第11話 百機夜行

旭たちが操られた嵐剣皇と邂逅してから三日が経過。

その間、穿地研究所では所員総出の修理作業が不眠不休で進められ、二体のドリルロボは今や万全の状態にまで仕上げられていた。


「所長。捜索班からの報告です」

時を同じくして、穿地の元へ作業服とは異なるフィールドワーク用の制服に身を包んだ所員が帰還した。


「嵐剣皇の消息、捕捉できました。第7採掘区画の地下です」

「現行の採掘区画の真下に陣取っていたか。大胆だな、いや、道化なのか?」

報告を受けた穿地は、暫し目を伏し思案した後、結論を出す。


「虎珠皇と淵鏡皇を現場へ急行させよう」



待機していた旭と彰吾は、穿地からの命令を受けるとバネが弾かれたような勢いでドリルロボに乗り込み、研究所の格納庫から飛び出した。


「三日間がこれほど長いと思った日は無ェ。いくぜ、虎珠皇!」

虎珠皇は地中を。淵鏡皇は地表を爆走する。


「気持ちは分かってるつもりだけど…用心しなさいよ旭」

「あ?あとは突っ込むだけだろ!」


興奮を隠せぬ様子の旭とは対照的に、彰吾の面持ちは神妙だ。

「これまで全く尻尾を掴めなかった連中のアジトよ。今回に限ってこんなにあっさり位置が分かるなんて不自然だわ。アンタにも分かるように言うと、嵐剣皇も今向かってるアジトも“罠”かもしれないと思ってるわ」

「じゃあ、どうして何も言わず出撃したんだ」

「穿地所長もそれに気付いた上で命令を出してるからよ」


二人が言葉を少々交わすうちに、虎珠皇と淵鏡皇は目的地に到達。


「まあ、当然あいつは居るわよね」

いち早く目視で現場を確認した彰吾が、地中の虎珠皇に合図を送り前進を止める。

作業員を予め避難させ無人となった採掘現場に、あるはずのない人影が一つ。


その人影は身の丈およそ7メートル。

紅の甲冑から長い手足を伸ばした鬼面の巨人、嵐剣皇が立っていた。



――穿地が捜索班の報告を聞いていた頃――


「だいぶ食料も減ってきたわね……」


コクピット・シートでの仮眠を終えた夕は、暗闇の中手探りで密閉式の容器を空け、中に詰めてあるクラッカーを一つ取り出し時間をかけて咀嚼する。


橙色の獣と白い鉄人との戦闘から逃走した嵐剣皇は、再び『基地』と思しき灰色の空間に戻ると機能を停止。

夕の視界は再び暗闇に閉ざされた。


自宅から持ってきた携帯端末の時計により、三日が経過していることは判っている。

夕は暗闇の中孤独なサバイバルを続けていた。


(あの二体のロボットと戦っている時、何か変な感じがした……あれは、なんだったのかしら)


三日前の戦闘で目の当たりにした風景を何度も思い起こし、夕なりに分析する。

(またあの相手と会えれば、何かが、きっと……!)


