第18話 ALL鳥類

「あのね~ケーキから食べて欲しいの」

「うん…事前に聞いてたからね…食べるさ…」

 半分食べてある…食いかけのケーキ。

 モンブラン・イチゴショート。

 派手なものは好まない、定番で判断する女版『通』である。


「うん…甘さ控えめで美味しい」

「えっ?そう?アタシあんまり好きじゃない…この店…甘くないんだもん」

「うん…そこがいい」


「で…今日は何を持参したの?」

「焼き鳥」

 焼き鳥か~うん、まぁ大丈夫だ。

「モス行く」

「何にするの?」

「なんでもいい…トマトが入ってなければ」

(限定されるな…トマト率高めだぞ)

「じゃあ…チキンバーガーセットで」


「あっ…しまった…焼き鳥あるんだっけ」

「そうだよ…なんで?」

「チキンばっかだよ…」

「ホントだね、アハハ」

(アハハじゃねぇよ…)


「なんか待たせるね…イライラする~」

(確かに待たせるな~)

「焼き鳥食べるよ…先に」

「うん、そう」

(なんだろうな~、焼き鳥食いながら、チキンバーガーを待つ客って…僕の他にいるかな~)


「先に、焼き鳥片づけて欲しい」

「うん…いいけど…それより、コレもしかしてから揚げ?」

「うん、鳥のから揚げ~」

(まさかの援軍だよ…チキン小隊だよ…なんだか怖いよ…)


 鳥三昧だよ…。

 自爆だけど…。


 帰り道…コンビニに急ぐ…腹が…。

 トイレの前で家族連れが陣取っている。

 IQ低そうなお子様が、トイレの前でウロウロしてる…。

(こっちはエクスプロージョンしそうなんだよ!蹴り飛ばすぞクソガキ!)

 チラっとレジを見る…外人の店員、OKだ。

 女子トイレに駆け込んだ。

(危ないところだ…どうしてトイレが近づくと、穴が緩むんだろう…不思議だ…油断禁物だ)


 チキン小隊の攻撃を凌いだ…危ないところだった。


 彼女と付き合っていると、いつかエクスプロージョンするだろう…。

 そんな予感がする、秋の夜。

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