第19話

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 なんで?


 なんで輝が、ここに?


 このときの私の頭の中はといえば、パニック以外の何物でもなかった。


 それはそうだ。中学からの親友の病室に、何故幼馴染・・・・・・いや、現在進行形で「好きな人」がいる?

 そもそも、二人が知り合いだなんて・・・・・・そういえば、輝の出身高校は知らない。昔から勉強だけは人一倍できた輝のことだ、光希と同じ、地元のトップ進学校に行っていたって何ら不思議はない。それで、まだお見舞いに来るような関係って・・・・・・まさか・・・・・・


 5分ほど前に遡る。一旦は帰ることに決めた私だったが、考え事をしながらだったこともあり、定期入れを光希のベッド脇のテーブルに置き忘れていた。病院を出て、いつものように駅に戻ろうとしたとき、それに気付き、慌てて戻って来たのだが、少し開いたドアから漏れてくる声が、私のよく知る、輝のそれだった。

 思わず身を潜め、ドアの隙間から中を覗く。


 間違いない。輝だ。


 驚き、思わずドアを揺らしてしまい、慌ててその場を離れる。そして、今に至る。


 植物状態の光希がいる病室は、一人部屋。そこにいる、しかも座って話しかけているということは、間違いなく光希のお見舞いだ。誰かの付き添い?灰屋くんとか?いや、でも・・・・・・


 いろいろな考えが頭の中を巡る。


 これは・・・・・・

「確かめるしか、ない、かな」

 もし、輝=光希の高校時代の彼氏、なのであれば、聞きたいことが――いや、問いたださなければならないことがある。


 今だけは、輝のことを好きだとか、気まずいだとか、言ってられない。

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