第7話 王の間

良い影響というのは、人間に対して良いように働く要素が大きかったということだ。

人間が魔物からこの世界を取り戻した後、人間は魔法を物を作る燃料、怪我を治したりする薬、そして人を倒したりする武器として使うようになった。

魔法言うのは様々な形をしていて、魔法使いと呼ばれる人間そのものに魔法が宿されているものや、道具自体に魔法が宿されているものがある。魔法使いは、元々魔法の力が宿されていない道具や人に対して微弱ながら魔法を与えたりする仕事を大抵している。


とりあえず言っておくが、僕は魔法使いじゃない。僕の村には魔法使いと呼ばれる人間はいたけれども、その魔法使いはかなり変わり者の奴で、魔法を貰いに来た人間は速攻で追い返すという、徹底ぶりだ。小さい時に、一度だけ親に連れられて魔法を貰いに行ったが、俺も貰うことはできなかった。まぁ、別に必要はなかったから良しとしよう。


「アウィッツさん。着きますよ」


エルメンターは、少しずつ上へと登っていくスピードを緩めていき停車した。


「とりあえず言っておきますが、ここから先は城といっても、普通であれば私たちも入れないようなところです。さっきまでの城の雰囲気とは違うから、気をつけて」


一体、エルメンターの扉が開いた先には何があるというのだろう?


扉が開き、王の間というものが目の前に現れる。


「ここが……王の間」


兵士の中の一人が、そう言葉を漏らした。確かに、さっき言ってもらった事は正しい。

ここは城のはずだ。さっきまで見てたあの城の内装というのは、この城にとっては偽りの姿だったのかもしれない。本来あるべき城の内装というのは、まさしくこんな王の間のような、青と白を基調とした、神聖で、芸術的なものをさすんだろう。


「さぁ、前へと踏み出してください」


僕は、王の間へと足を踏み入れた。

床に敷かれている絨毯は、かなり踏み心地の良いものだ。ここに入るとき、少し考えればよかったんだけれども、今の僕の服装って、かなりこの部屋にあっていないものだと思うんだよね。本当に、いつも来ている服で来たからこの部屋にドレスコートがないといいんだけれども、本当に心配だよ。



「―――あぁ、ようやく来たか勇者の末裔よ」



ドレスコートのことを馬鹿みたいに考えている僕に、前から呼びかける声がある。


「アウィッツさん。あの方がそうです」


そうか、あの人が……。


「あの人が、王様なんですね」

「その通りです。あのお方が、べスタート=アルファンタ=コフィル三世陛下。このべスタート王国の神聖なる君主であり、あなたを召還したその人そのものです」


その姿はまるで、何というか……例えていうのであれば“神様”というのが一番近いものだろう。


「ようこそ、王の間へ。勇者の末裔よ」


王様は僕のことを見て微笑む。何と優しい笑顔なんだろうか。

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