第30話 ~鷲掴み~
「あ、いたいた。皆さーん」
トイレから出て、しばらく歩いているとビリニュスとティラナが走って私達を呼んできた。
「ザグレブは?」
先輩が聞いてきた。
「今、あのメイドと一緒にいます」
ビリニュスが答えた。
「早く行こう。ザグレブが待っているよ」
ティラナにの言葉に従い、私達は二人について行くと『立ち入り禁止』の紙が付けられているロープが張られた階段の前に着いた。
「この先に行くので変身してください」
「わかった」
ビリニュスの言葉に私が返事をすると三人で同時に変身した。
ロープをまたいで階段を上っていく。先頭はビリニュスだ。
階段を上り終えたビリニュスが立ち止まった。
「こっちに来てください」
小さい声で伝えてきたので私達はなるべく音を立てずに階段を上り終えた。
ビリニュスが壁越しに向こうの廊下を覗くいた為、私達も覗いてみると。
ザグレブが女子生徒の両胸を鷲掴みしていた。
「嫌あああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
女子生徒はザグレブを両手で押した。
「何でだよ! 俺の事好きなんだろ」
「それでも胸を触るどころか鷲掴みするなんて最低!」
ザグレブが見えているという事はあの女子生徒がメイドか。
女子生徒は両胸を抑えて叫んでいる。
「いいおっぱいだったぞ。掴みやすく、揉みやすい」
「アンタ私の事心から愛してくれるんでしょ!」
え!? だったら二股だぞ!
「言ってねぇよ」
「さっき言っていたじゃない!」
? どういう事だ?
「俺は確かに『愛せる』とは言った。だがそれはお前の心じゃない」
「だったら何よ!」
「お前の体だ」
「!!」
「俺が心から愛しているのはたった一人だ。お前の事は心からは愛せないが体なら愛せるぞ。お前も愛されたいんだろイケメンに。だったらお互いに得じゃないか。……来いよ」
ザグレブは右腕を広げ、左手で女子生徒を誘っている。
どスケベなのは知っていたが、まさかあんな事を言ってくるとは。
女子生徒は固まっている。
よほど驚いただろうな。
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