六話 真夜中に

深夜2時を回った頃だろうか。僕は“異世界に召喚”という、大きな事に巻き込まれた初日とあって、中々眠れずにいた。

僕は、いっそ眠れないなら、と、井戸前広場に出てみる事にした。


外に出てみたが、以外と静かなものだった。慣れない事の疲れの方がみんなは勝ったらしい。僕だけかよ。そう思ったが、違う建物から人が出てきたのが見えた。村には灯りが無いから顔までは見えなかった。

なので、声をかけてみる事にした。

「あのー、」

「ひゃ!……なんだ、優太君か。もー、びっくりしたやん!」

「ごめんごめん。暗くて顔が見えなくてさ。ところで、どうしたの?こんな遅くに。」

七海から帰ってきたのは僕と同じだった。

「ちょっと眠れなくてね…。そうゆう優太君もでしょ?」

見透かされていたらしい。まあ、こんな時間に起きてれば理由なんて同じか。

「やっぱさ、異世界召喚なんて大きな事に巻き込まれて不安ていうかさ、これからの事も心配だし、留年なしで頑張ってきたんだから、ここまで来てこんな理由で退学になんてなりたくないしね。」

「まあ、お互いがんばろ。幸いこの世界で死んでも大丈夫らしいからさ。」

「そやね、なんか人と話したら安心したよ。私、もう寝るね。おやすみ。また明日。」

そう言って七海は女子用の建物に戻って行った。

僕も少し安心したから、戻って布団に入ったら翌日浅賀に呆れられるほど熟睡して一時間程寝坊したのは内緒だ。

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