第17話 セルティックスの黄金時代

この事件のあと、セルティックスの白人、黒人関係なくチームとして非常に強いまとまりをみせ、1959年から1969年の11シーズンで8連覇を含む10回の優勝記録を作り上げました。3連覇(スウィープと呼ぶ)をしたシカゴ・ブルズやロサンジェルス・レイカーズが記憶に新しいのですが、8連勝と云う記録は、多分、破られる事はないでしょう。その間、ビル・ラッセルは4回もMVPに選ばれ、好敵手のフィラデルフィアのウィルト・チェンバレンといつも話題を二分していました。


ケビンは28歳の時に交際を続けていたミミ(26歳)と結婚しました。1968年のオフシーズンのことでした。セルティックスの絶頂期のことですから、新聞・テレビは大々的に取り上げ、みんなが祝福してくれました。さらに、ボストンと云う古い街にチームがあった為、まわりに出版社が多く、ケビンとミミ、 さらに サトル(サト)・ハナムラ(ミミの兄)も登場する本まで出版されました。しかし、ケビンは心に秘めたことがあり、 急性白血病で亡くなったサトの事を思い出しミミに言いました。「もう決めた事なんだが、俺たちの本の印税をボストンの白血病研究病院にそっくり寄付したいんだ。サトから貰った勇気のお陰でプロのバスケットボール選手になれたし、世界で一番の奥さんまで貰ったから・・・」。これを聞いたミミは言葉にならず、ただ、頷く事しか出来ませんでした。ケビンはいまだにサトが大事にしていたペンダントを肌身離さず付けてくれています。ミミはケビンと兄のサトの友情をここまで大切にしてくれている自分の夫を誇りに思います。その夜は、二人でサトの話や、今まであったいろいろな事を一晩中、抱き合いながら話していました。


ボストン・セルティックスは翌年の1989年に優勝し8連勝の偉業を達成しましたが、それ以降の10年間で優勝はとびとびの5回、準優勝は2回でした。強豪には違いないのですが、マジック・ジョンソンが率いるロサンジェルス・レーカーズと、その後に活躍するラリー・バード率いるセルティックスの熾烈な戦いがあり、もう常勝チームではありませんでした。ただし、それだけNBAファンは興奮する試合を多く見る事が出来、1990代のマイケル・ジョーダン率いるシカゴ・ブルズの時代へと移っていったのです。


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