「玄人」と「素人」のハザマに

 私はここカクヨムにおいては批評系作品を中心に読ませて頂いております。んで、最近読んだエッセイ作品で気付いた事があったんですけど、目の肥えている映画ファンの評価と私の評価にズレがあったんですよね。ハリウッド映画について。


 その方は、どうも最近のハリウッド映画は小粒感というかで見所のある作品がなかなか出てこなくなったとボヤいてらっしゃる。「え?」てなものですよ、私から見たらさすがに厳選で日本まで来るだけあって、どれも金に余裕があれば観たい作品ばかりだなーとか思っていましたからね。(←この時点ですでに判別付けられていない)

 その方に比べると、私の審美眼はザルだというわけです。素人判断。(笑


 エッセイを読むとなるほど一理も二理もあるんです。ああ、その判断基準は確かに盲点でそんなトコ見てなかったよなーとか思って納得します。基準が解かっても判断出来る出来ないはまた別なんですけども。


 なんというか、ピラミッド型に質の悪い作品から順に積み上げて、どのラインまで判断が利くか、という問題と言いましょうか。それで言うならその方と私では目利きの水準が明らか違うのですね。私のはドシロウトに毛が生えた程度。上の方にある作品群ではもはや良し悪しが解かんない。「どれも面白いですぅー、」なんていう毒にも薬にもならないコメントしか出来ないコメンテーター失格な批評家なんですよ。


 映画に関して私の審美眼は月並みというか平均的視聴者のソレで、多くの観客が解かる程度の良し悪しくらいしか解からなくて、それは市販の一般文芸小説でも言えて、文学だの大御所作品だのとなるとやっぱり巧い下手など解かりません。それより下のラインになって初めて私にも解かる程度の、となってきます。

 なので読書家たちの集まるスレッドなどのやり取りを見ていると勉強になるというか、参加など出来そうにない。レベルが違う、世界が違う。(笑


「あの作家は構成がねぇ……、」

「でも文章力はいいんだし、文章は○○より断然巧いよ?」

「○○は話にならんでしょ、文章で魅せる作家じゃないじゃん。」

 みたいな。(笑

 本格的な講評合戦とか始まっちゃうと追いかけるので必死。大学で専門でやってたの?という感じの専門用語満載な講評が飛び交っちゃう。


 あなた方と私は同じ日本人ですか?

 みたいな。(笑


 蓄積されているデータの質も量も違うから、当然といえば当然ですけどもね。

(おかしいなぁ、人生ウン十年で一万本は映画観てきたはずなんだけどなぁ、彼らはもっともっと観てて血肉がソレで出来てんだろうかなぁ)


 けれど、例えばイラストとか絵描きさんの世界では、巧い人というのは理論も完璧に押さえてらっしゃるわけですよ。可愛い女の子を描くために人体構造を理解する、というわけです。巧い絵描きは骨格標本から筋肉組織の解説まで出来るんだもんね、頭が下がるというべきか。それと小説も同じってことだろうと思うんですよね。


 そして、そういう職人達は総じて寡黙でして、影の努力を公表してくれないから、骨格標本まで描けるようなスゴい描き手がゴロゴロしている事が、表面上では解からないんですよねぇ。で、素人は表面だけを、可愛いイラストだけをマネようとして延々と失敗し続けて死屍累々。(笑


 精進せねば。

 データベースの規模が違うと気付いた時が、本当のスタートラインです。(笑

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