第14話 俺、過労で倒れる
特訓が始まり、トトはメキメキと上達して行った。これは余裕がなさそうだな。俺も頑張んないと。特訓をしながらフェスの準備をしなければならないから少し疲れたな。つーか、気持ち悪い。
「最近、教室で寝ていることが多いよね。ノエル君」
「まあ、しょうがないよ。フェスの副委員長なんだから」
そう、俺はあのリンに仕事を押し付けられたのだ。ティッタと仲がいいからと。本当に迷惑な話だな。
「ねぇ、本当に大丈夫?顔色悪いよ?」
声をかけて来たのはケイルだった。今はお前と話をしている場合ではない。俺は立ち上がると目眩がしてそのまま倒れてしまった。
気付くと保健室のベッドに横たわっていた。俺は体を起こして窓を見た。すると、外は茜色に染まっていた。
「もう、起きても大丈夫かい?」
俺の前にいたのは見たことのない先生だった。
「誰だ?」
「あ、ごめんね。自己紹介がまだたったね。僕は、アルベン・ハイレオーネ。保健室の副責任者なんだ。今日は僕が当番だからここにいたんだよ。さて、入りなさい」
先生が言うと、保健室のドアが開きそこにリンが申し訳なさそうに立っていた。
「どうしてリン先輩がここに?」
「君に謝りたいそうだ」
先生は俺を見ながら言った。そして、リンは俺の前に来て頭を下げた。
「ごめんなさい。私が仕事を押し付けたばっかりに君は倒れてしまって」
「そうですよ?まあ、いいですけどね」
リンは俺が許してくれないと思っていたらしく「へ?」と情けない声を出した。
「今回は一つ貸しにしましょう。俺が困った時は助けて下さいね?」
俺は満弁の笑みで言った。すると、リンは顔を赤くして保健室から出て行った。
「全く、君は罪な男だね」
先生はやれやれと言いながら言った。
俺は孤児院に帰ることにした。さっきまでケイルも一緒だったが先生が夜遅くなるからと言って帰らせたらしい。
それにしても、ここ最近はハードだったな。フェスにトトの特訓とまあ我ながらよく続きたもんだ。
孤児院に着くとケイルは飛びついて来た。俺は避けずに受け入れた。
「悪いな。心配かけて」
「本当だよ!心配したんだからー!」
そのまま、ケイルは泣いていた。10分くらい続いた後、泣き疲れたのかそのまま寝てしまった。
「あらあら、寝てしまったのね。ノエル君、悪いんだけどノエル君の部屋で寝かせてあげれないかな?」
俺は一瞬戸惑ったが了承してケイルをお姫様抱っこをしながら部屋に入った。俺の部屋には2つベッドがあってケイルは空いているベッドに寝かせた。そして、俺は夕食を食べて風呂に入った。俺はまだ男だと思われている為、女風呂には入れないし体は女だから男風呂にも入れない。だから、特別風呂に入る事にした。特別風呂はあまり人が来ないから便利だとレイルさんが勧めてくれた。
俺がシャワーを浴びているとヘスティアが入って来た。ヘスティアは俺が特別風呂に入っていると聞いておちょくりに来たらしい。
「へー、ノエルって胸大きいんだ」
ヘスティアは俺の胸を揉んで来た。
「な、何すんだよ!?」
「やっぱり、柔らかい!」
俺はヘスティアを突き放して風呂を出ようとした。だが、風呂場から出られなかった。
「な、なんだよ?これ」
「ノエルが逃げないようにと思って付けたの」
「はぁ。お前と最後に一緒に風呂に入らないと駄目ってことか」
「そーいうこと」
俺は座って頭を洗い始めた。すると、ヘスティアが血相を変えて俺の手を止めた。
「ノエル!そんな洗い方駄目よ!私が洗ってあげるからこっち来て」
俺は渋々ヘスティアのところに行った。そして、ヘスティアは俺の頭を洗い始めていた。って、こいつ何でこんなに優しいんだ?台風でも激突するんだろうか?
「ノエル、何か失礼なこと思ってない?」
「い、いや。思ってない」
「そう。・・・ノエルいつもこんな洗い方してるの?」
「ああ。俺はいつもこういう洗い方をしてるが?」
「よく髪が痛まないわね」
ちょつと呆れた感じでヘスティアは言った。それにしても、女子っていうのはこういう洗い方するんだな。まあ、めんどくさいから直さないけど。
俺は湯船に入らず上がった。
「何なんだ。あいつの考えている事が未だに分からん」
俺は部屋に入って机に座った。すると、ケイルが起きた。
「ノエル?何で私の部屋にいるの?」
「ここは俺の部屋だ。レイルさんが俺の部屋で寝かせてあげろって言われたから連れて来たんだ。まあ、もう遅いからここで寝ろ。でも、明日は自分の部屋で寝ろよ?」
「うん!」
電気を点けていなくて顔は見えなかったが嬉しそうだった。
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