その6 『エーユーフォーインテーマパーク。エーユーフォー対モグラガディアス』

 ガディアスを操っている神国財閥。

 しかし、ガディアスにはユーフォーディスクが付いたものと付いていないもの、言葉を喋るものと喋らないものがある。

 ユーフォーディスクのついたガディアス、ドラウマケンタウロスは最初にエーユーフォーを見たとき、仲間のガディアスかと思っていた。しかし、ユーフォーディスクの付いていないガディアス、ゼブラディアンは、問答無用で攻撃してきた。

 しかも、ゼブラディアンは良樹と十文字よりも最優先でエーユーフォーを狙ってきた。ドラウマケンタウロスはそんなことはなかった。


 あるキャンプ場を襲った蛇の怪人。守はエーユーフォーに変身し、怪人を倒した。その疲れも癒えぬうちに、次はユーフォーディスクの付いた翼がはえたガディアスが現れたのだ。

 蛇怪人との戦いで川辺に流された守はその川辺でそのまま人間と鳥があわさったような形の、翼の生えたガディアスと戦うこととなった。



1--モグラのキャラってだいたいデザイン同じ


「みつけたぞ、ギアドライバーを付けたガディアス。大和の邪魔をすると言うならば始末させてもらう」

 喋るガディアスだ。


「お前も大和のペットか。哀れなものだな、操り人形のまま死んでゆくとは」


「貴様に大和の何がわかるという。俺たちは、大和を信じて、あいつが地球の自然を取り戻してくれることを信じて戦っている!」


 翼に炎が灯り、翼の生えたガディアスは飛び上がった。空を飛んだ。守は胸の赤いディスクを銃へと付け替え、火の玉の弾丸で攻撃する。だが自在に空を飛ぶ敵は軽々と攻撃をかわす。

 只でさえ、連戦で体がふらつき、狙いが定まらないというのに、空を飛ぶ敵を捉えることができるのか。

 胸の赤いディスクを銃へと付け替え、空を舞う翼の生えたガディアスへと、攻撃する。赤のディスクの力により、火の玉が発射されるが、空を自由に飛び回る相手にはまったくあたらない。

 早くどうにかしなければならない。ガディアスはその翼を羽ばたかせる。すると、燃えた羽根がとんできた。ミサイルのような炎の羽根が雨の様に降り注ぐ。

「火には水!」

 とっさの判断で川へと走る守。着弾した炎の羽根が水しぶきをあげる。ジューっと音を立て水を蒸発させる羽根。これは当たったらただじゃすまない。

 反撃に火の玉の弾丸を飛ばすが、やはり当たらない。羽を羽ばたかせ、自由に空中を移動し、守の放った弾丸をひらりひらりとかわす翼の生えたガディアス。ならば、弾の速度の速い青の弾丸でと、銃のディスクを青色に取り替え、赤のディスクを胸に戻した。

 銃から青いレーザー光線が発射される。しかし、それでも当たらない。

「くそ!どうすれば!!」

 翼の生えたガディアスは上空から炎の羽根を飛ばし攻撃をしてくる。巻き上がる水しぶき。

「水……っ!?そうだ!」

 炎の羽根により舞い上がった水しぶきと水蒸気、これに向かい青いレーザーをはなった。すると、レーザーは乱反射し、拡散した。

 守は拡散し降り注ぐレーザーを水中に飛び込みやりすごした。しかし、上空にいた翼の生えたガディアスは全身に拡散レーザーを受けた。

「ぐわああああ!」

 落とされた翼の生えたガディアス。地面に叩きつけられ倒れたところに、守はのしかかった。

「言え鳥野郎!お前には聞きたいことがあるんだ。大和に側近のような奴はいるか!」


「な、なんだお前は!なぜそんなことを!」


「大和は、俺たちと一緒にザリガニマンを作ったんだ!そのあいつが人間を殺して理想郷を作るなんて言うわけないんだよ!」


 守は翼の生えたガディアスにのしかかったまま、銃口をガディアスの頭に突きつけた。すると、ガディアスが。


「ま、まて、お前、ザリガニマンを作ったって!?」


「言っておくが、お前たちのザリガニマンとは違う。俺や大和とみんなで作った。大和川の自然を守る、真のザリガニマンだ」


「お、お前!お前、守か!大地守なのか!?」


「な、なに!?なぜ俺の名を!?」


 守は銃を離した。そのまま立ち上がり翼の生えたガディアスからはなれた。ガディアスは立ち上がると、横に割れスライドした長方形のような、ベルトのバックルを長方形にもどるようにスライドしなおした。すると、翼の生えたガディアスは人間の姿になった。

