十六幕:朱き魔剣


「――……な、なんなんですか……あれは!?」


 目の前で起きた出来事が理解できず、ミルドレッドは震える身体を必死に抑え付けながら言葉を搾り出す。だが混乱は禁じえない。

 それはそうだろう――と。ソルは他人事のように思った。

 空が割れるなんて光景、それこそ一生に一度お目にかかることのない現象である。ただそれだけでも十分に空前絶後の出来事だというのに、その割れた空の向こう側から、得体のしれない――それこそ名状し難い何か、、がやってきたのだ。もしそんな光景を目の当たりにして冷静に対処できるような人間がいたとしたら、そいつはこうなることを知っていながらこの状況を引き起こした当人であるか。

 すでに一度同じ経験をした過去があるのか。

 あるいは、余程凄まじい体験をしたが故に肝が据わっているのか。

 たぶん、そのどれかだろう。

 でなければ、そいつの心が壊れているのか発狂しているのか――なんにしても、正気まともじゃないのだけは確かである。

 ならば、自分はどうなのだろうと、ソルは考える。ソルはその場で膝をつき、震える自分の腕を手で強く握り締めて――震える腕を見ていた。

 治まれ、震えるな。こんなのはまだ序の口だ。そんなことは、お前ソルが一番よく判っているだろう!?

 自分に言い聞かせるように心の中で己を叱責しながら、ソルは茫然と立ち尽くすミルドレッドの背を見上げた。


「――精神防御メンタルガードを――『霊鎧れいがい』を自分に付与エンチャントするんだ。君ならできるだろう?」

「え? へ? え、ええ。できますけど……それが今何の関係が――」

「いいから急げ!」


 戸惑うミルドレッドを、ソルは急かすために怒鳴りつける。ミルドレッドは突然怒鳴られたことに困惑しつつも、言われた通り魔力で霊子を集束し、魔法を発動させた。一瞬、淡い光がミルドレッドの身体を包みこむ。『霊鎧』が正常に発動した証だ。これで、少なくともあれ、、からは逃れられるだろう。

 

「そ、それで……どうして『霊鎧』なんて?」

「あいつら――あの黒い連中は、人間の身体を欲してる。その干渉力から身を守るためだよ……」

「……何故、そんなことを? 貴方は、アレが何かを知っているんですか?」


 じっと、真剣にこちらを見据える眼差し。

 ソルは首肯で応じた。


「――ああ、知ってる。昔、一度だけあいつらに遭遇しあった」


 忌々しい記憶だ。

 悪夢のような出来事。地獄とは、まさにあの場所のことを指す――そう、思えるような惨事。


「――アンフェスバイナ。奴らは其処に現れた。僕は、その場にいて、あいつらを見た」

「――……アンフェスバイナ、って……あの、アンフェスバイナ事変の?」

「そう。連合とル・ガルシェの開戦のきっかけとなった街。奴らに――〈神ノ影ファルヴァルシ〉によって、滅んだ街さ」


 哀愁の漂う微笑を浮かべて言うソルに、ミルドレッドはどう言葉をかければいいのか判らず、視線を右往左往させていたが、それでも――と意気込むように、少女は口を開く。


「ファル……ヴァルシ……それは、一体――」

「お喋りしてる暇はないみたいだ!」


 ミルドレッドの言葉を遮って、ソルは彼女を抱えるようにして横に跳んだ。途端、ソルたちが立っていた地面から、無数に出現する槍衾。

 そして、その槍と共に姿を現すのは――闇が形を成したような人型。


「――〈兵士ポーン〉か!」

「ポ……なんです!?」

「〈兵士〉だ! 〈神ノ影〉の尖兵。くそっ、もう来たのか!」


 困惑するミルドレッドに説明しながら、ソルは忌々しげに舌打ちを零した。そんなソルたち目掛け、〈兵士〉がゆっくりとその片手を持ち上げる。同時に出現するのは、先ほどソルたちを襲った無数の槍だ。