初めて巨人の臓腑に放り込まれた時のように、ただ暗闇に怯え戸惑うだけの夕ではない。

今の彼女には、どこまでも生き抜く固い意志がある。


その一念を暗闇に灯し、虎視眈々と、死中に活を見出そうとしている。


そうして三日間、ただただ耐え続けた夕の視界が不意に明るさを取り戻す。

嵐剣皇が起動したのだ。


「嵐剣皇!」


呼びかけてみるが、やはり声に応える者は無し。

夕は姿勢を正すと大きく深く息を吸い込み、ゆっくりと吐き出す。

半透明の操縦桿に手を添えると、視界に指輪の銀色が目に入り彼女の意志を更に強固にした。



「そこをどけ!今の俺と虎珠皇の邪魔をする奴は、誰であろうと八つ裂きにしてやる!」


虎珠皇が右腕のドリルを突き出し、旭が啖呵を切る。

嵐剣皇は静かに佇むのみ。


「旭。嵐剣皇こいつはアタシがどうにかするワ。アンタは先に潜ってらっしゃい」

「やれるのか?」

「“誰”に向かって言ってンのよ?」


獣に代わり鬼面の巨人に向き合った嵐剣皇が腰を落とし臨戦態勢に入る。

そこへ通信端末からのコール。


「ちょっと、今忙しいのよ!」

勢いを削がれた彰吾は旭がよくやるように舌打ちしながら通信を受けた。


「緊急事態だ。やはりその地点は囮だったらしい。採掘都市が襲撃を受けている」


そう言う穿地は、緊急事態にしては落ち着き払っている。

「予感的中、ね」

「囮って事はここにゃ雑魚しか居ないのか!?」

それを聞いた側の彰吾と旭はそれぞれ相応の反応を返す。


「どこが襲撃されてるの!?」

「採掘都市――全域だ。採掘区画、居住区画問わず、ありとあらゆる場所からドリル獣が出現し破壊活動を開始している」




採掘都市の中心街。

大通りの中央に突如として亀裂が入り、身の丈3メートルほどの怪人が現れた。

鈍い鉛色の四角柱を人型に組み合わせたような姿で、頭がある位置にはドリル。

人々で賑わっていた大通りが、一瞬にして混乱の坩堝と化す。



採掘区画で作業をしていた男が突然地面に吸い込まれ、消えた。

すぐ傍に居た男の同僚も、異変の正体をさとる前に同じく消えた。

そして、地表に這い出してきたのは焼鉄色の大蛇である。

上あごと下あごの代わりに、二又に分かれたドリルが二人の作業員を串刺しにしていた。



民家の床下を突き破り這い出す大蜥蜴。

ビル郡の壁に張り付く数匹の蝦蟇。

逃げようとする自動車の後部に嘴をつき立てる駝鳥。

入院患者に覆いかぶさる巨大な芋虫。


それら全ての体の一部がドリルであった。

ドリル獣の大群が、採掘都市へ侵攻を開始したのだ。



端末のモニターから状況の一旦を垣間見た旭と彰吾は絶句した。


個体としてはドリルロボの敵ではない小型のドリル獣であったが、数が多すぎる。

一匹ずつ対処していては間に合わない。


「それに、この場をうっちゃって行く訳にもいかないわ!」

目の前には依然、敵の手に落ちた嵐剣皇である。

背を向けて無事では済まされまい。


「ドリルロボ各機に命令だ。淵鏡皇は嵐剣皇を沈黙させよ。虎珠皇はウズメ社の本社ビルへ急行だ」


「ウズメ社ですって!?」

穿地が口にした名に、彰吾が咄嗟に反応する。


「ドリル獣の群れは採掘都市の重要拠点を目指し移動しているようだ。重要拠点とは、そうだ、穿地研究所とウズメ社だ」

「研究所には向かわなくて良いのかよ?」

目の前に真の獲物が居ないことを知り冷静になった旭が問う。


「案ずるな。こちらはどうにかする。ウズメ社には防衛能力は無いであろうから、そちらを死守してくれたまえ」


「どうして……あそこがそんなに大事なのかしら」

先ほどまでとは反対に、彰吾の声が僅かに震えている。

こと戦闘においては冷静な彰吾であるが、少なからず動揺があった。


