第15話 決闘祭開幕!

とうとう、フェスの日がやって来た。俺とケイルは役員のため、早く登校しなければならなかった。

「んじゃ、行って来ます」

「あら。ケイルを置いて行っていいの?」

レイルさんはフライパンを持ちながら言った。

「はい。あいつ、何やっても起きないから先に行きます」

「そう。頑張ってね。決闘祭」

「はい」

俺は元気よく挨拶をして孤児院を出た。そして、おっさんに貰った滑板スリップボードを使った。やはり、これは快適でいい。

「ノエル君、おはよう」

俺が振り向くと、そこにはアンジュがいた。

「ああ、おはよう。お前が歩きなんて珍しいな」

「はい。たまには運動も必要だと思いまして」

「そうか。じゃ、俺は先に行くな」

「はい。では、後ほど」

俺は少し早めに走らせた。やっぱ、これはスケボーみたいな感じだ。

俺はフェスでは本部行きだからクラスの仕事はない。そして、本部の仕事はほとんどないから決闘祭に没頭できるという訳だ。

俺は教室に行き、様子を見た。でも、俺を必要じゃなかったみたいだったので俺はオルトルと待ち合わせしていた決闘場に向かった。


「あ、ノエル!」

「オルトル。お前、早いな」

「まあな。今日は負けられないから」

オルトルの目には隈があった。こいつ、寝てねぇな?まあ、俺は手加減しないが。

「それでは、決闘祭を開始します!」

決闘祭は開始された。だが、ここには俺を満足させてくれる奴は現れず、決勝まで来てしまった。ちなみに、ケイルは魔術選考で俺は剣術選考だから必然的に俺達はあたらない。あいつ、それを知らないで俺と戦う気満々だったのだ。

決勝の相手はオルトルだった。まあ、それなりには強いからここの奴じゃ敵わないわな。

「準備はいいですか?」

実況担当の女の子は聞いていた。俺とオルトルはコクリと頷いた。

「それでは、始め!」

オルトルは俺に向かって走り出した。俺を全て避けて単純なフェイクで勝った。おいおい、こんな単純なフェイクに引っかかるようじゃ俺には勝てないぞ。

俺は決闘祭で優勝を果たした。ちなみに、魔術部門ではケイルが優勝したらしい。

「あー!負けちまった!アヘンさんに会いたかった」

「笑いが、そう簡単に勝たせる訳にはいかねぇんだよ」

「お?兄の意地かな?」

茶化して来たのは、レクトだった。さっき気付いたが、レクトと決闘祭に参加していてオルトルに負けたらしい。

「まあ、そういうことだ」

本当は違うのだが、そういうことにしておこう。

「あ、もう閉会式の時間じゃないか?」

「そうだな!」

俺とオルトルは急いで戻った。俺達は開会式に出ていない為、閉会式には自動的に出なければならない。

「ふー。丁度始まったぐらいだな」

「そうだな」

閉会式は学院長の言葉、生徒会長挨拶、最優秀クラス発表、そして最優秀生徒挨拶になっている。ちなみに、最優秀生徒は俺みたいだ。

司会は最優秀クラス発表を始めていた。最優秀クラスは高等部2年Aクラス。つまり、リン達のクラスだった。

発表が終わり、俺の挨拶になった。

「では、最優秀生徒挨拶。ノエル・ファーレンガルト君」

「はい!」

俺は大きな声で答えた。

「えー、どのクラスもとても楽しいフェスで良かったと思います。明日からはすぐに夏休みです。ですから、羽目を外し過ぎずビブリア学院の生徒らしく生活しましょう。俺からは以上です」

俺がお辞儀をすると、拍手で歓迎してくれた。

「では、今年度のビブリア・フェスティバルの閉会式を終了します」

その後、俺達はクラスに戻りエルビア先生に夏休みの過ごし方を厳重注意をされた。よしゃあ!明日から夏休みだぜ!!

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