 しかも、守のよく知る人物だった。


「か、かける!?空翔そらかける


 空翔。空翔と書いてそらかけると読む。空が姓でかけるが名だ。昔から少し不良っぽく目つきの悪い奴だった。だが、見た目に反して暴力は振るわない。口が悪いだけだった。

 守もギアドライバーのギアを逆回転させ、元の姿に戻った。かけるには守のフォトンベルトと同じタスキ状のベルトに真紅のユーフォーディスクが装着されている。


「守。やはりお前だったのか!」

と、かける


「お、お前、なんでこんなこと!?人殺しに加担するようなことやって!!」


「ま、まて守!人殺しとはどういうことだ!さっきお前、大和が人殺しをしてるとか言ってたな!」


「ああ、大和は、自然を破壊する施設や人をガディアスに襲わせている」


「ば、ばかを言うな!俺は大和に頼まれてガディアス討伐をしている!そのためにこのエボルギアドライバーとユーフォーディスクを託されたんだぞ!」


「な、なに!?大和がガディアス討伐を!?」


「そうだ。守、もしかしてお前。誰かに騙されてるんじゃねえだろうな」



2-- 遊ぶのが子供の仕事だ


 蛇のガディアスと戦った直後、守を襲ってきた翼の生えたガディアスの正体は守の旧友だった。

 空翔。そらかけると読む。この男もかつて守や大和たちと共に大和川の自然を守ろうと立ち上がった大和川自然保存会のメンバーなのだ。


「俺だって、何かの間違いだって思いたいさ」

と、守


「なに?」


「でも、俺は大和自身の口から、自然を破壊する施設や人を襲う計画を聞いたんだよ」


「な、なに!?」


「お前は聞いてなかったのか?」


「そ、そんなハズがないだろう。大和が、そんなこと!俺が利用されてるってことだろそれは!」


かける……」


「大和に直接会って問い質してやる!」


 そう言うと、かけるはベルトのバックルの上部を左へスライドさせた。するとまたガディアスの姿になった。そして、羽を広げ、飛んで行った。


「おいおい!俺にも聞きたいことがあったんだぞ!大和からガディアス討伐を頼まれたって!」


 守の声は届かずに、小さくなって行くかけるの姿を見送るしかなかった。


「ま、まったく。なんなんだよ一体」


 山路を小一時間彷徨い、十文字たちと合流した守。どうやら、これからガディアス対策本部の殲滅隊が駆けつけ、残った蛇怪人は駆除されるようだ。

 家族と友人を失ったゆうたはとりあえずは十文字斑であずかることになった。施設が見つかるまでの間だけだ。

 そこで守が。

「よっしゃあ!じゃあ明日は遊園地でもつれてってやるよ!」


 しかし、ゆうたは返事もせずに車の中のイスの端っこで黙り込んでいる。すると、緑が。


「バレットにしてはいいこと言ったじゃない。いつまでも落ち込んでても駄目だしね」


「みどり姉ちゃん……」


 みどりの声は聞こえるようだ。

 次の日、守と緑はゆうたを連れて遊園地へ来ていた。ベンチに座る緑とゆうた。守にソフトクリームを買いに行かせ、ここで、二人で待っているのだ。ゆうたが話しかける。


「ねえ、みどり姉ちゃんはどうやって立ち直ったの?俺は、これからどうすればいいんだろう」


「そうね……私だって、まだ立ち直れてなんかないわ」


「え?」


「家族を皆殺しにされてから、ガディアスを全滅させることだけを生きる意味にしてるだけよ」


「お、俺にもそうしろって?」


「ゆうたは、そんな人生歩まないで。あんたの生きる意味を見つければいいのよ」


「……でも、俺にはもう何もないよ。友達も家族も」


 その会話の差中、割り込むように地面が盛り上がり、大量の土とコンクリートが、噴出した。


 噴出する土にまぎれ、両腕がドリルになった巨大なモグラのような怪人が現れた。ずんぐりとした体型の怪人がずっしりとした体を地面へと着地させた。

 重量感を感じさせるズシンという音とともに、大地に降り立った巨体。遊園地の石畳が粉々になった。


「うわああああ!」


 ゆうたは腰を抜かしてその場に座り込んでしまった。周りの人たちは逃げて行く。


「ゆうた!」

 緑は座り込んだゆうたの手をとり、立ち上がらせたが、振り上げられたモグラ怪人のドリルの腕は二人を捉えていた。