「採掘都市で一番デカい会社だろ?狙われるのも守るのもそんなに不思議じゃねぇだろ。ん……?ウズメ、うずめ?おい彰吾、お前って」

「ウズメ社はよ」

彫りの深い顔を歪ませ、彰吾は答えた。


「……そうか。それじゃあ、こっちは任せたぜ」

その答えには、平生から狂戦士、獣使いなどと揶揄される旭には不似合いな思慮が含まれていた。


彰吾自身の身の上を旭は知らない。

通信機越しに垣間見た彰吾の表情、声音から心境を汲み取ったのだ。

とは言え、何ら確信があったわけではない。

『家族』の二文字が旭にとっては狂気の源泉であるように、宇頭芽彰吾にとっても重要な根をもった部分であると勘じたに過ぎない。


虎珠皇は背中を淵鏡皇に預け、ウズメ社の方角へ転進すべく穿行体勢に入った。

その時、虎珠皇から十歩ほど先の地面が大きく揺れ放射状に亀裂が入る。

「野郎もここへ来やがったか!!」


虎珠皇が知覚した気配を読み取り、旭が両眼を見開き“笑み”を作る。

食いしばられた歯が並んで見える笑顔は、人間が歓喜する顔ではない。

獣が敵を威嚇する顔である。


「時命皇!」


叫びに応ずるかのように地面が弾け、墨色の巨人が虎珠皇に対峙した。


「虎珠皇よ。ウズメ社には行かせん。奴らは“同胞”を奴隷の如く扱う悪鬼。討たねばならん」

時命皇が右腕の前腕からドリルを伸ばし、切っ先を虎珠皇に向ける。


「やい、手前ェ!いつぞやの借りはここで返させて貰うぜ!」

相対した虎珠皇も右腕をドリルにして構える。


「虎珠皇よ、貴様の力を再び見せてもらおうか」

時命皇が語りかけるのは、やはり虎珠皇であり旭ではない。

人語を解する以上、旭の言葉が聞こえていない筈はなく、眼中に無い事を態度で示しているのだ。


「なあ、おい、お前。今、とか言ったよな。それってもしかして、のことだったりするか?」


旭は虎珠皇の左手の親指で、採掘機械に積み込まれたDRLの原石を指してみせる。

嘲笑うかのような声音は、挑発の意図を含んでいた。

虎珠皇こいつの感じた事は俺にも分かるんだ。時命皇!テメエはドリルロボじゃねえ!ドリル獣でもねえ!DRL『そのもの』だな!?」


「……喧しい。貴様は引きずり出して八つ裂きにしてくれよう」

時命皇がドリルの回転数を上げたのを見て、旭が犬歯をむき出す。

虎珠皇もドリルを唸らせる。


「野郎、図星だったか!やるぞ虎珠皇!落とし前つけるぜ!」


虎珠皇と時命皇が戦闘態勢に移ったことを合図としてか、沈黙を保っていた鬼面の嵐剣皇も動き始めた。

「それじゃ旭、そっちの……時命皇は頼むわよ!アタシは嵐剣皇を!」


彰吾はスロットルを開放。

淵鏡皇の内燃機関が爆音を放ち、白い巨体が大地を滑走。


橙に黒、紅と白。

巨人の闘争が四色の巴となり廻り始める――――


*


採掘都市の人工の空、その天蓋につかえそうな程の高層建築物がウズメ社の本社オフィスビルである。


階層は実に150階。

最上階へ至るまでのオフィスの廊下は悉く血に染まり、所々にスーツ姿の社員や警備員の死体が転がっている。

その死体の全てが、身体に大穴を穿たれていた。


最上階、社長執務室。

黒光りする巨大なデスクと同じく黒い革に包まれた椅子に壮年の男性が収まっている。

傍らには同じ年代の女性。

共にオーダーメイドのスーツに身を固め、自らの座す位置と同じく高みから圧するような気配を放っている。


彼がウズメ社の社長、宇頭芽彰三しょうぞう

彼女が秘書であり妻の梓乃しのである。


二人は執務室のモニターに映し出される階下の惨状、採掘都市の惨状を見やっていた。

その表情には恐れも同様も無い。

宇頭芽夫妻の貌は、仮面のようであった。


扉が蹴破られ、両脇に異形の怪人を従えた白衣の青年が革靴に付いた血糊を足下の絨毯になすりつけながらウズメ社・社長にした。


