第2章 英雄の誕生
2-1 Beginning
チローン
電気も電波もその存在を知られていない世界。
そんな世界に不似合いな機械音が各地で五つ音をあげる。
その瞬間、洞窟を抜けた八木光司(やぎこうじ)、集落から逃げ出した狼谷拓也(かみやたくや)、縄張りから離れた法螺田悠介(ほらだゆうすけ)、天界から堕とされた宝座亮平(ほうざりょうへい)、地獄から這い出した唯野臣(ただのじん)は、本当の意味でこの世界に
音を聞いた5人は迷わずメニューの最下部に増えていた、自分達の開発したアプリ、「pentagon」を開く。
[転生被害、被害者の会]
プリティー転生神
<はいはい皆さま~。
いきなりその世界に飛ばされて絶賛混乱中でしょうけど落ち着いてください~
メッセージが皆さんから届き次第現状の説明をしますね~AM8:20
そこに届いていたのはそんな文章。
5人は離れてはいるが、揃った行動を起こす。
首をかしげて一言。
「「「「「これ、誰?」」」」」である。
pentagonにはプロフィールを変更する機能はない。
これは、自称開発主任者である
「成りすましとか面倒だからプロフィールは電話帳と同期させようぜ!」
と、将来利用するであろう利用者からのクレーム対策として(結局誰も利用していない。)考え、勿論5人の電話帳とも同期している。
というか既にスマートホンが手元に無く、pentagonしか開けないため、電話帳の追加も変更もできない筈なのだ。
プリティー転生神の名前。
誰にも聞き覚えはなかった。
即座に
[プリティー転生神って誰?]
フサフサ人狼タクヤ
<プリティー転生神って誰ー?
誰かが成りすましてるって訳でもないよなー
利用者俺たちだけのはずだしーPM12:05
鬼畜ツッコミコウジ
<違うと思う。
ってか、タクヤ。名前すごいことなってるけど?笑PM12:05
漆黒の堕天使リョウヘイ
<そういうコウジもすごい名前なんだけど(^○^)PM12:05
フサフサ人狼タクヤ
<ぶは!
リョウヘイ、覚醒ーPM12:05
殻に籠ったユウスケ
<それより助けてほしいんだけど!!!
フサフサ人狼でも鬼畜ツッコミでも漆黒の堕天使でも誰でもいいから迎えに来て!!!
まじで!!!PM12:06
フサフサ人狼タクヤ
<フサフサ人狼、だとっ!?PM12:06
唯のジン
<皆の名前がそんなことなってるってことは俺の名前も・・・PM12:06
鬼畜ツッコミコウジ
<ジンは普通だわwwwPM12:06
唯のジン
<なんでだよ・・・PM12:06
漆黒の堕天使リョウヘイ
<唯のジンだもの(-_-;)
ってか漆黒の堕天使って俺だよな( ;∀;)PM12:07
プリティー転生神
<ちょっとちょっと~
私を放ったらかしにして別のグループで盛り上がらないでください~
あなたたちの命運は私が握ってるって理解してます~PM12:07
フサフサ人狼タクヤが退室しました。
鬼畜ツッコミコウジが退室しました。
漆黒の堕天使リョウヘイが退室しました。
殻に籠ったユウスケが退室しました。
唯のジンが退室しました。
[プリティー転生神何奴!?]
フサフサ人狼タクヤ
<ちょっ、何でアイツが今のグループに入ってきてるんだ!?
誰か誘ったー?PM12:08
鬼畜ツッコミコウジ
<俺じゃない。PM12:08
漆黒の堕天使リョウヘイ
<鬼畜ツッコミに同じ(-_-;)PM12:08
唯のジン
<漆黒の堕天使に同じ・・・PM12:08
漆黒の堕天使リョウヘイ
<・・・不毛だ(´д`|||)PM12:08
鬼畜ツッコミコウジ
<ほんとにな。PM12:09
殻に籠ったユウスケ
<ってかマジで助けてって!!!PM12:09
プリティー転生神
<ふっふっふっ~
私からは逃げられませんよ~PM12:09
フサフサ人狼タクヤ
<なん、だとーPM12:09
鬼畜ツッコミコウジ
<っていうかそろそろ話を聞いてあげてもいいんじゃない?PM12:10
漆黒の堕天使リョウヘイ
<そうだな。誰か知らないけど(^_^)PM12:10
プリティー転生神
<やっとその気になってくれましたね~
では、説明しますね~
その世界は皆さん気がついてるかもしれませんがTMVの世界です~
何で俺達が!?とお思いですね~?
