第16話
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光希とは、ほとんど毎月1回ペースで会っていた。もちろん、光希も私も、レベルの差こそあれ進学校に通っていたこともあり、必ず絶対、という訳にはいかなかったが、毎月第2水曜日。2人とも部活も予備校もバイトのシフトも無く、イベントも入りにくい水曜日。
第2週にしたのは、2人とも、誕生日が月の中頃だったからだ。そうすれば、その日のメッセージのやり取りはもちろんのこと、プレゼントを渡しても問題ない。
高校2年の11月13日。その日は奇跡的に光希の誕生日と第2水曜日が重なり、私はプレゼントと、小さめだけど花束を用意していた。
中学の頃から毎年プレゼントは渡していたが、今年は特別。バイトで使えるお金があったことと、ピッタリ当日に会えるというスペシャル感で、私は奮発して3つの星をあしらったネックレスを用意していた。私と光希が初めて話したときに見た、夏の大三角。それをイメージしたものだ。
当然、光希にはそのことを話してはいなかったが、頭のいい光希のことだ、私に何かしらのお祝いプランがあることは百も承知のようで、前日も待ち合わせ場所と時間以外、特に突っ込んだ質問はしてこなかった。
ただ一言、「楽しみにしてるね」と。
そして当日。約束の時間になっても光希は待ち合わせ場所に現れなかった。
前にも1度だけ、光希が当日インフルエンザになって会えなくなったことはあったが、そのときは朝の内に本人から申し訳なさそうな声で電話がかかってきて、さすがにインフルエンザじゃ会えないねと、翌月に持ち越したのだった。
しかし今回は、時間になっても連絡すらない。気になってメッセージを送ってみても、一向に返事はなく、電話にも出ない。
心配になった私は、光希の家へと向かった。インターホンを鳴らすと、すぐに光希のお母さんが出て来る。言うには、学校に行ったきり、まだ帰っていないらしい。私も光希のお母さんもなおさら心配になって、あちこちを探し回った。よく一緒に買い物をする繁華街や、中学校。私と光希それぞれの高校。光希のお母さんは警察にまで電話して、事件や事故に巻き込まれた女子高生がいないか聞いたが、その時点ではそのような情報はないようだった。
夜もすっかり更け、「ひょっとしたら何事もなかったみたいに帰ってくるかもしれないし」という光希のお母さんと分かれ、一旦家に帰ることにした。そのとき、光希のお母さんは何事か言いたそうな表情だったが、気をつけてね、とだけ言ってそれ以上何も言わなかった。
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