第4話 元カノ「鬼鷹」登場
立て続けに三人の手下を失った頭の鬼虎は、確実に鬼龍を倒すにどうすればと考え、次に第三弾目として三人の地獄の使者を送り出す事にした。
「おまえ達三人なら間違いなく、鬼龍を倒せるはずだ。さあ行くのだ!」
鬼虎は鬼猿、鬼狼、そして鬼龍の元カノの鬼鷹を選び、後の世に送り出して来た。
『キィン・キィン・キィン!………・・・ピカッ! バァーン!………・・・』
そして選ばれた三人は、目映い閃光と衝撃音と共に、裏切り者の鬼龍を倒す為、忽然と21世紀に出現した。
「さあ、後の世に着いたぞ。相手は一人、これは余裕だな……」
鬼猿、鬼狼の二人は、そう思っていたが、鬼鷹の様子は、落ち着きがなくおかしかった。
「あーあー、久しぶりの娑婆だというのに……」
鬼鷹だけは、相手が鬼龍だった為、気乗りをしていなかったという事である。
そして、鬼龍の元に三人の地獄の使者達は出現した。
「鬼龍よ、爺になってもまだまだ強くなっているようだが、俺達には勝てないぞ! ゆっくり料理をさせてもらおうかな」
三人は即座に剣を引き抜き、三人は鬼龍の前に立ちふさがった。
『ピカッ!』
鬼龍も目映い閃光とともに即、変身を開始し、戦士シャドゥマンに変身したが、いくら強くても三人となると鬼龍は苦戦を虐げられていた。
『カキン! カキン! カキィン!』
敵の剣を払いながらも、防戦はしばらく続いた。
『鬼鷹が敵側に付いているとは、まったく大誤算だ。戦いにくいぞ、これは……』
「どうした、どうした。お前の腕はその程度か?」
が、その内鬼龍が不利と思った鬼鷹だけは、鬼龍に対し攻撃をやめた。
「鬼鷹、なぜ剣を引く?」
「3対1だとさすがに卑怯だと思うから、あたしゃ、見物させてもらうよ」
鬼鷹は高見の見物を決めつけ、その戦いを見守った。
「勝手にしろ! 俺達だけで充分だ」
鬼龍は鬼猿、鬼狼としばらく互角には戦いをしていたが、相手は名前の通りすばしっこく、不利な状況は変わりなかった。しかし時間が経つ内、さらに不利な戦いがしばらく続いていた。
『カキン! カキン! カキィン!』
そして、やむなく追い詰められて倒れたところに、鬼猿と鬼狼の剣が鬼龍めがけて振り下ろされた。
「これで終わりだ、覚悟しろ! やー!」
盾で防戦はしていたが、一瞬やられるかもという不安が駆け巡った。
「くそっ! 甘く見すぎたか?」
しかし、その瞬間新たなる剣が敵の剣を振り払った。
『カキィン!』
なんと、敵であるはずの赤い鎧兜をまとった鬼鷹が味方となって、鬼狼と鬼猿の前に立ちはだかったのであった。
「ど、どういうことだ? 鬼鷹はこっちに寝返ったのか?」
窮地を救った鬼鷹は、剣を地獄の使者に向け変え鬼龍に言った。
「勘違いしないでね、私はこんな不公平な戦いであなたに負けてほしくないから、味方するだけだからね。でも、前の私より綺麗になったでしょう? ふふっ」
笑みを浮かべ、意味ありげに元カノの鬼鷹は言った。
「そういえば、そうかもな? やはり、俺のことが忘れられないのか?」
鬼龍は鬼鷹を見て苦笑した。
「何言ってるの、相手は手だれだよ。油断するとやられるよ!」
鬼鷹は言い返しながら、手裏剣を放ち援護した。
『シュッ! シュッ! シュッ!』
一方、地獄の使者達は鬼鷹に怒り心頭で言った。
「くそっ! 裏切ったな鬼鷹、こうなったら二人とも抹殺してやる!」
「なにを言ってるの! 私ゃ成り行きで仕方なく、ここまで来たんだからね」
怒った鬼猿と鬼狼は、剣を振りかざして二人に襲ってきた。
『カキン! カキン! カキィン!』
さすがに2対2だと互角となり、しばらく戦いは続いた。
『ザクッ、ザクッ!』
が、鬼龍と鬼鷹の剣が敵二人の胸板に突き刺さり、鬼猿と鬼狼二人は倒れた。
「己、鬼龍……お、俺達がやられても、次がある事を忘れるなよ!」
そして、地獄の使者達は倒れ、消滅していった。
『キィン!…・・・ピカッ! シュバッ!』
戦いは終わり、鬼龍は鬼鷹に聞いた。
「鬼鷹、これからどうする気だ? 俺を嫌いじゃなかったのか?」
「さあ、どうしようかな? 加齢臭も気になるからね。ふふふっ」
「この戦いはお前のおかげで命拾いしたが、これからは俺と共に影の守り人となり、戦士シャドゥマンとして行動するなら就いて来い!」
「でも、あんたも私も盗賊の一味だったんだよ。なにをいまさら……」
「大丈夫だ。もう、昔の事は蒸し返す事はないぞ」
鬼龍は鬼鷹に礼を言い、これからの生き方を聞いた。
「実は、あの地獄の入り口で鬼龍だけ逸れていなくなっていたので、気にはなっていたんだけどね。でも、会えてよかったわ」
鬼鷹は笑みを浮かべ再会を喜んだ。
「そうか俺も気にはなっていたけど、敵方として復活してたなんてびっくりしたよ。だが、俺の事を怖くないならの話だがな……」
「怖いって? もう、慣れてるよ」
実際二人とも、気になっていたという事だった。
「解ったよ、それじゃあ就いて行くよ。いまさら地獄には帰りたくないからね。でも、地獄の帝王Zは何を考えているのか、油断できないよ」
鬼鷹は元恋人の鬼龍に注意した。
「俺も神の使いだという謎の老人Ⅹに使命を与えられたが、本当のところよく解らないんだよ」
結局、鬼龍も謎の老人Ⅹの事は何も知らなかった。
「それでは、この時を一緒に生き抜こうぞ。いくぞ!」
そして、二人は手を取り合い影となり闇に消えた。
『キィン!…・・・ピカッ! シュバッ!』
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