第6話 Sクラスの生徒は個性的?

俺の見慣れた姿をしたメイド。エルビアは何故か教師になっていて、俺の前に現れた。取り敢えず、俺はエルビアとは目を合わさないようにした。でも、その行動を思い浮かんだ時には遅くエルビアと目が合ってしまった。

エルビアは驚いた様子で俺を見ていた。俺は気付いてもキョドっていた。すると、エルビアは目をそらし自己紹介を始めた。

「このクラスを受け持つことになりました。エルビア・ディルデロイです。これからよろしくお願いします」

エルビアはお辞儀をして前を向いていた。その後は俺と目を合わせず進んで行った。


****エルビア視点****

ボルベット姫様が行方不明になってから2日が過ぎた。国王様は弱っていった。大事な娘がいなくなったのだ。無理もないだろう。ボルベット姫様の部屋には残党が残っていた。もしかしたら、連れて行かれたのかもしれない。もしかしたら・・・。なんて思う事もあった。

「どうしましょう。もしも、姫様が死んでいたら・・・」

「黙りなさい!!そんなどうしようもない噂を言ってどうするのです!!」

「す、すいません」

国王様はショックで寝込んでしまっている。私ももう要らないのかと思うようになっていた。私は姫様の情報を聞くために城を出て街に出ようと思った。そして、森の中を歩いていると急に足元が光り気付いたら知らない森の中に出ていた。私が訪れた国はとても活気があった。もしかしたら、姫様もこの国にいるのではないのかと思うようになった。そして、王立ビブリア学院で教師を探していた。姫様を探すにはどの道お金が必要だ。その為、私は応募した。そして、私は試験を受けて合格した。私が受け持ったのは中等部2年Sクラスだった。姫様がいればこれぐらいの歳だろうか。そう思いながら教室に入ったその時、ボルベット姫様によく似たというか同じ顔の少年がいた。でも、その少年は首を傾げながらこっちを見ていた。やっぱり違うのだろうか。いや、もしかしたら生き残った姫様が変装しているのではないか。そう思った私は後で彼に聞いてみよう。それまでは知らない顔をしよう。私は彼から視線を逸らした。

*************

あの先生が知り合いだったら騒ぎになるんだろうな。

「ねぇ、ノエルってああいう人がタイプなの?」

「へっ!?」

いきなりの質問で変な声が出てしまった。

「どうなの?」

怒っているような声をあげたケイルが見ていた。

「別にそんなんじゃない。ただ知り合いに似ていただけだ。それより、なんでそんな事をお前が気にするんだよ」

そういうと、ケイルは超怒った顔で「なんでもない!!」と言っていた。まったく、何なんだよ?

「それでは、Sクラスは成績順で自己紹介をして頂きましょうか。いま座って貰っている席は今回の編入試験や1年生でやった試験などを踏まえて座って貰っています。では、一番廊下側からお願いしますね」

エルビア先生は最初の人に振った。

「僕はトト・リーシャです。えっと、僕は引っ込み思案で何かとみなさんに劣ると思いますがよろしくお願いします」

今挨拶したのは可愛い系の男子だった。というか男子っていうより男の子って感じだ。そうこうしているうちに、もう後半に入っていた。

「俺はサウジンド・カスタリアだ!俺と同じ教室で学べる事を光栄に思え!」

なんか俺様系の奴が出てきた。でも、俺は嫌な感じがしなかった。

次はヘスティアか。

「私はヘスティア・クレサ。よろしく」

無表情で挨拶をするとクラスの男子はほとんどヘスティアを見ていた。まあ、そうだろうな。だって、美少女だし。その次はケイルだった。

「わ、私はケイル・アスタリアです。よろしくお願いします」

あたふたしながら挨拶をしていた。やっぱりクラスの男子はほとんど見ていた。でも、こいつの本性を知らないからこういう風に見れるんだろうな。おっと、次の挨拶をするのはイケメン君だった。

