商人戦隊ボルタック第12話「逆襲の超電磁ロボ」

 小さな画面の中では、「木」を司る青い髪の美青年リーダーがアップで叫ぶ。

「カモン! ウッドボルタック!」

 木製の巨大パーツが飛んできて合体する。

 その回のボスキャラ、巨大電磁石を操る悪のロボットと戦うための秘策だ。

 じゃあ、背骨や肋骨のようなメインフレームは何で出来ているのかという話になるが、そこは突っ込んではいけないところである。

 電磁石が効かないので、悪のロボットはどこからともなく巨大なチェーンソーを取り出して攻撃してくる。

 ボルタックのパーツは木製だからすぐに切られてしまう……と思いきや、これが知恵者のリーダーが張った罠だった。

 粉砕されたパーツの破片が、霧のように宙を舞う。

 それが悪のロボットを包み込んだとき、火を操る主人公の熱血少年が叫んだ。

「カモン! ファイアボルタック」

 飛んで来た真っ赤なオプションが、次から次へとメインフレームに装着される。

「バーニングアームズ・スパークショック!」

 生半可な声優がやったら額に浮いた血管が切れて血を噴くんじゃないかと思うような絶叫が、主人公の口からほとばしる。

 今では全面禁止の透過光バリバリの閃光と共に、悪のロボットが粉塵爆発に呑まれた。

 次回予告が入ってエンディングテーマが流れと、今回は出てこなかったメカが操縦者と共に次々に現れる。

 巨大ドリルで地を潜る「アースボルタック」。「土」を司るガキんちょが、チームのボス面してふんぞり返っている。

 巨大な剣や斧で近接戦闘をする「メタルボルタック」。「金」を司るセクシーなお姉さんが色っぽいポーズで微笑んでいる。

 水中を高速移動できる「ウォーターボルタック」。「水」を司るスキンヘッドのクールなおっさんが作務衣姿で座禅を組んでいる。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る