それは私のミスでーす。
ごめんなさい~
それでこれからどうすればいいかと言いますと~
何とかそちらの世界に転移した30人の勇者さんと合流して彼等の身を守ってあげてください~
もし勇者たちに何かあればトイレ掃除の罰が500年ずつ増えちゃうんです~
皆さんは人成らざるものの集団なので勇者より余裕で強くなれるので~、フォローしてあげてください~
私も随時このすまーとほんを使ってフォローしますので頑張ってください~
PM12:11
フサフサ人狼タクヤ
<よし、俺は転生神を許さないと決めたーPM12:12
フサフサ人狼タクヤが退室しました。
鬼畜ツッコミコウジ
<フサフサに同じ。PM12:12
鬼畜ツッコミコウジが退室しました。
漆黒の堕天使リョウヘイ
<鬼畜ツッコミに同じ((( ̄へ ̄井)PM12:12
漆黒の堕天使リョウヘイが退室しました。
唯のジン
<漆黒の堕天使に同じ・・・PM12:12
唯のジンが退室しました。
殻に籠ったユウスケ
<えっ、ほんとに誰も助けてくれないの?
ねぇ!!!PM12:12
殻に籠ったユウスケ
<転生神さん?
フォローするってことは助けに来てくれますよね!!!PM12:13
プリティー転生神
<いやー、私から世界に直接干渉することは神界法で禁止されてるんですよね~
何とか自力で頑張ってください~PM12:13
プリティー転生神が退室しました。
殻に籠ったユウスケ
<助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて
PM12:13
殻に籠ったユウスケが退室しました。
[プリティー転生何奴!?]には誰もいません。
「こうじ、どうした?」
「コーウージー!」
pentagonをそっと閉じた俺は左右から聞こえる自分を呼ぶ声にようやく意識を向ける。
もちろん声の主は、ヘタレとニクだ。
場所は洞窟の入り口近くの広場。
何日さまよっていたか分からないが、ようやく光が見えた頃に懐かしい通知音がして、今に至る。
ヘタレとニクからすると、俺が突然固まったように見えて心配だっただろう。
・・・心配してくれたよね?
「あぁ、ごめん。
ちょっと知り合いとメッセージのやり取りをしてたんだ。」
「知り合いー?」
「コウジって私たち以外に知り合いいたの?」
バフォメットとしてこの世界に生まれてからの記憶しかない二匹は知り合いという言葉に首をかしげる。
そりゃ知り合いも何も意思の疎通が出来るのがこの三匹の間のみだったから首もかしげたくなるわな。
「なんでもない。
空耳だよ。それより、ここを抜けたら洞窟の出口だ。
油断するなよ?」
俺の言葉にヘタレとニクはコクりと頷く。
「丁度コックローチの味に飽き飽きしていたところ。」
と、ヘタレ。
「そうそう。
コックローチやダークキャタピラー何かは倒しがい無いよねー。
エルダークラスが出てきてくれなきゃ!」
と、ニクも続く。
「真面目になさいっ!」
ゴヅッ、ゴヅン
「はぅ!」
「うぎゅ!」
俺は油断しまくりなヘタレとニクに拳骨を落とす。
RPGだとバランスの関係で、新マップからいきなり高火力の敵やタンクな敵が出てくることなんてよくあることだ。
ここが本当にTMVというゲームの世界だとわかった今では油断は危険だ。
まぁ今の俺たちのステータスでは二匹の油断も納得できるんだが・・・
コウジ
コメットバフォメット Lv.18->コメットバフォメットLv.35
ステータス不明
スキル
中級鑑定Lv.3->中級鑑定Lv.5
中級暗黒魔法(悪魔)Lv.1
上級ツッコミLv.-
中級自然回復Lv.4
中級ノリツッコミLv.2->中級ノリツッコミLv.4
