第1章 チュートリアル
1-1 八木光司①
目を開けると薄暗い洞窟のような場所にいた。
どこだ?
周りを身渡そうとして体が思うように動かないことに気がつく。
ん?動かない?
唯一動く視界を限界まで下げるとどう俺はまだ卵から出てくる途中のようで手足が引っかかっているようだ。
体が動かず声も出ないことに内心焦りながら俺はゲームで困った時の基本、メニューを開いて見る。
コウジ
ベビーバフォメット Lv.1
ステータス
不明
スキル
入門鑑定Lv.1
入門黒魔法(悪魔)Lv.1
いやいや、何でキャラメイクしてないのに名前がコウジで種族がバフォメットなんだよ!
いくら入門鑑定のレベルが1だからって自分のステータスが不明とかありなのかよ!
なんで開始早々行動不能なんだよ!
いきなりバグですかー!?
はぁはぁ、何でこんな心の中で突っ込むだけで疲れるんだよ!
ピコンッ
入門ツッコミLv.1を覚えました。
なんでやねん!
入門ツッコミLv.1って何!?
それってこのゲームではスキル扱いなの!?
関西人は出だしから上級ツッコミLv.5なんですかー??
はぁはぁ、やべ、どんどん疲れてきた。
もしかしてツッコミもースキル扱いだから突っ込む度にスタミナやら体力やらを使うのか?
ってどんな仕様だよ!!
あ、意識が
ピコンッ
入門ツッコミがLv.2になりました。
入門自然回復Lv.1を覚えました。
そんなアナウンスを聞きながら俺の意識は沈んでいった。
翌日おそらく翌日。
おそらくというのはここが洞窟の相当奥に位置するのか外の光が入って来ず時間が分からないためだ。
そして追加でわかったことはここには俺以外にも複数のベビーバフォメットが存在する。
そいつらがタクヤ達かとも思ったがどうやら違うらしい。
呼びかけてみても(といってもギャ、ギャ、というなかなか酷い鳴き声しか出せないが・・・)反応を示す個体がいなかった。
どうしていいか分からず一度ログアウトしようとしたらあらびっくり、メニューには自分のステータスやスキルしか表示されない。
え、これどうすんの?
まさかのかの有名なデスゲーム入りですかー!?
動けない状態で?ってなんでやねん。
あ、そうそう、ログインできない以外にもわかったことがある。
前回ツッコミのし過ぎで倒れたのはやっぱりスタミナ切れだった。
詳細はこれだ。
入門ツッコミLv.2
わかりやすいボケにツッコミをいれる。
最大スタミナの10%を消費する。
そういうことらしい。
入門だからわかりやすいのにしか反応できないよねーとか最大スタミナの10%も消費するのかよとか(あ、またツッコんじゃった)はまぁ良いんだけど重要なのはここから。
ボケに対して
そう、なんとこれ、自動で反応しちゃうのだ。
これさえあればどんなボケも見逃しません!ってなんでやねん!
これ戦闘中に自動で発動されたら死んじゃうよね?
何でこんなスキル入手しちゃったんだろ、本当に。
ピコンッ
入門ノリツッコミLv.1を覚えました。
わかりやすいボケに簡単なノリツッコミを行う。
最大スタミナの20%消費する。
ボケに対して自動で使用する。
拝啓、俺はどうやらスタミナ不足な生活を送るそうです。
神様、どうかスタミナが増加するスキルを俺に恵んでください。
・・・・・
祈祷とかは入手できないのかい!
はぁ、はぁ
まぁそんな簡単に入手できるなら苦労しないけど。
あれ、でもノリツッコミは簡単に入手出来た気が・・・
才能?いらんわそんな才能!
あ、また・・・自分でツッコミスパイラルに入ってしまった・・・ガクッ
ピコンッ
入門自然回復がLv.2になりました。
さらに翌日、どうやらスタミナ切れで気絶すると回復まで一日中起きられないらしい。
まぁ時間は空腹とかの体感でしかないけど。
それよりもお腹が空いたな。
俺は何か食べるものがないか周りを見回す。
お、手足が動く。
動くようになった手足に感動しながら見回すとどうやら他のベビー達は自分の出てきた卵の殻を食べているようだ。
俺もまだ満足に動くことができないようなので真似をして殻を食べる。
うぇー、何だか自分が出てきた殻を食べるって嫌だな。
これも日本人として生まれてきたせいかな?何かプラスチック食べているみたいだ。
俺は殻を食べながら他の個体の姿を見てみると人の下半身に山羊のような頭、尻尾が蛇のようになっているなどどうやら名前の通りバフォメットと呼ばれる魔物なのだろう。
あれ?バフォメットって悪魔だっけ?
暗いところに入れられてるってもしかして夜にしか行動できないから?
