第7話 秘密、ばれちゃった。
ケイルと合流した俺は一緒に孤児院に帰った。学院から孤児院までは徒歩で約20分で着く。その距離で馬車に乗るのは勿体無いので歩きで帰ろうと俺が提案するとケイルも賛成してくれた。ちなみに、この国のお金の単位はジール(Z)だ。石貸は1Z、銅貨は10z、白銅貨は100Z、銀貨は1000Z、白銀貸は1万Z、金貨は10万Z、白金貨は100万Zだ。そして、馬車は一回10Zという事は銅貨1枚。それだけで使うのはやっぱり勿体無い。
「ねぇ、先生と何話してたの?」
「色々と話してた。模擬戦とか、世間話とかな」
「ふーん、そっか」
ケイルは満足気に言った。
「あ、そういえばノエルってビブリア・フェスティバルって知ってる?」
「ああ、聞いただけだけどな」
言うならば、文化祭って感じか。
「それでね、私、実行委員をやろうと思ってるの。だから、ビブリア・フェスティバルの実行委員になってね!」
「は?なんで俺がそんな事しなきゃいけないんだよ」
基本俺は面倒な事が嫌いだ。だから、あまり注目されるものはしたくない。
「だって、ノエルと一緒にやりたいんだもん!」
もんって、お前・・・。まあ、退屈しなさそうたからいっか。
「分かった」
「え!本当?」
「ああ」
「ありがと!」
まったく、世話が焼けるな。
「ただいまー!」
「お帰りなさい。って、ノエル君!どうしたの!?その泥だらけな服装は!」
うわっ!誤算だった。孤児院に帰る前に洗っときゃ良かった!
「いや、ちょっと決闘で本気出しちゃって」
「レイルさん!ノエルね、Sクラスになったんだよ!!」
「え!?編入早々Sクラスになったの!?」
あれ?この反応ってもしかして・・・。
「レイルさんって元ビブリア学院の生徒だったりしますか?」
「ええ、そうよ。なんで分かったの?」
「いや、反応で」
やっぱり。でも、無詠唱で治癒魔法を使えるって相当凄い魔術師だったんだろうな。
「兎に角、着替えて来なさい」
「はい」
俺は階段を上がり自分の部屋に入った。そして、汚れた服を脱いで下着姿になったその時、ノックをせずにドアを開けたのはケイルとヘスティアだった。2人は顔を真っ赤にして阿呆面で棒立ちになっていた。
「取り敢えず、入れ」
2人の腕を掴んで引っ張った。そして、ベットの上に座らせた。座らせた後、すぐにケイルが口を開いた。
「ノ、ノエル!お、おお女の子だったの!?」
俺はこのままじゃ話すことが出来ないから取り敢えず服を着た。
「ケイル、お前は少し落ち着け。落ち着いてゆっくり喋れ。そして、ヘスティアもなんか喋れ」
すると、ヘスティアは我に返った顔になりオドオドし始めた。
「取り敢えずお前らが見てしまった物はしょうがない。本当は俺は女だ」
「なんで、男の格好やふりをしていたの?」
質問してきたのはヘスティアだった。俺はこいつらは知っているべきだと思ったから俺がどうしてこの国に来たのかどうして男のふりをしていたのかを教えた。
「俺は元々一国の姫だ」
そういうと、2人は顔を見合わせ「えぇぇぇぇ!?」と言った。こいつらがいいたいことはすぐに分かった。自分から見ても全然姫には見えないし。取り敢えず話を続けた。
「そして、ある日に縁談があって俺はその縁談を断ることにしたんだ。その後、部屋に戻って寝ようとしていたら、暗殺者が来て俺を殺そうとしてきたんだよ」
「酷い」
ケイルは泣きながら言っていた。ヘスティアは涙を我慢しながら聞いていた。
「それで、逃げた俺は森の中で転移魔法に足を踏み入れてしまってこの国に来て気絶していた俺を院長さん達に拾ってもらったんだ」
フェンリルの事は話さなかった。
「そうだったんだ」
なんか、超重たい空気が流れていたので俺は「もう大丈夫だけどな」と笑って見せた。すると、2人はまた顔を真っ赤にしていた。
「それは反則だよ」
ケイルが何か言ったのは聞こえたが小声であまり聞き取れなかった。
「俺はしばらくは母国に帰るつもりはない。というか、帰れないんだ。だから、これからもよろしくな」
「うん!」
「ええ」
2人は元気よく返事をしてくれた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます