第21話 エルフの里で
思ってもいなかったお願いをされて、戸惑ってしまう。……みんなの方を見ると、4人ともものすごくいやそうな顔をしている。
「すいません、予想外なことだったもので、すぐに返事は出来ません。少し考える時間をください」
「分かりました。……よいお返事を期待しております」
俺たちはエルファさんの家を出た。すると、みんなが文句を言い出した。
「ちょっと、昇。あんたデレデレしすぎよ! まさかあんな話を受けたりはしないわよね?」
「えっ? いや、そんなデレデレなんかしてないだろう?」
「してました~」
「それで、昇君。当然断るんだよね?」
「えっ? まあ、そりゃあ……断るよ」
「昇さん。今、残念そうな言い方していませんでしたか?」
「いやいや、断じてそんなことはないよ。すっぱり断るさ」
俺が皆をなだめていると、エルフィーが何か思いついたようだ。
「そうだわっ。ポポタン村の男たちを連れてこればいいんじゃない?」
「それはいいですね~。全員が幸せになれる最善の方法じゃないでしょうか~」
「そうだねっ。そうしようよ」
「うん、私も異論はないよ」
「えっ? でもさっき、エルファさんは優秀な遺伝子が欲しいって言ってたけど、あの村の人たちで大丈夫かな?」
みんなもそのことには気づいているはずだけど。
「なによ昇。あの村の人たちがポンコツだって言うの?」
「昇さんひどいです~」
「まあ、仮に力不足が事実だとしても、相性の問題もありますから、大勢連れてくれば大丈夫だとおもいますよ」
「エルちゃんいいこと言うねー。その通りだよ。いっぱい連れてくればお互い気に入る組み合わせができるって。じゃあ、そういうことで決定! この話は終わり! じゃあ、昇君。エルファさんに話に行こう?」
「あ、ああ……分かった」
俺はみんなに押される形で、エルファさんと話をつけてきた。エルファさんは悲しそうな表情をしていた。彼女が小さい声で言った言葉が俺の心に残った。
「分かりました。……ただ、私、昇様のことをあきらめません。いつまででも、待っていますから」
森の幸をふんだんに使った夕食を頂いた後、集会所に布団を用意してもらって寝ることにした。
「今日は私とエルちゃんが昇君の隣だよね?」
「まあ、しょうがないわね」
「残念です~」
「二人は前隣で寝たじゃないか。がまんしてくれ」
そんなわけで、今日はヨイチとエルシドが俺の隣で寝ることになった。
床について10分くらいしただろうか。ヨイチが寝ぼけて俺に抱きついてくる。シースほどじゃないけど、ヨイチも以外に豊満な胸をしている。その胸が俺の顔をうずめる。気持ちいいのだが息苦しい。体制を変えると、今度はエルシドが抱きついてきた。ヨイチ以上に豊満な体に抱きしめられ、気持ちいいのだが少し力が強い。そんな柔らかい女子の身体に包まれて、俺は眠りに落ちた。
ふと、目が覚めてしまった。エルフィーの姿が見えない。心配になって外に出ると、月をボーっと見上げているエルフィーを見つけた。
「眠れないのかい?」
「え? ええっ。あの、実は昇にお願いが……」
エルフィーは口をつぐんだ。だが、大体察しはつく。
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