第29話 ~因縁の男~
ま、間違いない!
あれは月詠小雨! 制服を着ているという事はこの学校の生徒だったのか!
でも実家は鈴蘭の所だったよな。あ、でも初めて見たときは神社にいたし……ってそんな事考えている場合じゃない!
この二人には小雨の事については一言も話していない。椿姫との戦いも『強敵で苦戦したが倒すことができた』と大雑把にしか説明していない。
ここで小雨に気づかれ、知り合いだとバレてあの男と色々あった事が知られるワケにはいかない!
何とかしてあっちに行かないように……。
「巫女十様、朱火ちゃん。トイレに行きたいです」
「私も行くわ。朱火は?」
「あ、私も行きます」
戦闘中に行きたくなるとマズいからな。
「あっちにトイレがありました。行きましょう」
桃音ちゃんが指差した方向を見てみると。
小雨がすぐ近くにいた!
「ちょ、待っ……」
私は桃音ちゃんと先輩に連れられて行った。
うわああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!
どんどん小雨に近づいていく!
頼む! 気づかないでくれ!
私は小雨がいる方向と反対側の方に顔を向いた。
「……」
思わず息を潜める。
「……」
…………。
「どうしたの朱火ちゃん。さっきから」
どうやら無事、バレずに済んだみたいだ。
「大丈夫。何でもない」
「? ならいいけど」
桃音ちゃんが心配してくれている。
ありがたいが今回の事はあまり気にしないで欲しい。
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