【黒一点SS】 拓馬「相手が自分を何回オカズにしたか分かる眼鏡?」

四章が佳境に入っていますが、唐突にネタSSを書きたい衝動に駆られてやってしまいました。後悔はありません。


【注意】キャラクターが壊れまくっていますが、パラレル世界の話なので本編とは関係ありません。関係ありませんから!



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四章のある日。


―中御門邸・南無瀬組用離れ・拓馬の部屋―



拓馬 「相手が自分を何回オカズにしたか分かる眼鏡……なんだこれは、たまげたなぁ」


拓馬 (『いつも炎タメテレビに出てくださるタクマさんへのお礼の品ですよ、うぷぷぷ』ってフードを被った番組スタッフからもらったプレゼント。説明書を頑張って日本語翻訳したらとんでもない代物じゃねぇか)


拓馬 「いや、でもオカズを視覚化するって。荒唐無稽にも程があるぞ。ははは、きっと悪い冗談だな」


コンコン。


真矢 「拓馬はん。用意できとる?」


拓馬 (真矢さんか。今日は南無瀬領に帰る日だったな。っと、そうだ。何も変わらないと思うけど、この眼鏡を掛けてみようかな)


ドアガチャ。


拓馬 「はい、もうすぐ帰る準備が終わりま……すぅ……うぇ」


真矢【360】 「どないしたん? 急に目を丸くして? それにその眼鏡は……」


拓馬 「い、いえ。ナンデモアリマセンヨ。メ、メガネは気分転換で少々」


真矢【360】 「そうなん。ほな、準備が出来たら居間に来てな。よろしゅう」


拓馬 「は、はぁい」


ドアバタン。


拓馬 (お、落ち着け。クールになるんだ。真矢さんの頭に浮かんでいた【360】の数字。説明書通りなら、真矢さんは俺を360回オカズにしたのか。360と言ったら約一年。俺が真矢さんと出会ったのは大体一年前。つまり、ほぼ毎日俺をオカズにしているのか……や、やべぇ日課になっとる)


拓馬 「い、いや。本当にオカズにした回数なのか分からないし。と、ともかく早く荷物をまとめよう」


ごそごそ。


拓馬 「ふぅ、こんなもんかな。毎週南無瀬領と中御門領を行き来しているから、荷造りも慣れたもんだ。で、この眼鏡は……とりあえず掛けておくか。性能をもっと検証したいし」



―離れ・居間―



組員A【1339】 「こんにちは、タクマさん。おや珍しい。今日は眼鏡ですか」


組員B【1145】 「南無瀬までの道中は私たちがしっかりお守りしますからご安心を」


拓馬「」


組員C【1477】 「どうしました? 口をぽかんとして」


拓馬 「ちょちょっとビックリしただけです。問題ないです」


拓馬 (日課どころじゃねぇ! 三度の食事以上にオカズにされているッ!)


拓馬 「ううう……」


真矢【360】 「拓馬はんっ! 顔が真っ青やで! 気分でも悪いんか!?」


拓馬 「み、みたいですね。出発までまだ時間がありますし、ちょっと外の風に当たってきます」





―離れ・外―



拓馬 「この眼鏡……性能の真偽はともかくあまり掛けない方がいいかな。人間不信になりそうだ」



→眼鏡off


スッスッスッ(清楚な足音)



由良 「あら、拓馬様。もう出立なさるのですか?」


拓馬 「由良様っ……いつもお見送りしてくださってありがとうございます。出発まで外で時間を潰しているんです」


由良 「そうでございますか。でしたら、僭越ながらワタクシが拓馬様の話し相手に」


拓馬 「僭越って、由良様の方が俺よりずっと立派な方じゃないですか。俺の方こそ由良様に話しかけてもらって光栄です」


拓馬 (ーーって、ここから恒例行事・互いをヨイショが始まるんだけど……由良様を眼鏡越しに見たい。清楚な人だからきっと【0】なんだろうけど、なんだか無性に見たいぞおおお!)


拓馬 「あっ、由良様! 庭の向こうに暴走する掃除ロボットが!?」


由良 「えっ? そんなはずは……」


拓馬 (今だっ!)



→眼鏡on



由良 「はっ!?」シュバッ!


拓馬 「……ん? 眼鏡を掛けている間に、由良様のいた場所が無人に。あ、あれ由良様? 由良様いずこ?」


由良 「拓馬様」


拓馬 「ぬぅ、由良様のお姿は見えないのにお声だけが聞こえてくる」


由良 「そのお眼鏡から面妖な気配が漂ってきます。不吉です」


拓馬 (面妖なのは一瞬で消失する由良様では?)


由良 「申し訳ありません。今日の見送りは出来そうにありません。道中お気を付けくださいませ」シュバッ!