「はじめまして、宇頭芽社長。と、そのご夫人。ワタクシ、九十九と申します」


九十九が芝居がかった動作で頭を下げる。

両脇に控えた真鍮色と鉛色の怪人が、こと切れた守衛から腕のドリルを引き抜き後に続いた。


「おや、そのモニター……ご覧になっておられましたかぁ!これね、僕が仕掛けたんですよ!ハハハ、どうですか!驚きました?」

無邪気に笑う九十九を、なおも宇頭芽夫妻は仮面のような表情で眺めている。


九十九はおどけたように首をかしげながら一方的に話を続ける。

「おや、あまり驚いておられない?それとも、理解が追いついておられない?まあ良いです。単刀直入に申し上げましょう!」

顔面の笑顔はそのままに、その奥の瞳に狂気の光を宿しながら。


「この会社、ボクが頂戴いたします」


彰三の眉が一度だけ動く。

「今まで。これからはこの九十九が、精一杯、後任を務めさせて頂きますので――」

九十九は言いかけ、喋りを中断する。

宇頭芽彰三が何かを口走ったのだ。


その声をしかと聞いたのは九十九と、傍らの妻・梓乃のみ。

間近に居る者が辛うじて聴き取れるほど小さく早口の『返答』であった。


その言葉を耳にした瞬間、九十九の口端が裂けるほどにつり上がる。

「へぇ……そういうこと。面白いことやってるじゃない!」


九十九は白衣を翻し踵を返すと、社長室を後にする。二体の怪人も後に続いた。

宇頭芽彰三と宇頭芽梓乃は、高笑いしながら歩くその背中を仮面の顔で見送るのであった。



「さあ、どうする穿地元?君の採掘都市がピンチだねえ」


採掘都市に点在するアジトの一つに戻った九十九は、ドリル獣から送られる各地の映像を同時にモニターしている。

ほくそ笑む九十九の顔面に画面の光が照り返す。


数百に及ぶモニター群の一角が、同一の建造物を映し出す。穿地研究所である。

九十九の顔が狂烈なる歓喜で左右非対称に歪んだ。



穿地は自室である研究室で、端末に向かいながら所員の報告を聞いていた。


「所長。防衛ライン突破されました。ドリル獣、研究所の敷地へ侵入」

冷静に話す中年と言うにはやや若い男には穿地の面影がある。

彰吾曰く、何名か居る『親戚』の一人である。


研究所の外では現にドリル獣による攻撃が開始されている。

研究所本館を取り囲むように展開された超合金製の隔壁が揺れ、振動が窓ガラスを叩く。


「一般所員の退避は完了しているな。いよいよか、ああ、いよいよだ」


「敵の数は現状50程度と思われます。隔壁は5分と持たぬかと」

「充分だ」


おもむろにキーボードを叩く。

その速度は肉眼で捉えられぬほど。

然る後、デスクの一角に隠されたハッチが開き、黄と黒の虎縞に囲われたスイッチがせり出した。


透明カバーを破りスイッチを押すと、研究室の床が室内の人間ごと猛スピードで“落下”を始める。

地表よりも低い位置まで落ちると、数回にわたり水平移動と落下を繰り返す。


十秒ほどで小さな会議室ほどの空間に到着した。


穿地を中心に扇状に座席が配置され、10数名の所員がモニターや計器類を観測しキーボードやスイッチを操作している。


彼らは皆、一様に同じ面影がある。


ここは、面影の主である穿地元を中心とした、研究所の精鋭が集う『司令室』であった。


「あとは所長の起動操作のみです」

ひたすらタイピングを続けていた青年が、少し高い位置に座す穿地を見上げる。

「ああ。時間もない。さっさと始めてしまおう」


穿地がまたも不可視の速度で座席の脇に備え付けられたコンソールを操作する。

司令室正面の巨大モニターが暗転し、何千行もの白い文字が羅列されていく。


「『kaichi.tfm』――実行開始」



研究所の周囲に異変。

