第31話 ~氷~

「もうアンタなんか嫌い! 絶対許さない!」

 女子生徒は白い光に包まれるとメイドに変身した。

 メイド服はエプロンが小さいので白と黒というよりほとんど黒のメイド服だ。

 胸元には黒い大きなリボンが付けられており、小さい白のフリルがついたミニスカートから出ている足は雪のように白い美脚だ。その下には黒い編み上げブーツを履いている。

「とうとう姿を現したか」

「!」

「お前ら出てきていいぞ」

 ザグレブがこっちを見てきたので私達はメイドの目の前に出てきた。

「何なの……アンタ達」

「私は四宝朱火だ」

「四宝……お前が四宝朱火か!」

「知っているのか?」

 意外だったな。

「当然よ! よくも椿姫様を!」

 メイドが右手を開いて前に出すと大きな斧が現れた。

 持ち手が水色で刃が黒と銀色の斧だ。

「このミンスクが相手になった事、後悔するといいわ!」

 ミンスクが斧を振りかざして襲い掛かってきた。

 私は構えた。しかし。

「何!?」

「後悔するのはアナタよ」

 先輩がミンスクの後ろに回って斧を持っていない左腕を掴んでいた。

「邪魔しないでくれる」

「嫌よ。私達は貴方のようなメイドを浄化しなければいけない。椿姫の仲間ならなおさらね」

「人間の分際で! お前達は黙っていろ!」

 ミンスクは掴まれた腕を振り払い、今度は先輩に襲い掛かり、斧を振りかざした!

 先輩は素早く逃げてミンスクの体を抑えた。

「さ! 大人しく浄化されなさい!」

「そうはいくか!」

「!」

「巫女十様!」

 先輩と桃音ちゃんだけでなく私も含めてミンスク以外が驚いた。

 なんとミンスクを掴んだ先輩の腕がと手が氷漬けになったのだ!

 ミンスクは簡単に開放されてしまった。

「お前はもう戦う事ができない」

「!」

 先輩の腕がどんどん氷に侵食されている!

「巫女十!」

 ザグレブが駆けつけ氷を壊そうと右拳をぶつけた。

 しかし壊れなかった。

 氷の侵食は止まらない。

「皆ゴメ……」

 最後まで言い切れずに先輩は氷漬けとなった。

 

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