灯さんはハズカシイ!編

 ふう、やっとステージが終わったぁ……疲れた。あ、えと、お疲れさまですっ! 一条灯いちじょうあかりです。えっと、ステージ……見た? 見た、よね……見られちゃったわよね。はぁ……


「ありゃ? ねね、美李奈ミイナ。なんで灯さん、凹んでるの?」

美央ミオさん、人にはそれぞれ悩みというものがあるのです」

「ふーん、例えば?」

「いい歳をして、で、歌って踊って、しかもで、一時いっときとはいえ戦いを忘れた……そんなとこでしょうか」


 あーもぉ、美央ちゃんも美李奈ちゃんも! そーよっ、私はもう社会人だし、学生気分でアイドルなんて……ううっ! 恥ずかしい!

 ……しかも、ちょっと楽しかったし。

 はぁ……あとから恥ずかしさが込み上げてきて、やばい。

 でも、ひとまずステージが無事に終わってよかったわ。


「ええと、エリーさん。これを渡してくれと頼まれたのですが……なんでしょう」

「あ、シファナ、これはね。ステージの動画、収録してもらったの。このメモリに、今夜のステージが全部納められてるのよ?」

「まあ。こんな小さな木片……のようなものに、歌と踊りとが?」

「そゆこと。なんか、リュウ君と雄斗ユウト君に頼まれちゃって」

「なるほど、確か……アイドル、というものがお好きなんでしたね。二人とも」

「そそ」


 ……ちょっと、待って。

 それ、渡すの? 男子に?

 待って! それ待って! 待ってえええええええっ!


「っと、灯さん? どうかしたんですか?」

「ちょっとちょっと、灯さん……疲れたのかな」

「真顔になってますね。なんか、目がわってます」


 何故なぜ、どうして録画してるの!? あーん、もぉ! こんな、頭がフットーしそうだよおっっ! ……うう、黒歴史がまた一つ、生まれてしまったわ。

 で、でもっ、私は一条灯! プロジェクトISHT@Rイシュタルのリーダー!

 大丈夫、次がもしあったら……また、歌って踊って! 地球の敵とも戦ってやるわ! そ、そういう訳でっ! 君もスパ◇ボ「」カクヨム攻略お疲れ様っ! 今日のライブは忘れて、ゲームに集中しなきゃ駄目だぞ? じゃ、また来週!








 ……はぁ、早くジャージに着替えて部屋でゴロゴロしたい……!

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