第2話

午前の授業を終えた後、並びに並んで昼食を購入した私は、教室で一人パンをかじっていた。


「佐藤さん、今日もカレーパンなの?」


にこやかにそう話しかけてきたのは、クラスメイトのなんとかちゃんだ。


「プリント、今日が期日だけど?」


見せられたのは地域の歴史を調べ発表するという内容のもので、私が昨夜まで一生懸命に仕上げてきたものだ。


「ごめんね、忘れてた! けどちゃんとやってきたよ?」


そう答え、ファイルを漁る。

……おかしい。 無い。


カバンの中、机の中、いやいや教科書の間?

……無い。 確かにやって来たというのに。


「あ、あはは……?」

「なんだ、また忘れたのー? さすが佐藤さんだね!」


いやいや、グッジョブじゃないですよ。


「はぁ。 また放課後走らなきゃなんないのか」

「あはは、いいじゃんいいじゃん。 佐藤さん、

マラソン大会に向けた体力強化でもしてるんじゃないかって噂になるくらい走ってるもんね!」

「げ、そんな噂立ってるの」


心外だ。 走りたくて走ってるわけじゃないのに。


「まあいいや、先生にはまた走りますって伝えておくねー!」

「うん、ありがとー……」


嫌だなぁと呟くが、結局自分のドジのせいだ。 諦めよう。


今日のカレーパンは、なんだかしょっぱいや。

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