初級ツンデレLv.4->中級ツンデレLv.2
中級鷹の目Lv.3
中級立体機動Lv.2
中級堅牢Lv.3
中級豪腕Lv.2
中級魔力感応Lv.1
中級研究者Lv.2
初級指揮Lv.3
初級鬼畜Lv.3->初級鬼畜Lv.5
入門危機感知Lv.4
威圧
入門5色耐性(悪魔)Lv.2
称号
ツッコむ者 指揮する者 魔物の敵 挑む者 鋼拳の加護(奪) 黄泉の加護(奪) 芸人魂 蟲窟の覇者
ヘタレ
ネクロバフォメット Lv.9->ネクロバフォメットLv.23
HP 765/765-> 930/930 MP 1945/1945-> 2225/2225 ST 384/384-> 312/432
腕力 74+48->85+68
体力 85+48->98+68
知力 326+48->368+68
魔力 321+48->357+68
速力 267+48->273+68
器力 220+48->254+68
初級闇魔法(悪魔)Lv.2->中級暗黒魔法(悪魔)Lv.3
中級自然回復Lv.3->上級自然回復Lv.-
初級高速機動Lv.3->中級立体起動Lv.1
中級魔力感知Lv.2->中級魔力感知Lv.5
初級学者Lv.4->中級研究者Lv.3
初級火魔法(悪魔)Lv.2
初級土魔法(悪魔)Lv.2->中級大地魔法(悪魔)Lv.1
入門青魔法(悪魔)Lv.3
入門緑魔法(悪魔)Lv.3->初級風魔法(悪魔)Lv.4
入門見切りLv.2
入門強固Lv.2
入門5色耐性(悪魔)Lv.1->中級5遁耐性(悪魔)Lv.3
入門危機感知Lv.3
下っ端Lv.1->役員Lv.3
称号
魔物の敵 ヘタレ 死の淵を見たもの 配下 ワーカーホリック 蟲窟の覇者
ニク
ナックルバフォメット Lv.13->ナックルバフォメットLv.26
HP 3600/3600-> 4355/4355 MP 800/800-> 915/915 ST 315/315-> 398/466
腕力 428+48->522+68
体力 662+48->783+68
知力 77+48->80+68
魔力 92+48->95+68
速力 242+48->285+68
器力 267+48->311+68
入門黒魔法(悪魔)Lv.3
中級自然回復Lv.4->上級自然回復Lv.2
中級堅牢Lv.3->上級鱗鎧Lv.-
中級豪腕Lv.2->中級豪腕Lv.4
初級高速機動Lv.2
中級鷹の目Lv.1
中級拳闘士Lv.2->上級拳闘士Lv.-
入門拳術Lv.2->中級拳術Lv.3
入門5色耐性(悪魔)
入門脚術Lv.1->初級脚術Lv.5
下っ端Lv.1->役員Lv.3
称号
魔物の敵 闘士 肉壁 配下 ワーカーホリック 蟲窟の覇者
・・・うん。
既にヘタレもニクもエルダーコックローチを単独で撃破できる強さになっている。
そりゃこの洞窟だと二人には役不足だわな。
そんなことを考えつつ出口へと向かう。
「眩しいな。」
俺は久しぶりの日差しに心地よさを感じつつ瞳を細め。ヘタレとニクはあまりの明るさ。
「「目、目がぁぁ~~」」
「お前らなんでそれを知ってるんだよ!
神の怒りを思い知れ!」
洞窟を出て数秒。
今日も上級ツッコミLv.4が冴え渡った。
「次はどこを目指すの?」
日差しに目が慣れたニクはコウジに訪ねる。
「取り敢えず、友達を助けにいくかな。」
目指すは北。
pentagonのGPSを頼りにコウジはユウスケを探しに動く。
何だかんだで友達は見捨てない。
「コウジは何だかんだで優しいもんね。」
「うん。ツンデレ。」
「うっせ!」
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