八話 脱出に向けて(2)



「だあぁ!なんでこんなにこいつら多いんだよ!」


僕達一行は、メニューウィンドウのマップに従って、階段を目指していた。

このダンジョンは、地下に行くにつれて道が複雑になっていて、マップを見るまでは、何回も同じ場所を回っていた。


そこで、一角ウサギの上位種<ラビットソルジャー>の群れのテリトリーに入ってしまったらしい。


今、石斧を持った、ラビットソルジャー十体に追いかけられている。



「ちょ、七海!どうにかなんない?!」

「ちょっと待ってよ!…………………ノーマルショット!」



ボシュッと発射音がして、七海の手から複数の弾丸が高速で飛んでいった。


先頭二体が気持ち悪い断末魔をあげて倒れるが、後ろにいたラビットソルジャーが、魔法でシールドを展開して、弾をふせいでいた。



「おい優太!なんでソルジャーが魔法なんか使えるんだよ!GMコールしろ!」

「馬鹿言わないでよ浅賀!今はシンクロじゃないって!」

「アァッ!めんどくせえ!テメェはなんか持ってないのか!」



ふふふ、みんなは知らないだろうが、さっきメニューウィンドウを見てたら、新しい魔力砲の派生スキルをいつの間にか獲得してたんだよねー。


仕方ない、僕の新しいスキルのお披露目タイムといくか。



「浅賀、実は新しいスキルがあるんだよ!見たいか?」

「見たいか?じゃねぇ!早くしろ!人をおぶってる見にもなれ!」



浅賀は、疲れて走れない舞花をおぶっているから、疲れて怒ってるみたいだ。

浅賀には、新技を見せてやろう。攻撃技じゃないけど。


僕は魔力砲を握って、魔力砲を込める。

狙うは敵陣真ん中。

魔力砲を構え、叫びながら、引き金を引く。



「『スモーカー!』」



ボンッ


黒い球体が、敵に向かって、放物線を描くように飛んでいった。


それは、敵に当たると同時に、はじけて、煙幕の壁をつくった。



「ナイスだ優太!」

「次の角を左よ!そのT字通路の右に階段があるわ!」

「よし、あと少しだ!」



僕達はスピードを上げて走った。

通常の体より早いし、体力も違う。

ここまで走れてるのは、そのおかげだろう。


ゼェハァゼェハァ


T時通路の分かれ道のところまで、なんとかたどり着いた。


しかし、少し遅かった。


そこには、階段で戦闘最中だったのだろう、この世界の駆け出し冒険者らしき2人が、戦闘に耐え切れなかった階段とモンスターが音を立てて崩れ落ちていく光景があった。


「おいおい、嘘だろ……。」


僕達は、上へつながる階段を失ってしまった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る