第4話 調査

 数日後・・・。

 イマーズ君が、女性兵士についての報告書をもって執務室に駆けてきた。

 「お〜、急いでどうしました?」

 今日もイマーズ君は、廊下を走ってここまで来たらしい。息が荒くなっている。

 「戦場で見かけた『女性兵士』について、第一報が届きましたので、お持ち致しました」

 「ごくろうさまです。読んでみましょうかね」

といってイマーズ君から調査書を貰った。

 第一報は帝国の資料(特に、我が北国の諜報活動から得た情報)を元に編集されたものであった。やはり、極北の武装集団をコントロールすべき地位にいる者だった。そして、面白い資料が添付されていた。極北は、どうやらさまざまな独立した部族が存在しているらしい。 そして、それぞれの部族間の行き来は特に制限もなく自由に往来ができるということだった。その一つの部族が、今回、我が北国に攻め入ってきたようだ。

 「ん~」と私はうなる。

 帝国と他国との関係を考えると北極の政治形態は大きく異なっていた。もちろん部族と国家という単位では人口、歴史、形成と様々な点で違うわけだが、今後の帝国の発展のために大いに参考となる部分が多い。例えば、我が帝国と他国との関係を見れば、国家間の人の流れ、カネの流れはほぼない。あるとすれば、帝国国内の連邦間における人やカネの流れくらいであり、国家間であるとすれば武力闘争(戦争)くらいだけであろうか。国家間の連携がとれることによる、経済的、文化的、影響については、今後の帝国を考える意味でも非常に興味がある。

 「引き続き調査の方お願いしますね」とイマーズ君に伝える。

 私は、部族の名前、部族の構成、政治形態、交渉相手となる部族のリーダーは誰なのか、そして、リーダーの特徴などについては、今派遣している諜報員がいずれ報告するだろう。さらに詳しい情報を極北の武装集団に紛れ込ませた諜報員に命じた。

 今は、簡単な報告でいいものの、いずれは詳細な報告書を皇帝に提出しなければならない。特に北国は諜報が任務の一つである。詳細なものでなければ、連邦長としての立場を追われてしまう。ここは、情報を迅速勝冷静に精査し、早め早めに報告と根回しをして置かなくてはならない。

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