食堂のおねーさんリリス!編

 おやおや、お疲れ様じゃなあ?

 われの名はリリス、ときの放浪者にして神楽かぐら舞姫まいひめ、リジャスト・グリッターズのトップヒロインぞ? なに、よいよい、気にするでないぞよ。

 フッフッフ、主殿マスターも元気になられて、本当に良かったのう。

 やはり、前世の記憶……過去の聖戦の記憶が残っておろう。

 しかし、それは我の過去の男であり、去ってしまった者ぞ。

 死ねば誰もが去ってゆく……そして、去りゆく者にかれすぎてはいかんのじゃ。まあ、そのへんは摺木統矢スルギトウヤもわかっておろうが、どうかのう。


「悪い、リリス! きつねうどんが2、カレーが2、あとカツ丼が3だ!」


 おおう主殿! 忘れておったわい!

 この我が、よもや学生食堂でアルバイトとはなあ! じゃが、我の料理の腕を見るがよい……真のヒロインたるもの、炊事洗濯に掃除、そして育児まで完璧にこなしてこそじゃ!


「おっ、リリスさん真面目まじめに働いてるじゃん! 俺の大盛りにしてくれよな!」


 むむ、真道歩駆シンドウアルク! お主、どうやら吹っ切れたようじゃの。あのアルクとかいう奴、またいつか再び巡り合う……そういう運命じゃ。その時こそぬかるでない。どれ、プリンをデザートにつけてやろう。


「あれ、エプロン似合うじゃん。リリス、甲斐甲斐かいがいしいのもかわいいよ? もぉ、普段からそうしてかわいくしてればいいのに」


 神塚美央カミヅカミオか、照れるのう! もっと褒めてよいぞ? なに、我とて因果に縛られし戦士、常にこうして新妻にいづまモードでもおれんのじゃ。うむ、美央にもプリンをつけてやろう。

 なぬ? カロリーが気になるとな?

 気にするでない、甘いものは別腹、別カロリーじゃよ。


「リリスちゃーん、今日もかわいいねえ! どう? このあとひま? よかったら青森、案内するけど? いやさ、なにもない街でさあ。でも、自然は綺麗だし」


 ……五百雀辰馬イオジャクタツマ

 その、なんじゃ……お主、後ろで嫁が冷たい笑みに凍っておるのじゃが。なぬ? だが、それがいい? なにを言うておるのかのう。

 まあよいわ、プリンを二つつけてやろう。

 まったく、いつの時代も男とはしょうがないイキモノじゃなあ。

 さて、ゲーム画面の前のお主も少し休むのじゃ。これより先は新展開、そしてまだ見ぬ絶望の連続ぞ。じゃが、我らリジャスト・グリッターズは、負けぬ!

 是非また、来週もプレイするのじゃ。我との約束ぞ?

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