第2話
午前の授業を終えた後、並びに並んで昼食を購入した私は、教室で一人パンをかじっていた。
「佐藤さん、今日もカレーパンなの?」
にこやかにそう話しかけてきたのは、クラスメイトのなんとかちゃんだ。
「プリント、今日が期日だけど?」
見せられたのは地域の歴史を調べ発表するという内容のもので、私が昨夜まで一生懸命に仕上げてきたものだ。
「ごめんね、忘れてた! けどちゃんとやってきたよ?」
そう答え、ファイルを漁る。
……おかしい。 無い。
カバンの中、机の中、いやいや教科書の間?
……無い。 確かにやって来たというのに。
「あ、あはは……?」
「なんだ、また忘れたのー? さすが佐藤さんだね!」
いやいや、グッジョブじゃないですよ。
「はぁ。 また放課後走らなきゃなんないのか」
「あはは、いいじゃんいいじゃん。 佐藤さん、
マラソン大会に向けた体力強化でもしてるんじゃないかって噂になるくらい走ってるもんね!」
「げ、そんな噂立ってるの」
心外だ。 走りたくて走ってるわけじゃないのに。
「まあいいや、先生にはまた走りますって伝えておくねー!」
「うん、ありがとー……」
嫌だなぁと呟くが、結局自分のドジのせいだ。 諦めよう。
今日のカレーパンは、なんだかしょっぱいや。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます