第20話 ノエルの過去

***ケイル視点***

なんで私、動いているのかな?確か、私変な男にいきなり。

私はハッとして起きた。起きた場所は見知らぬ廃墟だった。すると、知らない男が私に近づいて来た。

「あ、起きたか。大丈夫だぞ。あの小僧が来るまでは殺さねぇから」

私は静かに待っていた。でも、ノエルが私の為に来るのかな?だって、今迄私の為なんかで来てくれた事ないのに。

その時私は衰弱しきっていてまた寝てしまった。

この時、変な夢を見た。

「ここは、夢?」

目の前はただひたすら真っ白な視界。歩いても歩いてもどこに行くのか分からない。先が見えなくてずっと真っ白だった。でも、ある程度歩いた時前に綺麗な女の子がいた。金髪のセミロングの少女。とても、誰かに似ている。

「あれ?あなたはなんでここにいるの?」

「え?」

少女はそのまま続けて話した。

「なんで、和樹の隣にいないの?」

「カズキ?誰のこと?」

すると、少女は頭に手を当てた。

「あちゃー!お兄ちゃん、まだ言ってなかったのか」

私は全然話が読めなかった。

「ねぇ!どう言うこと!?和樹って誰?あなたは何者?」

「あ、自己紹介するの忘れてた!では、改めて。私は東雲亜華葉しののめあげは。和樹は私のお兄ちゃんであなたの知っているノエルだよ」

私は唖然とした。この子が何を言っているのか分からない。

「あなた、私の言う事が分かんないって顔してるね」

私はドキリとした。少女の言う事が合っていたからだ。

「まあ、私は死んでることになってるんだけどお兄ちゃんのピンチと聞いて馳せ参じましたー!」

「あなたは、何しに来たんですか?」

すると、少女はニヤッと笑い話し続けた。

「あの、名前は?」

「ケイルです」

「では、ケイルさん。私のお兄ちゃんの生前の過去を聞きますか?」

少女はとても真剣な顔で言った。私は覚悟があったので「はい」と答えた。

「では、お兄ちゃんの事をお話しましょう」

少女はノエルの過去を話し始めた。

「お兄ちゃんはとても、強い剣士でした。私が生きていた時は賞まで取っていました。でも、ある日を境にお兄ちゃんは剣を辞めてしまいました。その理由は私でした」

少女は淡々と話していった。

「そのある日とは、私が息を引き取った。つまり、死んだ後だったんです。そして、お兄ちゃんは剣を振るのを躊躇わずにはいられなくなってしまった。その後、アニメの世界へと行ってしまった」

私は静かに聞いた後、一つ疑問に思った事があった。

「亜華葉さん、あなたは自分のせいでと仰いました。でも、それは違うと思います。ノエルはそんな事で悩むちゃちい男ではないと思います。亜華葉さんは自分のせいで剣が振るえなくなったノエルを助けたかった。でも、出来ない。あなたは死んでいるから。そして、あなたは自分を戒める為に天国へは行かなかった。そうではありませんか?」

亜華葉さんは見抜かれた顔をしていた。

「お兄ちゃんはとてもいい人を見つけたね」

俯いた亜華葉さんの目には涙が流れていた。

「私は戻ります。もうそろそろノエルが迎えに来ると思うので」

「うん。お兄ちゃんによろしくね」

「ええ!」

私は目を開けた。そこには、私の英雄で好きな人のノエルがいた。

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