 地面から突き出すように出現した影色の槍は、上空に伸びていき再び弧を描いてソルたちを追撃する。

 左手でミルドレッドを抱えたまま、ソルは空いている右手で大剣を引き抜き――一閃。『剣撃』が放たれ、魔力の刃が無数の影槍を迎え撃つ。

 『剣撃』と槍の群れが激突し、火花が散る。『剣撃』に押し負けた槍が弾かれて大きく軌道を逸らした――だが、それはすぐに方向修正し、再びソルたちを襲うべく上空から飛来してきた。


「――『操糸サイプレス飛鑓クレス』!」


 飛来する影の槍を、今度はミルドレッドの『操糸』が編み上げた無数の鑓が迎撃する。

 しかし、どれだけミルドレッドの飛鑓が影の槍を受け止めても、その数は一向に減る気配を見せなかった。

 それでも――勢いは僅かに衰える。その瞬間、ソルは駆けた。〈兵士〉へと肉薄し、大剣を一薙ぎに払う。

 魔力を纏った刃が、人型を一刀のもとに両断する。まるで霞を切ったような手応えだが、振り返り確認すると、〈兵士〉は形を保てなくなったかのように一度全身を振るわせた後、大量の水が地面に零れ落ちたかのようにびちゃりと音を立てて崩壊した。


「た、倒せた?」

「まだ来るよ」

 

 ソルの腕から抜け出したミルドレッドが目を丸くするが、ソルは剣を握ったまま周囲を見回す。すると、それを待っていたかのように次々と姿を現す〈兵士〉。その数、六体。

 そのうちの一体が、ミルドレッドへと手を伸ばした。

 ミルドレッドは即座に『操糸』で対処する。無数の糸が〈兵士〉に襲い掛かり、その身体を切り裂く。

 だが、〈兵士〉は止まらない。

 その身体を刻まれながら、それでも真っ直ぐにミルドレッドに手を伸ばしていく。その異様さに、ミルドレッドは思わず身を強張らせる。

 そうしているうちに、その手がミルドレッドに触れ――


「――破っ!」


 ――る寸前。横から割って入ってきたソルが、〈兵士〉を一刀両断する。「大丈夫?」とソルが声をかけると、ミルドレッドは僅かに青ざめた表情をしながらも「だ、大丈夫です!」気丈に答え、ソルに背を向ける。

