7-おまけ
おまけ 異世界の相眞団一郎
「〝始祖
試合開始の合図と共に始祖の武術を展開する。地面を通して流れ込んだ玄武の気が
「そうか……団一郎も始祖の境地に辿りついたのか! 帰りに祝杯を上げねばな。二人で飲みに行こう。始祖の境地まで武術を極めたお祝いと、最強の武道家になったお祝いだ」
「気が早くないか。試合はまだ終わっていないぞ」
「あっはっはっはっは! 指一本動かせないのだ。この状態でどうやっておまえを倒せと? 始祖は先に発動した方が勝つのだ」
「……すまない」
「何を謝ることがある? わたしは嬉しいぞ。団一郎がライバルで良かった」
「おれもだ、知久」
足を地面に張り付かせたまま知久めがけて拳を構える。
「〝始祖 徹心拳〟」
突き出した拳から目に見えぬ激しい衝撃が空気を震撼させていく。知久の身体を衝撃が走り抜ける。
「かはっ――」
白目を剥いて気絶したことを確認して〝始祖 徹心透〟を解除すると、固まっていた知久の身体が地面に倒れ伏せた。審判が試合終了を告げる。会場は大きな歓声に包まれた。
「これが最強の見る景色か。悪くないな。あとで、あらためて知久に感謝しよう」
だから今は。最強の友ではなく、最愛の彼女に礼を伝えに行こうか。
おまけ 謝罪
恋「相吾くん。わたくしに抱き着いたことへの謝罪をまだ聞いておりませんわよ?」
相吾「《相思相殺》も〈愛の拳〉も通じないお前に勝つためにはあれしかなかったんだよ。まあでも謝る。ごめんなさい」
恋「よろしいですわ。許します」
相吾「あっさりだな」
恋「責任を取って結婚していただくわけにもいきませんもの。わたくしの結婚相手はお姉様と決まっているのですから。あっ、お姉様ー!♡ 恋愛映画のチケットが二枚あるのですが――ああっ、ちょっとどちらへ行かれるのですかー! お姉様ー!」
相吾(姉御がいてよかった)
おまけ 気になる殿方
恋「もうっ! どうしてお姉様はわたくしと結婚してくださらないのですか!」
知紅「女同士だからだよ」
恋「ふん、そうはおっしゃいますが、どうせお姉様には気になる殿方だっていらっしゃらないのでしょう?」
知紅「いるよ」
恋「そうですわよね、お姉様に限ってそのようなことは…………ん? え、今なんと、おっしゃいました……?」
知紅「いるよ」
恋「だ、誰ですのっっっ!?!?!? は、早くおっしゃってくださいな!!!!! 秘密裏に亡き者にしませんとっ!!!!!」
知紅「倒也さん」
恋「ゑ???? お兄様???? WHY? なぜ?」
知紅「あたしより強い奴はいずれいなくなる予定だからな。だから相手に求めるのは弱さだ。それもただ弱いんじゃなくて最弱を追求する男だ。倒也さんは弱くあるために異能を失う過去異能を得たんだろ? 普通はそんな異能は得られねぇ。なかなかできることじゃねぇよ」
恋「……」
知紅「……? 黙ってどうした」
恋「ふぇええええええええんっ!」
知紅「泣いた!?」
おまけ 愛と相吾
「相吾くんは、私のことが異性として好きなのですよねっ?」
「そうだよ」
「結婚したいほどです?」
「ああ」
「私も相吾くんを好きになりましたよ。なので婚約をしましょうっ!」
「婚約?」
「私が産む子には幸せになって欲しいですからね。ちゃんと大人になって、結婚してから子供を授かりたいのです。それでいいですか?」
「いいぜ。愛の望む通りにする」
◇◇◇
「誓います」
「誓うのですっ!」
おまけ いろりと忍
「〈会いの拳〉。ふたりでひとつの過去異能。どんなことがあってもこれをもつふたりはひきはなされることはない。せかいかんしょうけい。ごつごうしゅぎ。ちーと。ひとりのわたしにはてにはいらない」
両手の人差し指と親指で長方形を作ると囲まれた場所に映像が映り込む。深夜の一室。穂村忍が勉強に頭を悩ませていた。
「おにいちゃんとならてにはいるかな」
幼女はどこまでも続く広い草原の上にごろんと寝転がった。
「おやすみなさい」
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