 ソフトクリームを三つ持った守にも怪人は見えていた。

「フォトンエヴォルブ!」


 変身と同時に三つのソフトクリームを放り投げた。そして腕のUFOの飾りを反時計回りに回した。

「反時計回りは、引き離すキャトルミューティレイション!」

 腕から放たれた光線を三つのソフトクリームにあてるとソフトクリームは浮き上がった。そして、ドリルの腕を振り上げた怪人を後ろから蹴り飛ばし、ゆうたと緑を助けた。


「大丈夫だったか?」


「お、おにいちゃんは……誰?」

 ゆうたはエーユーフォーが守だと気づいていないようだ。


「通りすがりの仮面宇宙人だ。覚えておけ」


 緑はキャトルミューティレイションで浮いたソフトクリームの真下にきた。それをみて守は光線の量を調節し、ゆっくりとソフトクリームを降ろす。それを緑がキャッチ。見事なコンビネーションによりソフトクリームは守られた!


「さあ、仮面宇宙人さん、今度はその怪人をやつけちゃいなさい」


「まかせたまえ!君たちは早く逃げるのだ!」

 目一杯ヒーローを気取り、二人を逃がす、観覧車をバックにエーユーフォーとモグラ怪人がにらみ合う。


「おいモグラ野郎、言っておくが俺は最初から最後までクライマックスだぜ!」




--3 俺がいる限り、誰も絶望させはしない。




「超変身!」

 守は胸のディスクを赤から黄色へと変えた。パワータイプのインセキディスクだ。

 モグラ怪人はドリルの腕で攻撃してくるが、赤のディスクをセットした銃で距離を取り戦う。相手がでかいので当てるのは容易だ。


かけるのやつと戦った時とは大違いだぜ!これは楽勝だ!」


 だが、モグラ怪人はそれを物ともせずに守の方へ向かってくる。かけるが変身した翼の生えたヤツとは対照的なパワータイプだ。ゴリ押しで守へ接近した。


「ま、まあこんなこったろうと思ってパワータイプに変身したんだがな」


 怪人の両腕のドリルが空気を渦巻けるような音を立てて回転しだした。

 鋼鉄のような巨大ドリルを振り回すモグラ怪人。

 エーユーフォーインセキモードとモグラガディアスのパワーとパワーがぶつかり合う。

 緑とゆうたが逃げた先のフードコートには何故か良樹がいた。

「なんであんたがいるのよ」


「ご、護衛役だよ」


 守と緑が一緒だというので気になりついてきていたのだ。


他の客たちは従業員や警備員に誘導され逃げ切ったようだ。良樹たちは守をサポートするためにこっそりフードコートの店の中に隠れていた。

 遠くで戦う守とモグラガディアス。ゆうたの目にもそれは映っていた。店のカウンターから頭だけだし、戦いを見守る。

「そうだ……俺にはもうなにもない、家族も親友も、夢も希望もなくなった。でも、あの仮面宇宙人さんみたいに、戦う力があったら!」

 すると、良樹が。

「やっぱり、お前も俺たちと同じ結論にたどり着くのか」


 緑、良樹、ゆうたが見守る中。守は、黄色のエーユーフォーのパワーを生かし、怪人の片腕のドリルをパンチで粉々に砕いた。

 そして、胸のディスクを赤色にチェンジ!

「超変身!」

赤のエーユーフォーへと変わった。


「その厄介なドリルさえなくなれば!貫ける」


 守は足のUFOの飾りを回し、キャトルミューティレイト光線を出し、モグラガディアスを引き寄せる。


「ライダー……キック!」


引き寄せた相手に上段回し蹴りを食らわせた。

 ガディアスは爆散


「シュワッチ!」


 守は空を飛ぶ真似をしながら走り去った。


 「かっこいい」

 ゆうたが呟いた。


 緑、良樹、ゆうたの三人に守も合流。


「あれ?俺のソフトクリームは??」

と、守。そして良樹が

「え、ちょうど3本だったからもらっといたぜ」


「て、てめぇ!ソフトクリームの恨みは一生もんだぞ!ってゆーか、なんでお前がいる!」


「も、もちろんガディアスの調査だぜ!」


 ソフトクリームは守れなかったが人は守ったエーユーフォー。さて、次回はどんな敵が現れるのか。


~つづく~

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