敷地全体が振動し、地盤ごと持ち上がる。

研究所に殺到していたドリル獣は進撃を止め警戒し始めた。


建物のコンクリート壁が崩れる。

素っ気無い打ちっ放しの建築物はまさしくカムフラージュであり、内側から現れたのは黒光りする鋼鉄の壁だ。


円柱の塔の如き威容。

表面には大小ある突起が規則的に並んでいる。


塔の壁が動く――回転を始める。

敷地の地面に地割れと呼ぶべき亀裂が無数に走り、天を衝かんばかりに塔が伸びる。

一瞬にして聳え立った鋼鉄の塔。

削岩刃で覆われた円柱の土台には左右6本、合計12本の脚が備えられ全体を支えている。


「変形プログラム完了コンプリート


所員がモニターの表示を指差喚呼する。

穿地は頷きの後、宣言。

「移動要塞研究所『回地かいち』、これより行動を開始する」


塔の壁面が回転速度を増す。

螺旋の溝に配置された発射口が展開し、搭載された兵器を一斉に発射した。


機関砲、榴弾、ドリル弾頭ロケット、ミサイル。

更に足元からは地中魚雷に火炎放射――押し寄せたドリル獣を多い尽くす大火力が薄暗い採掘都市の天蓋を赤く照らした。


「周囲の残存敵勢力、4……いえ、2です」

「ただ一回の射撃でほぼ全滅か。よもやこの程度の手駒で行動を起こすとはな、まあ容易く済むに越したことはない、それもそうだ」


回地の初撃で生き延びた数匹のドリル獣も、数射の追撃により容易く消し炭になった。


「続いて躯体更新コマンドを採掘都市全域へ送信。魔物の尻尾ども、『私の採掘都市』の力を見るがいい」


穿地の指示を受け、所員達が一斉にキーボードを叩く。

モニターには採掘都市全域の地図が表示され、回地の居る地点を中心にして色が塗り替えられていく。



回地の活動開始と共に、採掘都市に更なる異変が起きた。


繁華街に乗り捨てられた乗用車が突然動き出し、開放したボンネットからドリルが出現。

数台の車が独りでに走り出し、怪人型ドリル獣を四方から串刺しにした。


採掘区画では作業機械が自らの意識を持ったかのように動き始め、ドリルとカッターを巧みに操り蛇のようなドリル獣に立ち向かう。

突然の事態に呆然とする作業員達を尻目に、作業機械は大蛇を解体していく。


民家に侵入した小型のドリル獣も、或いは電子レンジが発射したプラズマに焼かれ、或いは冷蔵庫の光線で一瞬にして氷漬けになった後テレビからの破壊光線でなぎ払われた。


遁走しようとする蝦蟇も、ビルに設置された自家用発電機からの電撃を受け石灰の塊となる。


人々を襲うドリル獣に反撃を始めたのは、この採掘都市にはありふれた電化製品、乗り物、諸々の機械である。

それら全てに、穿地研究所が実用化させたDRLが用いられていた。



「な……なんだよコレは!?DRLのガラクタ全部に戦闘機能をって言うのか!?」


モニター全てから映し出される逆転の様相に、九十九は狼狽の色を隠せない。

突然、数百のうち一つの画面からこちらに話しかけてくる男の声がした。


「どうせ何処かで見ているのだろう。ツメが甘かったな『九十九』よ」


音楽プレイヤーが中継するその声の主は、他でもない穿地である。

「これがDRL躯体更新プログラム。伝統に則り言うならば――」

プレイヤーから発射されたディスクが小型のドリル獣を両断。


「ドリル奥義『百鬼夜行』だ」


モニターに共有されていた視界と音声は、そこで途切れた。


「虚仮にしやがって……穿地、元ッッッ!!!」

それまで九十九の顔面に張り付いていた薄笑いは一転、顔中が渦を巻いているかのような憤怒の形相となる。

乱暴に叩きつけられたモニターの一つが、画面の破片を床に撒き散らした。

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