第14話 初めての実戦Ⅱ
エルシドがクマと戦ってる間に、俺たちはクマに遠距離攻撃をしかける。皆で協力したことで、簡単にクマを倒せた。
「昇さん、ケガしてるじゃないですか~。いま、回復しますね~」
シースが俺に抱きついてきた。訓練でケガをした時もそうだったが、抱き合って触れ合う面積が大きいほど、回復の効率が上がるらしい。俺たちは強く抱きしめあった。回復していく感覚も気持ちがいいのだが、それ以上にシースの柔らかい体の感触、何よりも爆乳の胸の感触が最高に気持ちいい。
「ちょっと、もう完治したんじゃないの?」
完治した後も、抱き合っていた俺たちの間に、エルフィーがわって入る。エルシドもヨイチも不満そうな顔をしていた。
「しかし、先ほどのオオカミの魔物といい、今のクマの魔物といい、聞いていた情報より格段に強いですね」
エルシドも不自然だと思っていたようだ。聞いていた情報はいったん忘れて、これからもある程度の強さを持つ魔物が現れると想定した方がよさそうだ。次の戦闘からは鎧もつけるようにしよう。暑いし、動きにくいからあまりつけたくはないのだが、そんなことも言ってられない。馬車の中ではつけないけど。
次に現れたのは、赤黒く、毛が青色で、武器を持った人型の魔物だ。5体いる。
エルシドと俺が近接戦闘をしたのだが、敵を切った時に内臓が出たのを見て、気持ち悪くなってしまったので、ヨイチと変わってもらって、俺は弓で援護した。魔物とはいえ、人型の生物に攻撃をくわえるのはやはり気持ち悪い。エルフィーに精神操作系魔法を強化してもらった。これで、人型の魔物の相手も問題ないだろう。
馬車に乗って移動していると、大きな農場が見えてきた。男たちが働き、先ほどの人型の魔物と同じ魔物たちが、それを見張っている。
人型の魔物は俺たちに気づき、襲ってきた。数が多く200体はいるだろうか。
「スロウ・ショット」
ヨイチが2本の矢を扇形に放つ。2本の矢は魔物の集団の右端と左端を通っていた。すると、こちらに向かってくる魔物たちの走る速度が遅くなった。
「二本の矢の間にいた者に、スロウを付与するスキルだよ。さあ、今のうちに数を減らそう!」
遠距離攻撃を一斉にしかける。魔物たちはどんどん死んでいく。近づかれても、また距離をとり遠くから安全に攻撃する。ついに魔物を全滅させた。
「すごいじゃないか、ヨイチ」
「ふふっ、もっと褒めてよ」
俺はヨイチの頭をよしよしと優しくなでてあげる。ヨイチは気持ちよさそうに目を細めている。
「ありがとうございます! 旅のお方。助かりました。ご無礼を承知でお頼みします。実は、私たちの村に魔物のボスがいるのですが、奴も退治していただけないでしょうか?」
「ええ、もとよりそのつもりでこちらに来ました。僕たちは、今はプルーメ王国の者です。ご安心ください」
「おおっ。これはありがたい。本当にありがとうございます」
村人に話を聞いたところ、数か月前に村を襲われ、女は全員連れていかれたらしい。そして、男たちは農作業を強制され、自分たちが食べる分はほとんどなく、できた作物は、ほぼ全て魔物に持っていかれるらしい。
連れていかれた女性が気にかかるな。もしかしたら、食べられてしまったのだろうか? ……考えていても仕方がないな。今は、魔物のボスを倒すことに集中しよう。
魔物のボスは、数十体の魔物と一緒に、村にいるらしい。
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