第15話 初めての実戦Ⅲ
「魔物のボスとは俺が戦う。皆は他の魔物を倒してから俺と合流してくれ。ただし、俺がやばくなるまでは加勢しないでくれ」
「うーん、心配だけど、昇がそう言うなら任せるわ。ただし、危なくなったらすぐに言うのよ」
エルフィー達は、しぶしぶ納得してくれた。馬車に乗って村の近くまで来た。俺たちは戦闘の準備をして馬車から出る。ここからは歩きだ。
目視で村が見えた。数分後、100体ほどの魔物が村から出てきた。魔物もこちらに気づいている。
「スロウ・ショット」
ヨイチが2本の矢を放つも、一匹の魔物が衝撃波を放ち、矢を2本とも撃ち落とした。おそらく、あいつがボスだろう。
「ハリケーン・リッパ―」
エルフィーの魔法が発動する。しかし、3秒もしないうちに打ち消された。他の魔法や、弓矢による攻撃も、ことごとく通用しない。これ以上の遠距離攻撃は意味がないと判断し、真っ向から戦う決意をした。
敵と数十メートルの距離になった。
「
エルシドが魔壁を張る。その瞬間、人型の魔物がダッシュして魔壁をたたき切った。赤黒く、角の生えた人型の魔物。他の魔物とは異質な雰囲気を持っている。間違いなく魔物のボスだろう。
俺がそいつに切りかかっている間に、他の魔物と4人が戦闘を始めた。
ボスの斬撃は強力で、盾で受けても衝撃が伝わってくる。俺の斬撃は、ボスの盾で軽く受けられている。正直、分が悪いかもしれない。
ボスは呪文を唱えた。ボスの剣を、炎が蛇のように巻き付いている。炎をまとった剣で攻撃してくる。かわすこともできずに盾で受けた瞬間、炎が俺の全身を焦がす。あわてて、水魔法で消化する。魔法の鎧のおかげでダメージはあまりない。だが、安物の鎧だったら危なかった。悔しいが、装備に助けられた。
ボスを見ると、今度は剣の先に、赤黒い球状のオーラが浮かんでいる。俺がオーラを発見した瞬間、オーラは弾けて10個ほどの小さいオーラに分かれて、俺に向かってきた。
避けようとするものの、避けきれない。盾でも防ぎきれずに3つのオーラに当たってしまった。マッチョな男に、ハンマーでぶん殴られたかのような衝撃を受ける。それも、3か所に。俺は百メートル以上吹っ飛んだ。高性能な鎧の上からの攻撃でも、めちゃくちゃ痛い。
俺が弱っているところを見逃さず、ボスが一瞬で距離を詰め、苛烈な攻撃をしかけてくる。俺は防戦一方で、敵の攻撃をしのぐので精いっぱいだ。いや、鎧の質が低ければ、とうに死んでいるだろう。そのくらい、体に攻撃を受けていた。
ボスが剣に雷をまとわせ攻撃してきた。これはヤバい。俺の脳裏に走馬燈が浮かんだ。
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ここまでお読みいただきありがとうございます。
私の都合で申し訳ないのですが、19話まで今日投稿させていただきます。
20話の投稿は、6日の朝7時頃に考えています。
皆様のご感想をいただけると、励みになります。
今後もよろしくお願いします。
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