拓馬 「は、はぁ……完全に声が聞こえなくなった。本当にいなくなったのかな」


音無 「み・い・け・さぁ~~ん!! こんな所にいたんですね! そろそろ出発ですよ!」


椿 「道中のねっとり警護、任されたし」


拓馬 「あっ、音無さんと椿さんの声。はいはい、了解で……す……うぐぅ」


音無【18874】 「きゃっ! 急にうずくまってどうしちゃったんですか!」


椿【18872】 「凛子ちゃん、あまり動かさない方がいい。ゆっくり支えて、介抱する」


拓馬 (け、桁が違う。えっなんなのその数字? どういうことなの? お、おかしいよ! もっと人間でいてぇ!)




―中御門領内・車中―


真矢【360】 「大事はなさそうやけど、南無瀬邸に帰ったらしっかり休むんやで。仕事のスケジュールは調整しとくさかい」


拓馬 「ご迷惑おかけします」


音無【18877】 「気にしないでください。三池さんに頼られるなんてダンゴ冥利に尽きます!」


椿【18879】 「うむ、身が引き締まる思い」


拓馬 (どこが引き締まってんだよ! なんで短時間でオカズ回数増えてんだよ! お、俺を前にしてこっそりオカズにしているのか!)


音無【18878】 「……んっ」

椿【18880】 「……ふぅ」


拓馬 (ひぃ!? だ、ダンゴたちの方は極力見ないようにしよう。眼鏡も外して外の景色でも見るか)



→眼鏡off



拓馬 (おっと赤信号で車が止まった。この窓ガラスはマジックミラーだから外からは見えないんだけど、街中にいるとサファリパークの真ん中にいるようなヒエッ感があるよな)



―車外―


活発そうな女子高生 「あんた、もっと外に出たら。家で勉強ばっかりしないでさ。そんなんじゃ病気になっちゃうよ」


ガリ勉そうな女子高生 「で、でもわたし体力ないから外に出て動くのは苦手で」


拓馬 「……」



→眼鏡on



活発そうな女子高生【677】 「はぁ、ったく。体力がないのは見た目から分かるよ。だからこそ運動するなりして体力付けないと」


ガリ勉そうな女子高生【5992】 「うう、自信ない」


拓馬 (いやいや自信持って良いよ! 絶対体力あるから! とんでもねぇから!)






拓馬 (また赤信号で止まったな。この車にタクマがいると分かったらホラー映画もビックリな展開になるんだろうな。想像しただけでジョニーが縮小するぜ)



―車外―


小さい女の子 「わぁい、おばあちゃんと久しぶりのお買い物! たっのしぃ~!」


老婦人 「ほっほほ。そんなに跳びはねて、まだまだ子どもねぇ」


拓馬 「……」



→眼鏡on



小さい女の子【2217】 「も~う、おばあちゃんったら子ども扱いしないでよ! これでも立派なレディなんだよ!」


老婦人【3684】 「こりゃ失礼。枯れたあたしじゃ、立派なレディに付いて行くのが大変よ」


拓馬 (早い、思春期早いよ! 立派な肉食女性レディになってるよ! おばあちゃんも全然枯れてないよ! 全盛期だよ!)


音無【18882】 「三池さん、さっきから外を見て百面相になってどうしたんですか?」

椿【18881】 「車窓を見る眼鏡三池氏。良い」


拓馬 (また増えてる。ってかこの二人。オカズ回数で抜きつ抜かれつデッドヒートしているんだな。知りたくなかったぜ、そんな真実)





―南無瀬領・南無瀬邸―



拓馬 「やっと着いた。今回の帰郷は長く感じた」


妙子 「おう、帰ったね。なんだか調子が悪いって聞いたんだが大丈夫かい?」


拓馬 「妙子さん……」



→眼鏡on



妙子【0】 「ん? どうしたんだい、急に眼鏡を掛けて」


拓馬 「……ぐすううぅ。妙子さん! あなたは俺の癒やしだぁ」


妙子【0】 「わわっ! 本当にどうしたんだよ三池君!」


拓馬 「す、すみません。急に安心したら涙が……俺の帰るべき場所はやっぱりここだったんですね」


妙子【0】 「よく分からないが、相当ストレスが溜まっていたんだねぇ。しばらくはゆっくり休むんだ。旦那にも君をケアするよう言っておくから」


拓馬 「ありがとうございます! 持つべきモノは既婚女性と男性ですね!」


「お~い! 三池くん!」


妙子 「旦那も来たみたいだな」


拓馬 「陽之介さん! ただいまで……す……え……エェ」






おっさん【2】 「おかえり! 元気なさそうではないか」


妙子【0】 「ああ、ストレスみたいだ。あんたの部屋で男同士積もる話でも聞いてやっておくれ」


おっさん【2】 「任せてくれたまえ。さあ、三池君。僕の部屋へ行こう」


拓馬 「う……」


妙子【0】 「う?」

おっさん【2】 「う?」




拓馬 「……うう……うわああああああああああああああああああああああ!!!!」





一発だけなら誤射かもしれない。でも二発なら…… 




――――――――――――――――――――――――――――




【再注意】パラレル世界の話なので本編とは関係ありません。関係ありませんから!


さて、気分転換のSSはここまでにして、また本編執筆を頑張ります。

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