 ソルはそのままミルドレッドに背を預ける形で剣を構えた。


「気をつけて。奴らは是が非でもこっちに接触を図る」

「な、なんのためにですか?」


 言葉の端々から、できれば聞きたくない――という感情が読み取れてしまい、ソルは苦笑を零し、申し訳なく思いながら言った。


「肉体の確保さ。こいつらは、このままだと長く現界することができない。存在的には霊体スピリットに近いんだ。だからこの世界で受肉するために人間を襲う」

「じゃあ、触れられると――」

「肉体を奪うために精神を侵食クラックされる。対抗するには、強い精神力が必要になる」

「……っ。だから、『霊鎧』を?」

「気休め程度だけど……ねっ!」


 答えながら、ソルは大剣を振り下ろし――魔法を開放。『斬華』が発動し、全方位に打ち出された斬撃が、襲い来る〈兵士〉を一掃する。

 しかし、倒れたそのすぐそばで新たな〈兵士〉が出現してくる光景に、二人は揃って顔を顰めた。


「……焼け石に水ですね」

「まったくもってその通り」


 身構えるミルドレッドが、鬱陶しそうに眉を顰めた。ソルは苦笑を零しながら肩を竦める。


「ついでに言うと、奴らの魔力は無尽蔵だ。魔法合戦なんてやってたら、地力でこっちが負ける……」

「倒す方法はあるんですか?」

「見ての通り、普通に切るなり刺すなりすれば倒せる。だけど――」


 言葉を区切り、ソルは視線を彼方へと向ける。空の割れ目――その前で立ちはだかる巨躯なる〈神ノ影〉。

 ソルは『剣撃』で〈兵士〉を打ち据えながら、言った。


「全部をどうにかするには、〈統率者フューラー〉を討って、あの空の割れ目をどうにかしないと」

「そんなこと……できるんですか?」

「――〈統率者〉はどうにかできるかもしれないけど……問題は割れ目だ。あれを戻さないと、意味がない」

「ならどうするれば……」

『どうにかできますよー』

「「はい?」」


 何処からともなく湧いた声に、ソルたちは声を揃えた。そんな二人の声に呆れるのは、


『あー、ボクですボク。今貴方の後ろにいます』

「いないでしょうが、師匠!」


 まごうことなき師クラフティの声である。しかし、辺りを簡単に見回すも姿はない。おそらくは空気を媒介に遠方に声を届かせる『木霊』を使っているのだろう。姿なく声だけの師に、ソルは思わず突っ込みを入れる。


『冗句の通じない莫迦弟子ですねぇ。少しくらいのお茶目を許してほしいもんです』

「師匠はいっつも場の空気読まないからでしょう!」

「楽しい掛け合いは後にしてください!」


 ソルたちのやり取りにミルドレッドが憤慨の声を上げつつ、両手を薙ぎ払う。双手十指の先から迸る『繰糸』が周囲に出現した〈兵士〉を斬り伏せながら、ミルドレッドは声を張った。


「それで、クラフティ……さん! どうにかできると仰いましたけど、その方法は?」

『今、この街に施されてていた封印を再構築しているところです。それが完了すれば、自然とあの空は元に戻ります。ですが――』

「何か問題でも?」


 言いよどむクラフティの声に、ソルが疑問を投げた。クラフティは大して悪ぶれた様子もなく言う。


『封印の術式が複雑怪奇でして。正直ボク一人ではどうにもできないんですよねぇ』

「この役立たずの大飯食らい……」

『いい度胸だクソ弟子。テメェ後で酷い目にあわせてやるから覚悟しとけよゴラァ……』

「お願いですから、そういうのは別の機会にしてもらえますか……」


 ミルドレッドが呆れ果てる。ソルはうぐっとその場で言葉を詰まらせ、クラフティが声だけであるが、溜息を漏らしたのが判った。


『まあさっきのは別の機会に取っておくとして、女騎士様デイム――ミルドレッド、でしたっけ? ちょいとお手伝いをお願いしたいんですが、いいですか?』

「へ? あ、はい! 私ですか?」


 突如名指しされたミルドレッドが困惑気味に返事をすると、クラフティは『いぇーす』と肯定を返した。


『これから場所を教えますので、その場所に来てください――あ。それとさっきの製糸場になった【ファーレスの魔剣】。あれも持ってきてください。緊急事態ですからね』


 と。一方的な科白の後、クラフティは『それでは後ほど』と言い残し、それを最後に会話は途切れる。

 一瞬の沈黙。ソルとミルドレッドはどちらともなく顔を見合わせ――そしてほとんど同時に溜め息を零した。


「もう……何が何だか……」

「気持ちは判らなくもないけどね……あの人があそこまで言うんだから、きっと必要なことなんだよ」

「ですが、そういうのは弟子である貴方にいうべきではないですか? 私は巡回騎士として、街の住民を――」

「避難させるほど、あいつらは生易しくないよ。そうだったら、僕の故郷アンフェスバイナが壊滅なんてことには、きっとなってなかっただろうしね」


 自重するように告げると、ミルドレッドは目を丸くし――そして申し訳なさげに視線を足元に落とした。


「す、すみません……軽率なことを」


 謝るミルドレッドに、ソルは苦笑しながら首を横に振る。


「今のは僕も悪かったよ。でも――だからこそ頼む。師匠はどうにかできると言った。いい加減で、大飯食らいで、怠け者だけど……あの人の言葉は信用に足るんだ。だから、この街を守りたいなら――」

