第18話 ケビンの転機

1968年に優勝をしたセルティックスに大きな出来事がありました。それはあのビル・ラッセルが引退したのでした。体力的な衰えもありましたが、その後のチームの編成上でビルは限界を感じていました。ケビンも1969年のシリーズで優勝はしましたが、29歳という「高齢」選手としてビルのいない穴を埋めるべく頑張りましたが、やはり限界を感じていました。ロサンジェルス・レーカーズやニューヨーク・ニックス等の強豪が台頭してきた年でもあったため、ゲームは常に極限状態となり、ケビンはもう、へとへとでした。そんなケビンを見て、妻であるミミは引退を勧めました。

「あなた、もうファンを喜ばすプレーを出来ないと思ったら、次の事を考えてはどう?」。ケビンもエイドリアン祖父さんの夢を引き継ぐためにオハイオ州立大学で勉強したスポーツ医学の学力を生かした仕事を考えていました。

「ミミ、オハイオ州立大学で得た知識を使って、スポーツドクターになろうと思う。プロの激しいプレーの世界も経験したし、子供の成長期にやるべき準備運動など、これから栄養と準備運動、それに、体のケアなんかをまとめて指導していきたい。そんな仕事を始めようと思うんだ」。

「それって、素晴らしい事じゃない!!これからのアメリカはスポーツ天国になると思うし、その反面、栄養過多と栄養失調が同居する国になると思うの。医学的見地から見たスポーツドクターって絶対に成功すると思うわ」。

「有難う。1970年のシリーズを最後に引退するよ」。

「分かったわ。でも、大切なこと言うわね。来年のシーズンが終わるころ、きっとあなたはお父さんになっているわ!」。 ほんの一瞬、ケビンは何をミミが言っているのか分かりませんでした。そして気付いたのです。

「妊娠しているの?もっと早く言ってくれよ!」。

「今日病院で検査結果が出たの。だからすぐに報告したのよ」。

「そうか、で、男の子、女の子?ベビーカーはどうする?」。

ミミが半分笑いながら睨んでいます。「どうして男の人ってこうなの??」。




ジョン・マクドナルド Story 3 - 「ジョンの話」。に続く

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ジョン・マクドナルド Story 2 - 親父ケビンの話 苺原 永 @maiharahisashi

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