まぁそういうのは動けるようになってから考えればいいか。
それよりも今の格好、いくらバフォメットの形だと言っても体が人だから何も隠すものがないっていうのは何と言うか恥ずかしいな。
何もないし同じく小さい奴しかいないからまだこのままでいいか。
食べたら眠くなってきた。
おやすみなさい。
またまた翌日。
明らかに周りのベビー達の体が大きくなっている。
という俺の体も昨日残した卵の殻と比べると1.5倍くらいになっている。
それに何体か減っているところをみるにどうやらボチボチ行動を開始する方が良さそうだ。
俺はもう一度メニューにログアウトに関するボタンがないか調べる。
・・・うん。ないな。
仕方ない、行くか。
そう思い立ち上がりこの広場唯一の通路に進んで行くと一緒に2匹のバフォメットが着いて来る。
まぁ着いて来る分にはいいか。
ひ、一人が寂しいわけじゃないんだからね!
ピコンッ
入門ツンデレLv.1を覚えました。
軽度のツンデレ。
常時発動する。
ツンデレの入門って何やねん!
くそぅ、俺のスキルが自重を知らねぇぜ。
ゴリゴリとスタミナを削りに来やがる!
えっちらおっちらと通路を歩くこと1時間。
いくつもの分かれ道を直感の赴くままに進んでいるが未だに先陣のバフォメットも他の生物も見当たらない。
通路に響くのは俺の足音と着いて来ている2匹の足音だけだ。
どうせ着いてくるなら近くにくれば良いのにと振り返ると2匹はフッと陰に隠れてしまう。
俺、嫌われてるのかな?
べ、別に悲しくなんかないし。
さらに進むこと1時間、少し先の方から何かの音が聞こえて来る。
俺はゆっくり音を立てないように近づき岩の陰から覗き込むとそこでは先陣のベビーバフォメット1匹とGらしき影が2匹。
悪いと思いながらここから鑑定させてもらうと
ベビーバフォメット Lv.2
HP 13/25 MP 45/45 ST 5/17
腕力 2
体力 3
知力 8
魔力 7
速力 8
器力 6
入門黒魔法(悪魔)Lv.1
スモールコックローチ Lv.1
HP 8/15 MP 15/15 ST 8/22
腕力 3
体力 1
知力 2
魔力 1
速力 13
器力 10
入門機動Lv.1
速力に+1のボーナス
スモールコックローチ Lv.2
HP 20/25 MP 15/20 ST 20/27
腕力 3
体力 3
知力 4
魔力 2
速力 19
器力 15
入門機動Lv.2
速力に+4のボーナス
入門自然回復Lv.1
おや?
確か自分を鑑定した時にはステータスは不明じゃなかったっけ?
おりゃ。
コウジ
ベビーバフォメット Lv.1
ステータス不明
スキル
入門鑑定Lv.1
入門黒魔法(悪魔)Lv.1
入門ツッコミLv.2
入門自然回復Lv.1
入門ノリツッコミLv.1
入門ツンデレLv.1
なんでや、なんでなんやー!
ステータスは相変わらず不明じゃん!
っていうかスキルに不要なものが多すぎる!
チラッと後ろを確認すると岩の陰から俺と同じ体勢でこちらを見つめる4つの光。
鑑定してやれ。
ベビーバフォメット Lv.1
HP 25/25 MP 35/35 ST 12/16
腕力 1
体力 3
知力 5
魔力 5
速力 7
器力 5
入門黒魔法(悪魔)Lv.1
ベビーバフォメット Lv.1
HP 30/30 MP 25/25 ST 12/16
腕力 2
体力 4
知力 4
魔力 3
速力 5
器力 7
入門黒魔法(悪魔)Lv.1
ん?同じ種族で同じレベルでも能力値が違うんだな。
それよりなんで俺のは見れないんだよ!
あ、そんなことをしているうちに戦闘も終盤に向かっていた。
まだ知恵がないのかベビーバフォメットはデタラメに殴りに行くだけで魔法を使おうとせず躱されまくっている。
比べてスモールコックローチは数の利と速度を生かしヒットアンドアウェイで翻弄し確実にHPを減らしていく。
あーこれは決まったな。
見ているうちにベビーバフォメットのHPが尽きる。
あーあ。同じ種族だから応援したかったけどこればっかりは仕方ないな。
ギチギチ、ギチギチ
スモールコックローチはベビーバフォメットの亡骸の前で何やら会議をしている。
あ、終わった。
会議を終えると2匹はボリボリとベビーバフォメットを貪る。
う、これはなかなかキツイ光景だな。
同じ種族ってだけで自分と重ねちゃうし。
それよりもここに隠れてたらどうにか消えてくれないかな?