「俺はオルトル・カインズだ。頼りない俺だがよろしく頼む」

自己紹介が済むと静かに座った。爽やか系の男子か。

次に挨拶をするのは金髪ロングの女の子だった。

「私はアンジュ・ウルザイン。こんな容姿ですが気軽に声をかけてくれると嬉しいです」

美少女だな。俺が見ていると隣のケイルが思いっきり俺の足を踏んだ。

「っ!!なにすんだよ!?」

ケイルは「別に」と怒ったような口調で言った。いつの間にか俺の番になっていた。俺が立つと皆が俺の事を見ていた。それを気にせず自己紹介を始めた。

「俺はノエル・ファーレンガルト。色々と噂が広まっていると思うが普通に接してくれると嬉しい。とにかく、よろしく」

俺が挨拶を終えるとクラスの全員がホッとした表情だった。なんか、このクラスって個性的な奴らが多いな。俺はエルビア先生の顔を見るとやっぱり無表情だった。まあ、予想はしてたんだけど。

そして、ホームルームと終わり帰る準備をした。すると、エルビア先生が俺の前に来て「少し来て頂けますか?」といってきた。断るとややこしくなるので、俺はケイルに先に帰ってろと言ったがケイルは校門で待つと言うので取り敢えず待ってもらう事にした。そして、俺と先生は屋上で話す事にした。

「それで、何の御用ですか?」

俺は少し困ったような口調で言った。でも、先生の表情は曇ったままだった。そして、先生は話を続けた。

「ノエル君、君はどこの出身ですか?」

「俺が生まれも育ちもこの国ですけど」

「本当ですか!?ボルデット姫様じゃないんですか!?」

エルビアは俺の肩をガッシリと掴み揺らした。

「せ、先生。離して下さい、痛いです」

俺が一言言うと先生は我に帰ったようで俺の肩から手を離し、「すいません」と言った。これは困った。この人は俺の事を心配して言ってくれている。でも、本当の事を言ったら連れ戻される。つまり、またあの暗殺者がやってくる。それは俺にとってとても嫌な事だ。そもそも、俺が城を出たのはこの人達の為だ。なのに、俺が戻ってはまた逆戻し。俺は真実を言わない事にした。

「エルビア先生。俺は、ノエル・ファーレンガルトです。エルビア先生が言っている人ではありません。多分、その人と俺がただ似ていただけです。とにかく、俺はこれで失礼します。知り合いを待たせているので」

そう言って俺はエルビアの前から去った。


「おい!ノエル・ファーレンガルト」

俺に声をかけてきたのは、よく知らない男子生徒だった。

「なに?ていうか、お前は誰?」

「俺は高等部2年オーディス・クライエットだ!ノエル・ファーレンガルト。お前に決闘を申し込む!」

は?なんでそんな事を俺がしなければいけないんだよ?面倒くさがりの俺はもちろん。

「断る」

「ふっふっふ。そう言うと思って別のプランを用意した。なら、ケイル・アルタリアを賭けて勝負をしようではないか!」

やっぱりな。こいつもケイル目当ての野郎か。まあ、俺は男だから邪魔なんだろうな。

「いいでしょう。ただし、俺が勝った場合ケイルには二度と近寄らないで下さい」

「はっ!なんで俺がそんな事を守らなければ・・・!?」

俺は睨みつけた。すると、先輩は少し震えていた。

「分かりましたね?」

「わ、分かった。その申し出受けよう」

そして、俺達は闘技場に向かった。

「準備はいいですか?」

「いいだろう」

審判役の先生を呼び、決闘の合図を送ってもらった。

「よーい、始め!」

開始の合図と一緒に先輩は詠唱を始めた。

「大地に眠る風の精霊よ。その力を現せ!”風刃ウィンドカッター”!!」

ほう、先輩は風の精霊を従えているのか。でも、俺には何にも通じないんだな。何故ならば。

「”氷壁アイスウォール”!」

俺は”氷壁アイスウォール”を出した。これは氷を何層にも重ねる魔法。まあ、防御壁見たいな感じだ。

「なっ!」

「それで終わりですか?でしたら、俺の番ですね。”氷矢アイスアロー”」

俺は初級魔術を出した。初級魔術といっても、俺は出力8割だからもう勝負はついているけど。

俺の予想通り先輩は気を失っていた。





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