第29話 マズイと身体が…

 珍しく、丼ものを食べたがる彼女…。

「じゃあ、アタシはスタバ寄ってから行くから買っといて」

(何を…何丼を買えばいいの?)


 その店は…空いていた…フードコート自体があまり好きじゃないので、めったに来ない。

 イライラするのだ。

 子供が騒いで…中学生が調子こいてて…高校生がぎこちないデートして…家族が楽しそうに食事する…なんだろう…違和感を感じるのだ。


 そして…丼ぶり専門店、空いている…ひときわ空いている…。

 誰も並んでない…。


 そもそも…何丼を買えばいいのか…。

 悩んだあげく…全部乗せみたいな丼を頼んだ。

 ヒレカツ・から揚げ・エビフライが丼からはみ出して乗っている写真。

 だったのに…丼の内側に全部収まっている。

(いいんだ…マック方式だ…よくあることだ…)


 御飯に乗っけただけ…丼というより、おかずを乗っけた感じだ。


「なんでコレにしたの?」

「いや…何頼んでいいか解らないから…」

「ふぅん…アタシ、蕎麦食べたい」

「先に言ってくれ…」

「大丈夫なんだよ、小蕎麦110円で頼めるんだよ」


 席に着いて、丼を食べる彼女…ちょっと食べて、僕に渡す。

 アレ?丼からはみ出している?こんなだったか?

「コレ何?」

「ん…ハンバーガー」

 かってに丼にハンバーガーをぶち込んだんだな…。

 丼の中で、潰れたハンバーガー。

「不味そうだね…」

「美味しいよ…セブンのだもん」

 なんかジャンクフードって感じが増した。

 犬のエサみたいだ…。

 ハンバーガーをとりあえず食べて…この時点で腹いっぱい。

 車中で饅頭2個食べさせられた後のハンバーガーだもん。


 どんぶりを5ひとくち食べて7うんマズイ5

 だんとつに5コメがマズイと7はじめての5ことばをはいて7はしとまるゆび7

 マズイ…マズイ…と言いながら、とりあえず全部食べる。

(これは…努力だ…)

「コレ…スタバの新作、飲んで」

 どんぶりに、生クリーム…。

「蕎麦、美味かった?」

「うん…不味かった」


 その夜…。

 腹が……。

「僕、今…下痢だよ…」

「不味くて身体が反応した?」

「全力で身体から出そうとしている」


 そう…きっと食い合わせの問題もあろうが…あのマズイ食べ物を全力で体外へ出したい僕の気持ち。


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