五話 肝心な事はもっと早く言えよ!(3)




しばらく待っていると、クラスメイト達が集まり始めた。

その表情は様々だった。けど、仕方ないと思う。戦闘はゲームでやってる人が多いから戦いには慣れていると思うけど、ゲームでは血がでないから気分が悪くなる事はしょうがないと思う。

“ここまじで異世界だったんだな”とか、“あんな血が出るなんて聴いてないですよう”なんて声が聞こえてきた。やっぱりみんなも、実はゲームなんじゃないか?って思ってたみたいだ。今回のゲームとは違った生々しい戦闘で思い知ったんだろう。ゲームとは違うからな。


みんなが集まると、直ぐに委員長が現れた。委員長の表情は曇っていた。普段はそんな表情しないのに。

委員長は井戸の前の、少し高いところに立って、みんなを見て、メニューウィンドウを出して言った。

「みんな、二時間程前に、学園長からメールが届いた。言い忘れた事を送ってきたらしい。良い話、悪い話どちらから聞きたいですか?」

皆が沈黙した。こんな事を言われたら、悪い方がそんなに悪いのだろうか。

「じゃあ、良い話から聞こうじゃねえか」

隣の浅賀が皆の沈黙を破ってそう言った。

「皆はそれで良いですか?」

皆は頷いた。

「では、良い話から行きましょう。良い話というのは、僕達が戦った時、怪我は全て回復するそうです。あと、HP、MPレベルなどは可視化することができるので、あとでやってみてください。良い話は終わりです。」

良い知らせを聞いても、僕達の気分はなにも変わらなかった。次に来る悪い知らせを恐れているからだった。

委員長は直ぐに悪い話をはじめた

「コレは悪い話と共に、一部の人には良い話になると思いますが、ほとんどの人が悪い話になるでしょう。今から、その部分をそのまま転送するのでそれを見てください。」

そこには、こう書いてあった。

『この世界を救えなければ卒業ではなく、退学処分とする、』


あり得ない。いくら異世界からやってきた先生だからってこんなことをするとは思ってなかった。みんなは呆然としていた。委員長はみんなが見たのを確認してから言った。

「つまり、これは本気でやらないと駄目だということです。俺もこんなのはやらないつもりでいましたが、もう、やるしかないでしょう。今の時代、中卒では戻った時働けませんしね。それと、今日は気持ちを整理して、明日からのこの生活を頑張ってもらいたいため、今日は解散します。」

そんな委員長の言葉で、この集まりはお開きとなった。

その後、割り振られた部屋に戻り、寝たが、呆然としすぎてこの日、僕がなにをしたかは覚えていなかった。

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