「……判りました。私は魔剣の回収に向かいます」


 ソルの言葉を引き継ぐように、ミルドレッドは強く頷き――そっとその手を差し出してきた。

 一瞬意図が判らずソルは差し出された手を見て、次いで彼女の顔を見て――「ああ」と声を上げながら微苦笑を零し、そしてその手を取って握手を交わす。


「ご武運を」

「君こそ」


 今日であったばかりの相手に随分と律儀なものだとなぁと思いながら、ソルは彼女の言葉にそう答えた。ミルドレッドは満足げに頷き手を放すと、走り出す。

 左右でくくった銀髪を揺らしながら、ミルドレッドが走り去っていく。その背を見送ったソルはゆっくりと踵を返し――そしてそっと囁いた。


「――師匠、彼女は行きましたよ」

『そりゃ良かったです』


 一方的に切れたはずのクラフティの声が、再び聞こえてきた。それも先ほどのような『木霊』による通達ではない。これはソルがクラフティから渡されている魔法道具の一つによる通話である。

 特殊な魔法鉱石を削り出して作った耳飾りイヤリングを通した通話。ソルは淡々と言葉を続けた。


「――で。僕は〈神ノ影〉への対処でいいんですか?」


 訊ねると、通話越しのクラフティが明らかに渋い唸りを零した。まあ、その反応はそるにとっても予想の範疇だったので、大して気には止めない。今ソルが気がかりなのは奴ら――あの忌まわしき〈神ノ影〉たちだけだった。


