第17話
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その日家に帰って寝る支度を済ませた頃、光希からメッセージが入っていた。
『今日はごめんね。学校が終わって出ようとしたら、先輩から急に呼び出されちゃって。今年の生徒会の予算のことで相談があるとかで。あんまり急だったし意外と時間かかっちゃって、連絡もできなくて……』
なんてことはなかったようだ。私は、『もう、心配したんだぞー!』と少しおどけて怒った後、安心したと告げて、誕生日のお祝いと、来月と言わず来週とかにでも会おう、とだけ告げ、お互い寝ることにした。
ベッドの中で、私は考えていた。先輩からも頼りにされる生徒会役員。それでいて生徒会長ではなくそれを支える生徒会副会長。いかにも光希らしい。
「……あれ?」
そこで私は、初めて違和感に気づいた。高校2年の11月、つまり先輩というと高校3年生。受験目前のこんな時期に、まだ生徒会役員をやっているのか?更には、高校には光希のお母さんが連絡を入れ、光希が使いそうな教室は大方見てもらっている。当然生徒会室もだ。それでも見つからなかった。
しかしいくら考えても答えは出ず、疲れもあって、いつの間にか眠りに落ちていた。
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結局都合が合わず、次に光希に会うことになったのは翌月、12月の第2水曜日だった。しかし当日になって、光希からメッセージがあった。
『本当にごめんね、今日もやっぱり会えなくなっちゃった。それに、しばらく会えなくなっちゃうかもしれない』
お門違いなのは分かっていたが、私はこのとき光希に苛立ってしまった。『それは仕方ないね』とそれだけ乱暴に書いて送ったが、『ごめんね?その代わり……』というようないつものご機嫌取りメールは帰って来ず、ただ『ごめん』と一言だけ送られてきた。
そして年が明け、さあこれから受験生だ、という頃、光希のお母さんから電話がかかってきた。
それから、光希はずっと眠ったまま、目を覚ましていない。
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