金魚鉢4 女主~裸体遊戯
「アンタの兄さん。アンタを売った金で、さっそく
女性は
女性は
遊郭の支配人である彼女は、モリス柄のカウチソファに寝そべっていた。
年齢は
「脱いで……」
無造作に、この遊郭の女主は言った。ぎょっとフクスは翠色の眼を見開いた。
「あら、出来ないの?」
女主は挑発するようにフクスに囁きかける。フクスは彼女を睨みつけ、
ベルトを取り、腰に巻いているパーシンを床に落とす。上半身を
フクスの裸体が
フクスの頭部には、艶やかな赤い狐耳が生じていた。その狐耳の下には整ったドールヘアが続く。
人間と同じ肌色の顔は
まだ14歳であるフクスの体は成人女性に比べると細く頼りない。だが、その体は美しい赤毛で覆われ、先端が桜色をした形の良い
「度胸も体も悪くない……。良い買い物をしたもんだよ」
にぃっと女主が笑う。彼女の唇から紫煙が
女主は狐耳をゆったりと
「あぅ……」
びくりと、フクスは体を震わせていた。甘い
「感度も上々だ。さっそくキンギョにしたいところだが、お前は見習いのフナからスタートだ。見所はあるし、先輩のキンギョに面倒を見させようか。そのキンギョから、色々と学んで一人前になるんだよ。お前の先生は、そうだなぁ」
「呼んだ、オーア?」
女主の言葉を、
聞き覚えのある声。はっと我に返ってフクスは右側にある扉へと顔を向ける。
どくんと、フクスの心臓が跳ね上がる。蒼色キンギョが飾窓で見せた
フクスを挑発するように、彼女は笑ってみせた。水色の髪が、さらりと蒼い毛に包まれた裸体を
「ミーオ。この子をキンギョにして欲しい。今日からお前が面倒見てやれ」
「えぇ、急に言われても……」
「お前、言ってたよな。寂しいから美少女のフナが一匹欲しいって。約束通り、仕入れてやったぞ」
にぃっと女主人は笑ってみせる。蒼色キンギョは不満そうに顔を
蒼色キンギョの眼が困ったようにゆれる。彼女はじぃっとフクスを凝視した。深い瑠璃色の眼に見つめられると、気持ちが落ち着かない。何だか気恥ずかしくなって、フクスは彼女から顔を
「あら、嫌われてるぞ、お前」
「えっ、嫌なのっ?」
可憐な声が震えている。フクスは驚いて、蒼色キンギョに顔を戻した。彼女の眼は
「嫌じゃ、ないけど……」
たどたどしく、フクスは彼女に話しかけていた。蒼い猫耳をひゅっと立ち上げて、蒼色キンギョはまん丸にした眼を向けてくる。彼女は
「良かった! 嫌われてない!!」
蒼毛に覆われた小振りな胸がフクスに
同じ女性なのに、彼女からは甘やかな香りが漂ってくる。うっとりとフクスは眼を伏せ、彼女の蒼い猫耳に鼻を近づけていた。
「あぁジャスミンの花。さっきまで耳につけてたから。お客さんが、くれたの……」
「兄さんが……」
フクスの脳裏にレーゲングスの微笑が浮かぶ。
まだ幼かった頃、レーゲングスはフクスの狐耳をブーゲンビリアの花で
兄は成長するとともに、フクスの狐耳に花を飾らなくなった。フクスが
その理解が進むにつれ、レーゲングスはフクスに笑顔を見せなくなった。笑顔はいつしか
そんな兄が、蒼色キンギョの猫耳に花を
「うん、好みの顔してる……」
蒼色キンギョが耳元で囁く。フクスは、驚いて彼女の顔を見つめていた。瑠璃色の眼を無邪気に細め、彼女はフクスの手を
「行こう、フクスだっけ。私はミーオ。みんなは蒼色キンギョって呼ぶけどね」
ミーオが笑う。まだ幼さが抜けないその顔を見て、フクスは眼を見開いていた。飾窓で踊っていたときの
「どうか、した?」
ミーオがこくりと首を傾げてくる。
「うぅん、何でもない」
「じゃ、行こうよ。お話したいことも、いっぱいあるし」
フクスは笑を取り繕う。ミーオは笑みを浮かべ、フクスの手を引いた。
「ちょっと待て……」
女主が、そんな2人に声をかける。
「家は娼館だが、
フクスの来ていたタイドレスを
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます