奇人の磁力は馬鹿を引き寄せるようで……。

第2話 新米から♨

『おにいちゃん、『通』さんにお米頼んでくれた？』

　私の母親の娘さん、つまり妹さんからのLineである。

　失礼ながら、名前を見ても暫く解らなかった。

（誰コレ？…………はっ！妹さんだ……確認しないと怒られる）

『通、コメ売って』

　さっそく『通』にメールした。

『おう、久しぶりだ、いつ？野菜いる？今、ナスと夕顔と南蛮、きゅうりを持っていける。

　今日以外ならいつでも行ける。

　お盆はどうだった？

　休めたか？

　俺は家のセメントを練って塗って、最後はデッキブラシで仕上げた。

　etc……』

(軽い作文くらいのメール来た…)

『新米だからね…まだいいんだ、収穫後でいいんだ。腰やっちゃってね…今寝てるよ』

　↓

『腰か、解るよ、俺も優しいシップ張ってる』

(優しいシップって何だろう……温シップかな？そうすると普通のシップは厳しいシップ？)

　↓

『そうか…いや痛いね、今日は早退したよ』

　↓

『そうか、♨温泉行こう♨温めるのが一番いいんだ』

　↓

『そうだね…久しぶりに行きたいね』

　↓

『いつ行く？週末行く？♨おんせん♨』

(あ～日帰りか)

　↓

『いいよ、週末行くか？』

　↓

『おう、今日は遅いから土曜日に連絡する、大事にな腰』

　♨マークいっぱい張ってあったな～、よっぽど楽しみなんだろうな。

　なんだかんだで友人である。

　心配してくれているのだ。

　友人とは歳を取ると、ありがたみがわかる。

　それにしても腰が痛い…寝るのも、立つのも苦労する。

　どういう寝方したらいいんだろう？

　スマホで調べると……ぎっくり腰は温めてはいけません。

　温泉…ダメなんじゃ……。