第7話 恩師
俗物ナーシ東国連邦長との(いわゆる)「お話」が終わると、師バリュー南国連邦長のバリュー先生が声をかけてきた。
「食事でもいかがですか」
「いいですね」
「では、皇帝庁舎近くのレストランへいきましょう」
バリュー先生とレストランへ行き、席に着くと早速、先生は、「お疲れ様です。・・・で、あの俗物はなんっていたのですか?(笑)」と先生。ナーシー連邦長が、何かしらの「嫌み」を言ってきたことを察してくれたのだろう。
「私は、連邦方(帝国)、相手方(荒野)双方にけが人、死亡者の出ないように先頭を試みています。そのために、魔道師を雇いまして、攻撃力の少ない派手な攻撃で撃退しているのですが、どうもそれが俗物ナーシは気に入らないようです」と苦笑いをしつつ答えた。
「要は、本当に戦争をして、勝ってしまえ。そのためには、相手の代償は考えなくても良い」って感じですか。
「はい」
「さすが俗物ですね」と先生は大笑いをする。バリュー先生も俗物といろいろと対立があったと聞いている。今は、どのような事があったのかは…聞かなくても察することができるが、どうでもいいことに俗物が難癖をつけてきたのだろう。
「そうですかねぇ。相手の攻撃を見ていると我々が勝てない相手ではありません。むしろ、少し本気を出せば絶対我々が勝つでしょう。」
「しかし、ですよね」っと先生はあいづちを入れる。
「はい。戦争に勝ったとすれば、我々は戦勝国としての義務を果たさなくてはなりません。決して極北と我々帝国とは経済的にも格差があるでしょう。そして、復興のためには莫大なカネがかかります。そしてなによりも極北の人々は我々帝国、帝国国民を良いようには見ないでしょう。その結実として、あらたな血が流れる可能性は多くあります。従って、大規模な戦争は避けたいと考えています」
現状の戦力で極北からの攻撃には十分対応できる。しかしながら、戦後処理が非常に面倒になる。両氏民の感情の問題、復興支援、農作物の荒廃に対する保障等々、金がかかってしょうが無い。ついでに、今回の攻撃の意図が分からない状態での行動は慎みたい。意図が分かれば、対処方法も変わってくるのだ。できるだけ穏便に外交的に進めていきたいのが私の思いである。
「そうですね。その今回は少なくとも国同士の闘いではなく、相手は陸続きですから、戦争は避けなければならないです。おっと、パスタが届きましたね。伸びてしまう前に食べましょう」
テープルの上には、先生の頼んだイカスミのパスタ、そして、私の頼んだ捕ほうれん草のペペロンチーノ、そしてサラダが並んだ。その後テクノクラート養成学校時代の話しで、食卓は盛り上がったのだった。
そして、食事も終わり〆のコーヒーを飲んで店を出要したとき先生は「ナーシは気をつけ俗物ナーシには十分、気を付けてください。この前、電報を頂いてからいろいろ調べ見ましたが、ナーシが今回の攻撃を利用して何かたくらんでいるようですから、まあ、君のことですからすでに情報収集(間諜)はもうされていると思いますがね」
「一応、手は打っております」
「それと、敵味方双方に負傷者を出さないのは良いですが、このまま長引かせるというのも問題です、できるだけ早い解決をお願いしますね」
「了解致しました。何かございましたらまた、連絡させて頂きます。」
「私も『何か』が分かりましたらご連絡させて頂きます」
そして、帝都での連邦長会議やその他事務を終え、帰路についた。高速馬車の車窓から見える皇帝庁は暗黒に包まれている。めんどくさい仕事を持って、私は仕事場の北国に向かう。その心情はけして明るいものではなかった。
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