今ので2匹ともレベル上がっちゃったし何より自分のステータスが見えないから不安なんだよな。
自分のステータスは鑑定できないのかステータスが高すぎて鑑定できないのか。
後者なら勝ち目はあるが前者ならこれ、あいつの二の舞だぞ。
どうにかあの2匹も協力してくれないかな。
そういって2匹の方向を振り返ると
あー、吐いちゃってるなありゃ。
まぁあれが自分だったらって考えるとなー。
それよりまずいな。
あいつら食べ終わったのかこっち来るぞ。
まだ気づかれてないけど、後ろの2匹は吐いちゃってるからバレるな。
くそっ、あーここで見捨てるのも目覚めが悪いか。
スモールコックローチ Lv.2 ー>Lv.3
HP 25/25ー>35/35 MP 20/20ー> 25/25 ST 27/27ー>33/33
腕力 3 ー> 4
体力 3 ー> 5
知力 4 ー> 6
魔力 2 ー> 3
速力 19 ー> 27
器力 15 ー> 18
入門機動Lv.2 ー> 入門機動Lv.3
入門自然回復Lv.1 ー> 入門自然回復Lv.2
スモールコックローチ Lv.1ー>Lv.3
HP 15/15ー>40/40 MP 15/15ー>20/20 ST 22/22ー>30/30
腕力 3 ー>5
体力 1 ー>6
知力 2 ー>3
魔力 1 ー> 2
速力 13 ー>21
器力 10 ー>19
入門機動Lv.1 ー> 入門機動Lv.2
入門自然回復Lv.1(new)
まず魔法が使えるか確認する。
入門黒魔法(悪魔)Lv.1
黒玉 消費MP3
黒い玉を操る。
うん。なるほど。
ってなるかーい!
説明雑!えっなんなの?これで何を理解しろと?
悪魔舐めてんの?ねぇ?
まぁいいや。
取り敢えず魔法が使えることは分かったし後ろの2匹のところまで下がるか。
俺が下がると足音で気づいたのか2匹がビクッとなる。
あー、騒ぐな騒ぐな。
バレるから。
俺は逃げ出そうとする2匹の尻尾を踏みつけ両手でそれぞれの口を塞ぐ。
「ギャッギャ、ギャ、ギギャ。(静かにっ!あいつらがこっちに向かって来てるから迎え撃とうと思う。ここで逃げてもいいが逃げたら二度とこうして自由に歩ける日が来ない可能性もある。そうなりたくなかったら手伝え。)」
伝わるかわからなかったが俺が有無を言わせずまくし立てると2匹はコクコクと頷く。
「ギャ、ギャギャギャ。(じゃあ手前の岩に隠れてるからあいつら2匹がお前らと俺の間に入って俺の魔法が当たったら突っ込め。)」
俺は2匹が頷くのを見て移動する。
カササ、カサ
2匹が俺に気づかず通り過ぎる。
鑑定!
早い方は右か。
ピコンッ
入門鑑定がLv.2にあがりました。
鑑定のレベルが上がったがどうでもいい。
黒玉発動
バチバチッ
発動すると手に黒い玉が現れる。
静電気みたいに何かバチバチ出てるな。
よし、距離は十分。
いけっ・・・!?
俺が黒玉を放った瞬間2匹が向こうの岩陰から飛び出して来る。
早いよ馬鹿野郎!
ドガッ
ギィィ
放った黒玉は狙い通り進んでいたが直撃寸前に加速したスモールコックローチの足に当たり後ろ足を2本奪うにとどまる。
ギィ、ギィギィ
スモールコックローチは軽く鳴き合うと無傷の1匹が向こうに、傷を追った1匹がこちらに向かって来た。
こっちは捨て身かっ!
こちらに向かって来る足を失ったスモールコックローチは少し早いかなという速度しか出せずに向かって来る。
これならっ!
俺はスモールコックローチをギリギリまで引きつけた上で躱しすれ違いざまに拳を振り下ろす。
ブチャッ
!?
思いの外強力であった自分の拳の威力に驚きながらも後方に滑って行ったスモールコックローチが動かないようになっていることを確認し俺は一息つく。
ピコンッ
ベビーバフォメットはLv.1からLv.4に上がりました。
入門見切りLv.1を覚えました。
器力に+1のボーナス
入門機動Lv.1を覚えました。
入門黒魔法(悪魔)がLv.2になりました。
黒幕 消費MP5
G1匹としては破格のレベルアップに引きつつも俺はもう1匹と戦っているはずの方向を見ると
バチッ、バチッ
バリバリバリィ
頼もしくも2匹が黒玉を同時にスモールコックローチに当てていた。
おぉ、これは案外やるな。
と思った時
ピコンッ
ベビーバフォメットはLv.4からLv.5に上がりました。
入門自然回復がLv.3になりました。
なるほど。
どういう仕組みか分からないが俺の得た経験値をあの2匹も得て魔法を使ったってところか。
よく見ると向こうのスモールコックローチの体には噛まれた痕やちぎられたような傷が見られる。
条件は分からないけど俺は今あの2匹と経験値を共有しているってことかな?
