第7話
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4限。私にとっては必修だから取っているような授業で、教授の言葉を右耳から左耳に聞き流しながら、昨日の灰屋君の言葉をまた思い返していた。
――どちらかの癖が感染ったのなら、小学校時代かなーと思って――
結局、あれは私にカマをかけただけらしく、後にメッセージで「たまたまだと思うよ」と言われたものの、3つもの動作が癖として被ることが、たまたまなのだろうか。偶然にしてはあまりにも出来すぎている気がした。
――そもそも、“私”と“輝”が幼馴染で、今になって再会した事が出来すぎた偶然なのだが。
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今日の分の授業をすべて終えた私はその後の行動を思い悩む。
いつもなら迷わずカフェに行き輝と灰屋くん、でなければクラスやサークルの友達と話すところだが、今日はどうもそんな気分ではない。そう思いつつも足は勝手にカフェへ向かう。そして、入り口で立ち尽くす。
そこには輝と、もう一人。灰屋君の姿はない。どうして?いつもはサークルじゃ?
そこで、今日は朝から重く雲が垂れ込め、昼過ぎには強めの雨が降り出していることを思い出した。野外スポーツサークルがこんな日に活動しているはずがない。
「やっぱ気になる?」
ふと後ろから声を掛けられた。灰屋君だった。
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四限の後。
授業が終わり、この土砂降りによってサークルが中止になった町村と二人で、トイレに立ったきり帰って来ない篤人を待っていた。
「ところでさ、今度の日曜空いてる?」
「日曜か……確か空いてると思うけど。どうかした?」
「ううん、別にどうもしないけど……久しぶりに一緒に出掛けられないかなー、って」
どうやらデートのお誘いらしい。今更断る理由もない。
「ああ、そうだな……どこか行きたい所ある?」
そんな会話の最中、目の端にちらと萌実の姿が映った気がしたが、いつも見掛けると尻尾を振って寄ってくるあいつのことだ、きっと見間違いだったのだろう。そう思い、また視線を町村に戻した。
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声を掛けてきた灰屋君の顔には昨日二人で話していたときやその後のメッセージのやり取りでの冷やかし半分の様子は見て取れない。
「私は――」
「昨日はなんかごめんな」私の言葉は灰屋君の以外な言葉で遮られる。
「ごめん、って……何が?」
「いや、ちょっと調子乗って冷やかし過ぎたかなー、って」
いつもお調子者の灰屋君からそんな言葉が出てきたのは少し意外だった。
「ううん……別にいいけど。輝たちのところ行かなくていいの?」
「行くけど……なら葉多ちゃんも――」
「私は!」思わず語尾が強くなってしまったのに気づき、慌てて取り繕う。
「ちょっと用事思い出しちゃったから、また今度にしようかな」
精一杯笑うと、その場を後にした。
「よければ!」
後ろから灰屋君の声が聞こえる。
「……相談、乗るから」
こんなことを考えなければならなくなったのは灰屋君のせいだ。そう考えると白々しい気もするが、重要なことに気付けたのは灰屋君のお陰に違いない。
――輝の事が好きだ。
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