「イナゴ」の定義

 二次創作界隈で、特に、次々と流行りのジャンル作品を乗り換えていく人が居ます。その作品が大流行している時はファンを名乗るけれど、下火になってきたり、他の作品が大流行の兆しを見せたら乗り換える、こういう人を「イナゴ」と呼びます。

 イナゴの習性になぞらえて、豊作となったらやってきて食い荒らし、次の畑へ飛び去っていく、という意味ですね。


 ……ほんとにそうでしょうかね?


 こういう方々は、たぶん私の同類です。私もかつては「イナゴ」のスタンスでした。二次創作をしてた頃には。

 これって、興味が長続きするかしないかの差でしかないんですよね。そして、その作品のことが好きで、創作意欲を刺激されたわけですが、その意欲がずーっと続くわけではないというだけなのです。

 もちろん、そのジャンルから撤退したからといってその作品を嫌いになったとか飽きたというわけじゃない。(そういう人も居るでしょうが)


 こういう人は、「創作が趣味」なのです。私もかつては「幽々白書」とか「ドラゴンボール」とか「遊戯王」とかやってたんですよ、モロに流行りジャンルを渡り歩いてました。その作品が好きって以上に、作るのが好きだったから。そういう人も創作畑には多いんじゃないでしょうか。

 私の場合は、だいたい三年ペースで創作熱が冷めてたんで、「イナゴ」呼ばわりはされなかったってだけですね。漫画を描くことを禁じられたので文筆に転向しました。


 この創作熱の持続が特に短い人などが「イナゴ」という不名誉な俗称を貰っているわけです。その作品の二次創作をする事がライフワークとなっている、などという人はそれこそ滅多に見ませんからね。十年以上、続いてる人にとってのそれは「大本命」と言えるんですよ。


 けれど、「イナゴ」というのでも、本当にファッションでやってるだけの人も居ますんで、それはそれで価値観の違いですけど、一概にひと括りに出来ないんですよね。便宜上、似通った行動パターンって事で十羽一からげしちゃってますけどね。


 本当に、自身を飾るアクセサリーほどの気持ちでファンを名乗っている人。


 愛もあるけど、自分の宣伝が主目的だから古びたら新しいのに更新したい人。


 単純に、新しく大好きな作品が出てきちゃってそっちの創作に夢中になる人。



 いずれにしても、原作への愛が消えたわけじゃないんですね。創作を止めてしまった事を、愛が無くなったといって責める人もいますが、違います。

 私だってデビルメイクライは二次創作するほど好きで、今はやってませんけども、それでも今現在、相変わらずバージルの影を追っていますから。ゲームキャラはだいたいが銀髪オールバックですよ、肌は黒いのが多いけど。


 二次創作をするというエネルギーはなかなか持続しません。あるいはプレイし続ける、追いかけ続けるという行為。だけど、それを止めてしまっても、好きという気持ちの継続とは無関係ですよ、解かって貰えればと思います。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る