『正直、やらせたくないんですけどねぇ。こればっかりは緊急事態ですし……目を瞑りますよ。だけどソル……――』

「呑まれるな――でしょう? 判ってますよ。言われなくても」

『……だといいんですけどねぇ』


 ソルの言葉に、クラフティはそう言った。呆れたような、あるいは諦めたような返事。申し訳ないと思う。だが、こればかりはどうしようもないのだ。


『――あれを使うことを許可しますよ。ただし、ボクがそっちに言った際にトチ狂った様子だった場合、ただじゃあおかないのでそのつもりで』

了解イエス・サー


 適当に返事を返すと「本当に判っているんですかねぇ?」という科白が返っていて――そして通話は途切れる。

 まあ、それで構わなかった。これ以上会話する気は、ソルにはなかった。


 ふつふつ ぐつぐつ

 ぎしぎし ぐらぐら


 自分の腹の奥底で沸騰する気配モノ

 自分の胸の内側で増幅する感情モノ

 それが今にも爆発しそうなほど膨張している――それが判る。判ってしまう。

 何故ならば。

 それはソル自身が望んでやまないことだからだ。

 それはソル自身が欲し続けてきた瞬間だからだ。

 脳裏によぎる光景フラッシュバック

 赤い色。

 炎のあかい色。

 血のあかい色。

 世界がそれ一色に染まっていく。

 赤色に彩られた世界を見上げて、そんな自分を見下ろす黒い影たち。

 あの日の光景ヒゲキ

 あの日の光景アクム

 あの日の光景ゼツボウ

 それはソルにとっての最も忌まわしき記憶だ。

 何もかもが変わった日だ。

 何もかもを失った日だ。

 憎悪に染まった過去回想フラッシュバック

 赤く染まる世界。

 狂乱し哄笑する巨大な黒影。

 そして、揺れる――銀髪。


「――いなければ」


 ソルは誰にともなく言葉を零す。

 それは憎悪の言葉。

 それは怨嗟の囁き。

 彼が口にするのは――呪詛。

 怒りと、憎しみと、哀しみに彩られた――呪いの叫び。


「――お前たちさえいなければ」


 何も失わずに済んだのに。


「――お前たちさえ、顕れなければっ!?」


 誰も失わずに済んだのに。

 だが、現実はそうはならなかった。

 何が原因だったのかは、今も判らない。判るのは一つだけ。

 こいつらが、自分の故郷を滅ぼして。

 そしてあの男がやってきて、父を――


 そう、考えてしまうだけで。駄目になる。


 普段秘している感情が、浮き彫りになる。燻りに一瞬で火が点いて――それは瞬く間に炎となって、感情こころを飲み込んでいき。


 故に。

 だから。

 ソルは――そっと虚空に手を伸ばして。







「――来い。〈狂喜セシ復讐者アヴィス=シェイド〉」







 その名を口にした。

 途端、ソルの眼前で赤光が迸る。

 吹き出す血のようにどす黒い赤の奔流が、掲げる掌に集束し――やがてそれは一つの形となって彼の手に収まる。そしてそれを手にした途端、握った手を中心に全身に禍々しい刻印が走った。

 しかしソルその事象を気にする様子もなく、むしろ受け入れるように口の端を吊り上げて、その手に握ったものを――剣を、手に馴染ませるように一振りする。


 それは、武器と呼ぶにはあまりに禍々しい形状をしていた。


 恐らくは剣。そう、剣である。

 しかし、その刀身は脈動し、目を背けてしまいたく鳴る様な怪しい朱い輝きを発していて。

 その剣を形作る全体は武器とは程遠く、まるで一つの生物のような奇形をしていて。

 そう。まるで、巨大な怪物の爪をそのまま捥ぎ取ったような――そういう奇妙な形状の大剣だった。

 それがソルの持つ魔剣。


 彼のうちに秘された、狂気と憎悪の結晶のような魔剣――〈狂喜セシ復讐者〉。


 どくん……どくん……まるで心臓の鼓動のように脈動する赤光に、引き寄せられるようにしてソルの周囲に出現する十を超える〈兵士〉たち。

 それらを見回し、ソル・ルーン=ファルラはにたりと嘲笑を浮かべて。

 言葉なく、代わりにその手に握った朱き魔剣を頭上に掲げて――無造作に横に薙ぎ払った。

 ――赤光が迸る。

 まるで稲妻のような赤い閃光が、ソルの周囲に散逸するかのように広がり、ソルを取り囲んでいた〈兵士〉たちを襲った。



 ――GRYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYY!!?



 〈兵士〉たちが――〈神ノ影〉の〈兵士〉たちが絶叫した。

 魔剣から放たれた赤雷に貫かれ、まるで断末魔の如き異様なる声を辺りに響かせて崩れ落ちる。広がった黒い水溜りからぶすぶすと、腐った油が焦げるような悪臭が漂った。

 その中を、ソルは悠然と進む。

 なお顕れる〈兵士〉たちを前に一歩も怯むことなく、むしろ進んで〈神ノ影〉が群れる方へと進んで行き――魔剣を一閃。

 ただそれだけで。

 魔剣の一振りだけで。

 黒い怪物たちは一瞬にして葬りされられていく。

 もとより、〈兵士〉は雑兵。その名の通り有象無象の数によって蹂躙するための駒である。ある程度の実力者であれば、恐れる必要などほとんどないような程度の相手だ。

 ただその異形さと異常さに後れを取るだけに過ぎない。

 そしてソルは、彼らを恐れない。〈神ノ影〉。それを恐れることなどあり得ない。

 彼にとって、彼らは恐怖の対象となりえない。

 彼にとって、〈神ノ影〉は――ただ憎むべき対象。殺すべき相手。

 ただ、それだけなのだから。

 そしてそんなソルの胸中に応えるように、彼の手握られる魔剣が――〈狂喜セシ復讐者〉の刀身が輝きを放った。


「――ああ、やろう」


 その輝きに応えるように、ソルは小さく零して、ただ彼方を見据える。

 視線の先には割れた空。

 そしてその割れ目を守るように君臨する〈神ノ影〉――その〈統率者〉が、まるで此方を待ち構えているかのように見下ろしていた。









  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る