成功する為に必要なもの

 理髪店を営んでいた舅と姑が言っていたのですが、理髪店でやっていくのに必要なものは、『見た目』と『人当たり』が大事で『技術』は二の次だそうです。これは別に理髪店に限ったことでなく、客相手の商売ならば何でも当てはまる事です。


 技術がいくら良くても、一般のお客には良し悪しなど解からないからだそうです。


 同業者から見ればヘタクソなカットをされているお嬢さんが、平気な顔をして街を闊歩していたりする。それは、お嬢さん本人は下手なカットか上手なカットかなど判断できないからで、同業理髪店の人がたまたま見かけて影で嗤っていたとしても、そんなの誰も教えてくれやしないわけです。知らぬが仏というもので。

 素人目に解かるのは、せいぜい素人か玄人かの違いくらいでしょう、どんな職種であっても。


 一般の人は何で判断するのかというと、「顔がしゅっとして」「身奇麗かどうか」「愛想がいいか」で判断するのだそう。イケメンだとかオシャレだとかは、正直、腕前には無関係ですが、腕前を判断する技量を持たないのですから仕方がない、というわけです。


 あるいは、どこそこのコンテストで入賞した、とかいう事が目安になる。これは正規の基準を確実にクリアしている人なわけなので、そういう理髪店はいきおい料金も高くなるけれど、信用は抜群にあります。しゅっとか身奇麗とかの曖昧さで判断された技量ではないから。

 もう一つ、誰それの元で修行した、という目安もありますが、両者とも、見た目とか愛想とかと違って、技量の保証があるという事ですね。これって理髪店に限らず、料理人でも画家でも同じで、作家もまた例外ではないと思うのです。

 見るべき人が見てお墨付きを与えた、という事実は、お客の判断の足しになりますし、威力は大きいと見ていいって事でしょう。


 技量については、「誰が認めたのか」が大事になるわけですね。


 見た目が熊みたいでパッとしない男性が始めた理髪店はすぐにダメになりましたが、イケメンでなければちゃんとしても身奇麗の評価はされず、愛想や腕前でフォローするにもよほどに優れていなければ客を掴むことは難しい、という事らしく。

 顔という一つのマイナスが、とても大きく係わってしまうようです。この顔も理髪師でなければマイナスにもならなかったんでしょうにね。


 人は見た目が9割とかいうタイトルの本が人気を博したこともありましたが、これは真実を射ていますからあれだけのヒットを飛ばしたものでしょうか。

 顔や身なりはネットでは解からないものの、その分の比重はやっぱり技量ではなくってもう一つの要素「愛想の良さ」に掛かってしまうもののようです。


 ネット小説で人気を博したいならば、人の良さそうなコメントを発信し、当たり障りなく立ち回り、人付き合いを大事にしながら、真面目に更新を続けていくのが近道だという事かも知れません。文章技巧の勉強などより。


 「愛想」に自信のない人は、やっぱり「後ろ盾」が重要になると思いますので、どこかの新人賞狙いが正しいように思います。

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