ベビーバフォメット Lv.1ー>Lv.3
HP 25/25ー>30/30 MP 35/35ー>65/65 ST 16/16ー>20/20
腕力 1 ー>3
体力 3 ー>4
知力 5 ー>11
魔力 5 ー>11
速力 7
器力 5 ー>12
入門黒魔法(悪魔) ー> 入門黒魔法(悪魔)Lv.2
入門自然回復Lv.1(new)
入門機動Lv.1(new)
入門魔力操作Lv.1(new)
魔力に+1のボーナス
ベビーバフォメット Lv.1ー>Lv.3
HP 30/30ー>65/65 MP 25/25ー>40/40 ST 16/16ー>19/19
腕力 2 ー> 9
体力 4 ー>11
知力 4 ー>7
魔力 3 ー>6
速力 5 ー>8
器力 7 ー>10
入門黒魔法(悪魔) ー> 入門黒魔法(悪魔)Lv.2
入門自然回復Lv.1(new)
入門強固Lv.2(new)
体力に+4のボーナス
入門剛力Lv.1(new)
腕力に+1のボーナス
こいつらなかなか賢いのか!?
キッチリ前衛と後衛をこなしてないか?
これはこいつらを仲間に率いれたら良い具合に戦力になるな。
「ギャッ。(よく倒したな。)」
俺は自分の狩ったスモールコックローチを引きずって倒したスモールコックローチの前に座ってよだれを垂らしている2匹に近づく。
「グギャ?(食べて、良い?)」
「ギャギャッ。(お前らが狩ったんだから自由にしろ。)」
そういうと2匹はガツガツとスモールコックローチにかぶりつく。
うわー、俺はGの意識があるからどうにも食べる気にならないがこいつらはめちゃくちゃうまそうに食べる。
俺も恐る恐る足を一本ちぎって食べてみる。
おぉ、何かゲソっぽい。
これはいけるかも・・・
いや、胴体は無理だわー。
抵抗あるわー。
何で君たちこれを平気で食べられるんだよ。
あ、Gを知らないからか。
羨ましいわー。
俺は足だけもらい胴体は2匹にあげることにした。
「ギャ、ギャギャ?(あー、俺はその陰で寝るからお前らも適当に休んどけよ?)」
俺はそう言ってスモールコックローチの足を食べながら丁度良い岩の陰に行き横になる。
何か戦闘のせいかレベルアップのせいかまだ幼いせいか眠気が我慢できないんだよなぁ。
あ、因みに鑑定のレベルが上がっても俺のステータスは見ることが出来なかった。
ちくせう。
目を覚ますと両腕に違和感を感じ目を覚ますとベビーバフォメット2匹がそれぞれの腕をマクラにして眠っていた。
なんでやねん!
スペースが一杯あるのになんでここやねん!
あー、地面硬いからマクラが欲しいよねー、んなわけあるかい!
お前ら昨日まで地面で寝とったがな!
あれ?でも寝顔は案外可愛い?
ってんなわけあるか!悪魔だぞ。悪魔の顔が目の前にあるんだぞ?
はぁ、はぁ
怖えぇよ!
そ、そうだよ。これはペットが可愛いとかそういうのであって決してこいつらに気があるとかじゃないんだからっ!
くそっ、腕が、痺れて・・・ガクッ
ピコンッ
入門ツッコミがLv.3になりました。
入門ノリツッコミがLv.2になりました。
入門ツンデレがLv.2になりました。
コウジ
ベビーバフォメット Lv.5
ステータス不明
スキル
入門鑑定Lv.3
入門黒魔法(悪魔)Lv.2
入門ツッコミLv.3
入門自然回復Lv.3
入門ノリツッコミLv.2
入門ツンデレLv.2
入門見切りLv.1
入門機動Lv.1
ベビーバフォメット Lv.3
HP 30/30 MP 65/65 ST 20/20
腕力 3
体力 4
知力 11
魔力 11
速力 7
器力 12
入門黒魔法(悪魔)Lv.2
入門自然回復Lv.1
入門機動Lv.1
入門魔力操作Lv.1
ベビーバフォメット Lv.3
HP 65/65 MP 40/40 ST 19/19
腕力 9
体力 11
知力 7
魔力 6
速力 8
器力 10
入門黒魔法(悪魔)Lv.2
入門自然回復Lv.1
入門強固Lv.2
入門剛力Lv.1
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