日本文化についてあれこれ思うこと
子黒蓮
劇団アルターエゴ『それぞれの事情』を鑑賞
2015-12-18記す
三ツ矢雄二の劇団アルターエゴの舞台を見に行った。
60回記念公演ということで期待して見に行ったが、期待以上に凄かった。
いや、正直びっくりした。
過去何回かアルターエゴの舞台は見に行っているが、そのどれとも似つかないかつてない舞台だった。
三ツ矢雄二の担当したシナリオもなんだか不思議なくらいに特別な印象を持った。
かつて彼らのこんな舞台があったろうか?
アルターエゴの舞台はこれまでの感想を言えば、とても堅いお芝居をする人たちだ。それが覆ることはない。
その流れでは古典がとても顕著で、現代的なアレンジはするもののきちっとした演出でその中身を見せていた。
新作をやらせれば、雰囲気はとてもファンシーな舞台という印象も強かった。だから今回の作品はちょっと驚愕し、そして唖然とした。
今回の舞台『それぞれの事情』は、日本版RENTといった感じの舞台だ。現代の日本を舞台にして一般的な生活を送る人々でRENTをやるとこんな感じになるのかとまず思う。
しかし、RENTよりもその全容は厳しく皮肉にまみれている。
三ツ矢雄二という人がこんなに残酷な作品を作るとは思っていなかった。
せっかくの60回公演なのだからもっとハッピーな作品だろうと思って行き、その思い過ごしが裏切られて絶望かそれに近い何かを見せ付けられて帰ってきてしまった。
生活における残酷という風に今回のテーマを私は捉えた。
かつてこんなにも暴力に溢れた三ツ矢作品を見たことがない。
これは彼の持つ資質の一部なのかと思ったら恐ろしくなった。
パンフレットには、ライトな感覚で仕上げたと書いてあるが、これはライトなデコレーションをしてあるだけで、十分にヘビーだ。キャッチーなヘビーモノとでも言えばいいんだろうか?
一言でいうなら、血なまぐさいものを可愛く見せているだけだ。
観客はワンカットワンカット一発ずつ殴られる。最後のラストシーンにせめてもの救いを見るのだが、それがせめてもの救い過ぎてつらい。
こんなにストレートな皮肉と魔物をぶつけられるともう何をやっても太刀打ちできない気分になる。
もちろん当の三ツ矢雄二はそんなことは十分に理解したうえで作っているのだろう。
また勝てないものが目の前に現れたそんな気分になった。
圧倒的過ぎてぐうの音も出ない。
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