。
「だとしたら、俺は
彼がそう言った時、天井の上の二階の部屋から、ドンと大きな音が鳴った。続いて直ぐガタンと何かが倒れる音がして、それはしばらくゴロゴロと床を転がって止まったようだった。
友人は物音を気にする風もなく、もう一度、自分の掌を見た。そうしてその
(お
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