第20話 ~話し合い~
「朱火さんジャージありがとうございます」
「まぁ、裸でいられても困るし」
その下は裸なんだよな。執事服が乾いたらすぐに着替えさせてジャージは洗濯機の中に放り込んでやる! 汚いから!
「それで話って何ですか?」
「実は……」
私は鈴蘭の事について話した。
「つまり鈴蘭さんがお見合いについて前向きな理由を知りたい、と」
「これまでいろいろ揉め事があったけど、鈴蘭は両親の意見両方を取り入れてきたんだ。でも今回は紫陽花さんの意見を1つも聞き入れてない」
「ケンカでもしたのでは?」
「そんな感じでもなかった。しかもさ、私が『好きな人でもいるんじゃ……』て聞いたら口ごもったんだぞ! これは何かあるに決まっている!」
「確かに……それは訳ありですね」
「じゃあ明日調べに行こう!」
「張り切っていますね」
「当たり前だ! 鈴蘭は私の妹みたいなものだからな!」
私達は明日に備えてジャンプと空中移動の練習をした。
近所の屋根をジャンプしながら移動する。慣れてくると楽しい。
「朱火さん、僕より次の屋根に移動するスピードが速いですね」
「そう? まぁ、喧嘩で鍛えただけはあるからな」
まさか喧嘩で鍛えた力がここで発揮するとは。
「ところで朱火さん。ここから鈴蘭さんの家までどれくらいかかりますか?」
「車で片道2時間くらい」
「えぇ!! ずいぶん遠いですね」
「まぁ都心の高級住宅地にあるからな」
私も何度か行った事があるが、いつも着くまでかなりかかった。
「しかし……そこまでどうやって行こう……?」
「じゃあ電車に乗って行きましょう!」
「金はあまり無いぞ」
「大丈夫ですよ」
「?」
「朱火さんもメイドになれば見えませんから」
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