エンピツ戦記を読んだ。

2015-12-05記す

エンピツ戦記という本を読んだ。

著者は舘野仁美女史という元ジブリにいた動画チェックの人だ。

どんな内容かといえば、ジブリでの日々をまとめた本だ。

女史がやってきたアニメの生活のおそらくはほんの一部をうまく切り取って書いた作品と言えるだろう。

内容についてはここで触れることはしない。

そもそも私はこの手の職人さんの本が大好きだ。

知らない仕事の話はとても面白いし、とても勉強になる。勉強になったところでなにをするというわけでもないが、なる。

アニメ『SHIROBAKO』はそういった意味でとても勉強になったし、そういう職人さんたちのアニメとして鑑賞した。

工事現場の監督が書いた本やディズニーランドの潜入本などもとても楽しかった。

そしてこの本もそういった動画検査という仕事の極一端ではあろうが垣間見ることができて嬉しくなった。

登場する一般的な有名人、宮崎監督や鈴木プロデューサーなどの様々な姿、それはそれで面白いものだったし、私の知りたい部分もたくさんあった。

が、しかしそればかりではない。そこがとても見たい。

そして欲を言えばもっと読みたい、さらに読みたい。これではあまりに短すぎる。舘野女史の全ての仕事を知りたい。

かいつまんでいるし、ネタになるようなことだけが強く描かれているし、もっと雑多なもっと煩雑なものももっと読みたい。

舘野女史だけの12時間ドキュメンタリーがあってもいいくらいだ。

正味四時間で読んでしまって、こんなに面白いのに一冊で終わり?感が強すぎる。

そして、中高生のアニメを志す人やアニメが好きな人ばかりではなく、将来の仕事を考えている世代に是非読んでほしい。

ここには、仕事をする人の何もかもが詰まっている。仕事をする大人の姿がまざまざと描かれている。

かつて立川談志は弟子に「修行とは矛盾に耐えること」だと言っていたという。

矛盾とはどんな企業、どんな職業についたとしても付きまとう。それは前座修行であろうと一般会社員であろうと一緒だ。

納期に追われる仕事、瑣末な人間関係、そういったものを処理しながら動的並行さながらに進んでゆくのが仕事というものだ。

まさにそういった一般的な『仕事』というもののバイブルのような作品。

普通の仕事をしている人たちにも読んでほしいし、仕事をしていない人たちにも読んでほしい。

生きるということはまさにこれでしかない。

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